BOOK「爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った」

爆発的進化論
1%の奇跡がヒトを作った

更科功著
(新潮新書:720円+税)
※古書を購入

地球上の動物が一気に多様化した「カンブリア爆発」についての本。「膜」「口」「骨」といった体の部位毎に、どのように発生し進化してきたかを解説している。
一般向けに書かれた新書なので、例えを用いてわかりやすく書こうとしているのだろうけど・・・読みはじめてすぐに戸惑った。「膜」の項で、家と掘っ立て小屋といった例えが出てくるけど、非常にわかりにくい。ふつうにそのまま解説してくれた方がイメージしやすいんじゃないかと・・・。そんな部分がいくつか散見できた。
また、体の部位毎に章を分けているので、時系列が遭わなくなるし、どの動物の話なのかが飛んでしまうことも多く、ある意味では読みにくい。カンブリア爆発の話だと思って読んでいると、違う時期の話だったりもするし・・・。ちょっとまとまりがない感じ。
でも、細々と驚くような話はいくつかあった。肺をもつ魚が最初にいて、その肺が浮き袋に進化していったというのはちと驚いた。だから、金魚が水面でパクパクやって酸素を補給できているのか・・・。
で、結局は、ものすごくとりとめのない内容の本だった。

雑誌「milsil ミルシル ようこそ!コケの世界へ」(2017年No.5 通巻59号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「コケ」。
いつものことだけど地味なテーマ^^; 最近は、どこにでもマニアックな女性がいるらしく、「コケじょ」「コケガール」などという呼び名もあるくらいなので、地味なテーマなどというと叱られるかも知れない。わたしも若かりし頃、わびさびの世界に関心があったので、それなりに見慣れた存在ではあるけれど、でも、正直いうとあまり興味がない。「万葉集」や「古今和歌集」などの歌に詠まれたコケの話などは、面白く読んだけれど・・・。
この号の記事で他に気になったのは、「斎藤報恩会貝類コレクション」に関するもの。現在、科博にあるとは知らなかった。というか、仙台の斎藤報恩会自然史博物館は閉館してしまったのか・・・。かつて20代の頃、仙台に遊びに行ったときに見に行こうとしたものの、同行者の反対で見に行けなかった博物館。地味な博物館だから仕方がないという気もするけど・・・そういうことが何度か重なり、以降、興味関心の異なる人間とはなるべく一緒に行動しないことにしている。

BOOK「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」図録

先日、国立科学博物館で見てきた特別展「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」の図録。価格:2200円(税込)。192ページ。
映像展示はNHKで放送されたものが中心で期待はずれだったけど、テレビ番組より詳細であろうと思い、図録を購入しておいた。実際、夏休みのチビッコがうごめいていて、企画展の会場では解説パネルを落ち着いて読む余裕が全くなかったし^^;;
展示自体、良くこれだけ詰め込んだと思えるくらいに内容は豊富だったけど、その分、通路が狭く混雑が激しかった。チビッコにこういう展示を見せること自体は決して悪いことじゃないんだろうけど・・・幼稚園児や乳幼児を連れた母親が多すぎる。一部の美術館のように、小学生未満の入場を制限するというわけにはいかないだろうけど、もう少し何とかならないだろうか^^;;
わたし自身、興味のある分野だというのもあるし、展示を十分に見られなかったせいもあるけど、読む部分も多いし、写真やCG図版も楽しい。図録としては良くできている。科博の図録としてはかなり出来の良い方だと思う。

BOOK「ヒト 異端のサルの1億年」

ヒト
異端のサルの1億年

島泰三著
(中公新書:920円+税)
※古書を購入

人類学の本を読むと、いつも消化不良になる。わずかな発掘資料から推測を重ねて、わかっていないことが多いのを良いことに、かなり我田引水的に自説を展開していることが多いから。同じようにこの本も消化不良を起こした感じ^^;; ただし、この本の場合はいままでに読んだ本とは少し意味合いが違う。
オランウータンからはじまり、ゴリラ、チンパンジーといったサル、そしてアルディピテクス、アウストラロピテクス、ホモ・エレクトゥス、ネアンデルタール、ホモ・サピエンスへとサルから人類へと考察を並べているけど、ただ並べただけで著者の主張がない。考察も非常に浅い。各項目単独ならそれなりに読んだ感じはするけど、それを串刺しにする部分の考察がお粗末すぎて、この本でいちばんの消化不良に陥ってしまった。
生煮えの食材を順に食べさせられて、お腹を壊したような読後感・・・。結局、サブタイトル通り、裸のサルという異端さを書きたかっただけなのか? だとしたら、著名を『ヒト』ではなく、『サル』にした方が良かった。

