BOOK「わたし琵琶湖の漁師です」

わたし琵琶湖の漁師です
戸田直弘著
(光文社新書:680円+税)
※古書を購入

琵琶湖は日本一面積の広い湖で、内水湖では唯一の漁業組合がある。それだけ、産業として漁業が大きな一を占めているのだろう。著者の戸田氏は琵琶湖の漁師として活躍される傍ら、琵琶湖の生態系を考え、改善していくための活動もされている。水質汚染、護岸工事による破壊、外来種、鵜、漁協の老齢化・営利追求体質、伝統的漁法の喪失など、危惧すべき問題は多い。
特に後半では、バスやブルーギルといった外来魚を放流し、釣ったサカナはそのままリリースしてしまう、いわゆる「スポーツ」「遊び」としての釣りとの対立が描かれている。
これは、あくまでわたしの個人的見解だけど、外来魚を放流した人間は死刑、それを釣って楽しむ人間は、放流された外来生物を絶滅させるまで強制労働を課すべきだと思っている。それだけ、取り返しの付かないことをやったのだと自覚させる上でも、厳罰に処すべきだ。

雑誌「milsil ミルシル ふしぎで多彩な変形菌の世界」(2018年No.5 通巻65号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌(隔月年6回発行。税込定価420円)。
今回の特集は「ふしぎで多彩な変形菌の世界」。この「ミルシル」の特集記事は、科博が予定している企画展のテーマと微妙に関連していることが多いのではないかと思っているけど、今回の「変形菌」は、関連している気配がない。昨年末から今年のはじめにかけて、「南方熊楠」の企画展をやったばかりだし。「変形菌」は地味な存在ではあるけど・・・わたしは熊楠ファンなので、嫌いな存在ではない。
この号で気になったのは巻頭のインタビュー記事。リチウムイオン二次電池を開発した吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)・・・ノーベル賞候補の呼び声も高いので、名前だけは知っていた。モバイルだ、ウェアラブルだと身の回りの電子機器の進化にはついていけない勢いがあるけど、それもこれもこの電池があってこそのこと。いくら感謝してもバチは当たらないはず。

BOOK「動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ」

動物たちの反乱
増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

河合雅雄、林良博編著
(PHPサイエンス・ワールド新書:880円+税)
※古書を購入

テレビのニュースなどで、シカやサルによる農業被害、人家のある地域にイノシシやツキノワグマが出没したなどという話があると、有識者なる人たちが「里山の荒廃」という言葉を口にする。この言葉を聞く度に、わたしは納得のいかないものを感じていた。そしてこの本を読んで、わたしは「里山」というものを理解していなかったことに気がついた。
わたしは北海道に生まれ育ったので、本州でいうところの、隅々にまで人の手が入った「里山」というものを実感してこなかった。いまの北海道は違うだろうけど、半世紀近く前の北海道には、里山のような中立地帯はほとんどなく、裏山ですらヒグマが支配する土地だった。だから、廃村により人間が後退した地域、開発が進んで里山を切り拓いてしまった地域では、その頃の北海道と同じような距離感に生まれてしまっているのだろう。
人口が増え、人間がどんどん自然を切り崩していた時代は、野生動物はゆるやかに絶滅する方向で減っていく。でも、地方が衰退し、放棄地が増えると、野生動物が反撃してくる。自然保護の意識もあるし、むやみに駆除もできない。さらに、外来生物という援軍?も押しかけてきて、勢力を伸ばしている。『進撃の巨人』のような壁でも作るしかないんじゃないかな^^;;

BOOK「ねむりからさめた日本ワニ 巨大ワニ化石発見ものがたり」

ねむりからさめた日本ワニ
巨大ワニ化石発見ものがたり

野田道子・作
藤田ひおこ・絵
(PHP愛と希望のノンフィクション:1,262円+税)
※古書を購入

子ども向けの本だけど、古代日本のワニ化石というテーマにひかれて読むことにした。ルビのふられ方から推測して、小学校高学年なら楽に読める本だろう。
いまから40万年前まで、日本にはたくさんのワニが棲息していた。それを証明したのは、昭和39年に大阪豊中市で発見された「マチカネワニ」の化石。推定6.5メートルもの大きさがあったらしい。この化石を発見した二人の高校生(浪人生)のお話とその後の本格的な発掘調査のお話。
その後、ワニの化石は北海道を除く日本各地で発見されているとか。日本にいつから人間が住んでいるか意見が分かれるところだけど、40万年前なら旧石器人がいてもおかしくはない年代。
因幡の白兎に登場する「鰐」はサメのことらしいので、日本の神話時代にマチカネワニの生き残りがいたわけではない。下水道でワニが繁殖しているという都市伝説があるけど・・・温暖化がすすむ現在なら、外来生物として日本でもワニが棲息してもおかしくないのではないか? カミツキガメが定着できるわけだから、ワニだって可能なはずだ。

