BOOK「環境と微生物 環境浄化と微生物生存のメカニズム」

環境と微生物
環境浄化と微生物生存のメカニズム

中村和憲著
(産業図書:1,700円+税)
※古書を購入

仕事の資料というよりは、個人的な興味で読んだ。
漠然と、地球上には天文学的な数字で示すほどの微生物がいるとは知っていたけど、地球環境を維持するレベルで活躍する存在だと示され、ちょっと驚いた。「元素循環」なんていわれると仰々しく感じるけど、地球上の有機物はほぼすべて、最終的には微生物に分解されている。・・・いわれてみれば当たり前のことなんだけどね。
個人的に関心があったのは、第3章でで解説されている、環境汚染物質の生物学的処理プロセスと微生物について。かなり専門的に説明しているので、すべてを理解したわけではないけど、一応満足した。
この分野はかなり以前から注目されているけど、いま現在に至っても、華々しく活躍している技術という印象がない。でも、合併処理浄化槽なんかで普通につかわれているわけだけど・・・。

雑誌「milsil ミルシル DNAと保存科学で生物標本を活かす」(2019年No.2 通巻68号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「DNAと保存科学で生物標本を活かす」。博物館が収集・保存する生物標本のDNA解析のお話。
わたしは子どもの頃から博物館が好きだった。中でも、理路整然と分類分けされ展示されている生物標本と、あまたある中からわずかに抽出して限られたスペースに雑然と並べられた理工系展示の両極端が好きだった。高校時代に、某博物館のバックヤードを見学する機会があり、標本が作られ、保存される現場を見たときはちょっと感動した記憶がある。ただ、その頃は標本のDNA解析などなかった時代で、漠然と・・・リンネの時代と同じように収集して保存しているだけの、辛気くさい世界だと思っていた。・・・それがいまでは、DNA解析という新しい研究手法が登場して、博物館の生物標本の存在価値が一変した。当然、研究成果は展示にも反映されていくわけで、博物館がますます面白くなっていく・・・はず。

BOOK「国立科学博物館シンポジウム 大都会に息づく生き物たち 附属自然植物園の生物相調査より」パンフレット

1月27日(日)科博の上野本館で開催されたシンポジウムのパンフレット。
東京白金台に広がる自然教育園は、都市緑地の生物相のモニタリングポストとして活用されてきた経緯があり、今回の調査は2000年以来の大規模調査。2016~2018年の3年間に渡って実施された。
シンポジウムでは、その調査結果の概要が発表され、生物相の時代的な変化や、外来種の侵入状況、新種の発見等について紹介された。この冊子は、一般向けの中間報告的なもの。シンポジウム参加者には配布されたもの。より専門的で詳細な調査報告は、「園報」として別途つくられるのだろう。
このテーマのミニ企画展が、3月9日(土)~5月12日(日)、白金台の自然教育園で開催予定。桜のシーズンも含まれているし、久しぶりに出かけてみようかな。

 

雑誌「milsil ミルシル 博物館における文化財科学」(2019年No.1 通巻67号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「恐竜から鳥へ ―進化の軌跡」。ディノニクス以降の恐竜研究の最新成果のお話。
わたしが子どもの頃、「恐竜」はただ巨大な爬虫類というイメージで、あまり面白い存在ではなく、あまり興味を持たなかった。ゴジラやウルトラシリーズの怪獣のベースになったから、そちらの方がなじみ深かった。
それがいつの間にか、日本国内からも恐竜の化石が発見されるようになり、博物館までできた。変温動物から恒温動物に変わり、鳥類との関係性が変わり・・・子育てする恐竜が明らかになったり、いくつかの恐竜は体色までわかったり、そのイメージを大きく変えた。もう少し興味を持って勉強しておくんだったとも思うけど・・・。
連載の「日本の国立公園」は、今回の南アルプス国立公園で最終回。次号から、たぶん新しいシリーズがはじまるのだろう。

BOOK「わたし琵琶湖の漁師です」

わたし琵琶湖の漁師です
戸田直弘著
(光文社新書:680円+税)
※古書を購入

琵琶湖は日本一面積の広い湖で、内水湖では唯一の漁業組合がある。それだけ、産業として漁業が大きな一を占めているのだろう。著者の戸田氏は琵琶湖の漁師として活躍される傍ら、琵琶湖の生態系を考え、改善していくための活動もされている。水質汚染、護岸工事による破壊、外来種、鵜、漁協の老齢化・営利追求体質、伝統的漁法の喪失など、危惧すべき問題は多い。
特に後半では、バスやブルーギルといった外来魚を放流し、釣ったサカナはそのままリリースしてしまう、いわゆる「スポーツ」「遊び」としての釣りとの対立が描かれている。
これは、あくまでわたしの個人的見解だけど、外来魚を放流した人間は死刑、それを釣って楽しむ人間は、放流された外来生物を絶滅させるまで強制労働を課すべきだと思っている。それだけ、取り返しの付かないことをやったのだと自覚させる上でも、厳罰に処すべきだ。