BOOK「植物はなぜ薬を作るのか」

植物はなぜ薬を作るのか
斉藤和季著
(文春新書:880円+税)
※古書を購入

植物は自力では移動できない。だから、防衛や繁殖などに化学物質を利用している・・・という。植物がいかに多様な化学物質を賢く巧に利用しているのかは、わかりやすく書かれていて面白い本だったけど、タイトルが示す「なぜ」には何も答えてはいない。
そもそも、「植物は自力では動けないから」化学物質を活用していると理解するのは違うと思う。だって、自力で移動できる動物だって、たくさんの化学物質を体内で生みだし利用しているから。フェロモンなんかは繁殖に役立てているし、内分泌物質などは生命維持に不可欠な存在だ。さらにいえば、植物の中には、化学物質利用ではなく、種子を風に飛ばしたり、動物に付着させ運ばせたり、河や海の流れを利用したりして繁殖圏を広げるものがある。結果的に、化学物質をこのように巧に使っている植物もあるというだけのことではないか。
まあ、何にせよ、植物の生命活動と繁殖システムは多彩で、どれも良くできている。

雑誌「milsil ミルシル 発生」(2017年No.2 通巻56号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込みの定価420円)
4月4日からはじまる企画展の前宣伝ということなのか、この巻の特集は「発生」。
わたしも含めて、動物はひとつの受精卵が分裂して、進化の過程をなぞった上で、いろいろな組織や器官を作り、一人前の身体ができあがったわけだ。これは中学や高校の生物の時間で習うことだけど、改めて考えると、ちょっとすごいことだと思う。最初から人間の形を形作る方が効率が良さそうなものを・・・。いずれ、人間より進化した生物が現れたとき、きっと彼らも同じことを思うのだろうと思う。
4月には企画展を見に行くことになるだろうけど、いったいなにが展示されるのだろう? 想像するに、あまり見ていて心地よいものは並びそうにない気がする。
他に気になった記事は、コガタアカイエカによる日本脳炎の記事。気候の温暖化で、デング熱やマラリアが日本に上陸するという話があるけど、日本には国名が冠された感染症があったじゃないか。しかも、根絶はできなかったものの、最低限の発症者に抑えることができた実績もある。デング熱、必要以上に恐れることはないという気もするけど・・・東京の住宅地には廃屋が増える一方・・・蚊の発生源はどんどん増えているんだよな^^;;

雑誌「milsil ミルシル 生物毒」(2016年No.4 通巻52号)

milsil052国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込みの定価420円)
この巻の特集は「生物毒」。前巻に引き続き、通好みというか・・・微妙なテーマ^^;; かなり昔、「危険生物」について勉強したときに、毒を持つ動植物についての知識はそれなりに得ていたので、なじみがない内容ではないけど・・・。
でも、毒の有無にかかわらず、ヘビはあまり得意ではないので、大きな写真がなくて助かった。まあ、ハブ酒は平気で飲むんだけど^^;;
ジャガイモをたくさん食べるドイツでは、芽に含まれる毒で毎年何人か亡くなっているという都市伝説があるけど・・・どうして毒なしジャガイモの品種改良が行われていないのか不思議に思っていた。なるほど、ジャガイモの遺伝子は四倍体だから、毒のない変異体をふるいにかけにくかったのか・・・。栽培種として、収穫量を増やすための結果なのだろう。
そうなると、当然考えるのが遺伝子操作だけど・・・「ゲノム編集」という手法で毒を作る遺伝子を破壊したジャガイモが研究されているという。当然の流れだろうけど・・・食品として日本人に受け入れられるんだろうか?