雑誌「milsil ミルシル 広がる「地図」の世界」(2018年No.4 通巻64号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「広がる「地図」の世界」。国土地理院の先生方が測地系の歴史、スマート社会の新しい地図像を紹介している。
似たようなテーマで、かなり以前に国土地理院を取材したことがあるけど、あのころはスマート社会なんていう単語のスの字もなかったので、いろいろ新しいことが紹介されていた。いまではカーナビどころか、歩くための日常的な地図までデジタル化されている。近い将来には、クルマの自動運転やらドローンの宅配便などもこうした地図インフラの上で動くわけだけど・・・歩きスマホする人が邪魔でぶつかりそうになるのが当たり前の時代、本当に安全なサービスが実現するのか、地図とは別の次元で、内心、ちょっと心配ではある^^;
サブ特集は「カタツムリ」。カタツムリが左巻きなのか右巻きなのか、気にもしたことがなかったけど・・・世の中のたいていのことには専門家がいて、一見、どうでも良いことを研究していたりするので、別に驚かないんだけど・・・「ヘビ仮説」か、ちょっと驚いた。

雑誌「milsil ミルシル 樹木の科学」(2018年No.3 通巻63号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「樹木の科学 ~木の形はどのように決まるのか~」。
樹木の形なんて、いままで気にしたこともなかった。盆栽でもやっていれば別なんだろうけど、街中で暮らしていると、樹木と接する機会なんてまずないから。公園の木々や街路樹など、身近に樹木がないわけではない。でも、お花見では花ばかり見ているし、落ち葉の季節には枯れ葉が邪魔くさいと思うだけで・・・樹木そのものを意識することはない。いつもミルシルで驚かされるのは、こういうことを研究している人がいるという事実。
その他主だった記事は、アリと共生している「ハネカクシ」という昆虫と、屋久島国立公園。ニュース記事の中で気になったのは、宇宙が誕生した直後に生まれた最古の星「ファーストスター」由来の電波を捉えたという記事。・・・この号は今までにも増して地味な内容だったな。

BOOK「生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像」

生物はウイルスが進化させた
巨大ウイルスが語る新たな生命像

武村政春著
(講談社ブルーバックス:amazon:1,058円)
※Kindle版を購入

武村先生の本を読むのは、『新しいウイルス入門 単なる病原体でなく生物進化の立役者?』に次いでこれが2冊目。ウイルスと生命、あるいは進化との関係が気になって読んでいるわけだけど・・・この本は「ミミウイルス」「パンドラウイルス」など、光学顕微鏡でも見ることができる大きさのウイルスがテーマ。ここでいう巨大は単にウイルスのサイズだけではなく、そのDNAの長さのこと。DNAの情報量が大きくなれば、それだけ複雑な構造や機能を実現できる。
ウイルスは宿主の細胞内に自己複製を行うウイルス工場を作る。原核細胞の中にウイルスが作るウイルス工場が進化して細胞核となり、真核細胞が生まれたとする説。遺伝子の水平移動に関する説・・・このへんが、生物の進化にウイルスが関係しているのではないかとしている。ヒトゲノムの40パーセント程度がウイルス由来ではないかとする研究もあり、そう考えると、ウイルスの存在の大きさが感じられる。
わたし個人の立場だけど、DNAの突然変異だけでは、生物の進化を説明できないと感じていて・・・そういう説明をしている本を読む度に納得できずにいた。だから、ウイルスを介した遺伝子の水平移動というのは、ものすごく魅力を感じる。
まあ、素人のわたしがいっても仕方がないことだけど・・・少なくとも、突然変異説では素人すら納得させられないのが現実だと思う。

雑誌「milsil ミルシル サンゴの知られざる世界」(2018年No.1 通巻61号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「サンゴ」。
北海道に生まれ、東京に住んでいると、日常生活でサンゴを見かけることはない。食品としてスーパーに並ぶこともないし、工芸美術品としてのサンゴにも縁がない。それでも、昨年宮古島に行って、伊良部大橋から珊瑚礁の海を眺めたので、遠くからは見たことはある。
でも、サンゴについて日常生活で耳にするのは、テレビニュースで白化が進んでいるという気候変動がらみの報道だろう。サンゴは環境の変化に弱い生物で、気候変動で危機的状況にある云々といった内容が多くを占めている。あるいは、どこぞの国の密漁船が赤珊瑚を狙って領海侵犯を繰り返しているといったニュースもあった。
でも結局、わたしにとってサンゴは身近な存在ではないということだな。記事を読んでも、イソギンチャクなどの仲間だということ以外なにも残らなかった^^;;
あくまでも個人的な興味関心ということだけど・・・興味のないテーマが特集されている号は、やっぱり読んでいて面白くないな。博物館で展示を見るのは、たいていのものが面白いと感じるんだけど・・・。