雑誌「milsil ミルシル ふしぎで多彩な変形菌の世界」(2018年No.5 通巻65号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌(隔月年6回発行。税込定価420円)。
今回の特集は「ふしぎで多彩な変形菌の世界」。この「ミルシル」の特集記事は、科博が予定している企画展のテーマと微妙に関連していることが多いのではないかと思っているけど、今回の「変形菌」は、関連している気配がない。昨年末から今年のはじめにかけて、「南方熊楠」の企画展をやったばかりだし。「変形菌」は地味な存在ではあるけど・・・わたしは熊楠ファンなので、嫌いな存在ではない。
この号で気になったのは巻頭のインタビュー記事。リチウムイオン二次電池を開発した吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)・・・ノーベル賞候補の呼び声も高いので、名前だけは知っていた。モバイルだ、ウェアラブルだと身の回りの電子機器の進化にはついていけない勢いがあるけど、それもこれもこの電池があってこそのこと。いくら感謝してもバチは当たらないはず。

BOOK「動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ」

動物たちの反乱
増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

河合雅雄、林良博編著
(PHPサイエンス・ワールド新書:880円+税)
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テレビのニュースなどで、シカやサルによる農業被害、人家のある地域にイノシシやツキノワグマが出没したなどという話があると、有識者なる人たちが「里山の荒廃」という言葉を口にする。この言葉を聞く度に、わたしは納得のいかないものを感じていた。そしてこの本を読んで、わたしは「里山」というものを理解していなかったことに気がついた。
わたしは北海道に生まれ育ったので、本州でいうところの、隅々にまで人の手が入った「里山」というものを実感してこなかった。いまの北海道は違うだろうけど、半世紀近く前の北海道には、里山のような中立地帯はほとんどなく、裏山ですらヒグマが支配する土地だった。だから、廃村により人間が後退した地域、開発が進んで里山を切り拓いてしまった地域では、その頃の北海道と同じような距離感に生まれてしまっているのだろう。
人口が増え、人間がどんどん自然を切り崩していた時代は、野生動物はゆるやかに絶滅する方向で減っていく。でも、地方が衰退し、放棄地が増えると、野生動物が反撃してくる。自然保護の意識もあるし、むやみに駆除もできない。さらに、外来生物という援軍?も押しかけてきて、勢力を伸ばしている。『進撃の巨人』のような壁でも作るしかないんじゃないかな^^;;

BOOK「ねむりからさめた日本ワニ 巨大ワニ化石発見ものがたり」

ねむりからさめた日本ワニ
巨大ワニ化石発見ものがたり

野田道子・作
藤田ひおこ・絵
(PHP愛と希望のノンフィクション:1,262円+税)
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子ども向けの本だけど、古代日本のワニ化石というテーマにひかれて読むことにした。ルビのふられ方から推測して、小学校高学年なら楽に読める本だろう。
いまから40万年前まで、日本にはたくさんのワニが棲息していた。それを証明したのは、昭和39年に大阪豊中市で発見された「マチカネワニ」の化石。推定6.5メートルもの大きさがあったらしい。この化石を発見した二人の高校生(浪人生)のお話とその後の本格的な発掘調査のお話。
その後、ワニの化石は北海道を除く日本各地で発見されているとか。日本にいつから人間が住んでいるか意見が分かれるところだけど、40万年前なら旧石器人がいてもおかしくはない年代。
因幡の白兎に登場する「鰐」はサメのことらしいので、日本の神話時代にマチカネワニの生き残りがいたわけではない。下水道でワニが繁殖しているという都市伝説があるけど・・・温暖化がすすむ現在なら、外来生物として日本でもワニが棲息してもおかしくないのではないか? カミツキガメが定着できるわけだから、ワニだって可能なはずだ。

雑誌「milsil ミルシル 広がる「地図」の世界」(2018年No.4 通巻64号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「広がる「地図」の世界」。国土地理院の先生方が測地系の歴史、スマート社会の新しい地図像を紹介している。
似たようなテーマで、かなり以前に国土地理院を取材したことがあるけど、あのころはスマート社会なんていう単語のスの字もなかったので、いろいろ新しいことが紹介されていた。いまではカーナビどころか、歩くための日常的な地図までデジタル化されている。近い将来には、クルマの自動運転やらドローンの宅配便などもこうした地図インフラの上で動くわけだけど・・・歩きスマホする人が邪魔でぶつかりそうになるのが当たり前の時代、本当に安全なサービスが実現するのか、地図とは別の次元で、内心、ちょっと心配ではある^^;
サブ特集は「カタツムリ」。カタツムリが左巻きなのか右巻きなのか、気にもしたことがなかったけど・・・世の中のたいていのことには専門家がいて、一見、どうでも良いことを研究していたりするので、別に驚かないんだけど・・・「ヘビ仮説」か、ちょっと驚いた。