雑誌「milsil ミルシル 樹木の科学」(2018年No.3 通巻63号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「樹木の科学 ~木の形はどのように決まるのか~」。
樹木の形なんて、いままで気にしたこともなかった。盆栽でもやっていれば別なんだろうけど、街中で暮らしていると、樹木と接する機会なんてまずないから。公園の木々や街路樹など、身近に樹木がないわけではない。でも、お花見では花ばかり見ているし、落ち葉の季節には枯れ葉が邪魔くさいと思うだけで・・・樹木そのものを意識することはない。いつもミルシルで驚かされるのは、こういうことを研究している人がいるという事実。
その他主だった記事は、アリと共生している「ハネカクシ」という昆虫と、屋久島国立公園。ニュース記事の中で気になったのは、宇宙が誕生した直後に生まれた最古の星「ファーストスター」由来の電波を捉えたという記事。・・・この号は今までにも増して地味な内容だったな。

BOOK「生物はウイルスが進化させた 巨大ウイルスが語る新たな生命像」

生物はウイルスが進化させた
巨大ウイルスが語る新たな生命像

武村政春著
(講談社ブルーバックス:amazon:1,058円)
※Kindle版を購入

武村先生の本を読むのは、『新しいウイルス入門 単なる病原体でなく生物進化の立役者?』に次いでこれが2冊目。ウイルスと生命、あるいは進化との関係が気になって読んでいるわけだけど・・・この本は「ミミウイルス」「パンドラウイルス」など、光学顕微鏡でも見ることができる大きさのウイルスがテーマ。ここでいう巨大は単にウイルスのサイズだけではなく、そのDNAの長さのこと。DNAの情報量が大きくなれば、それだけ複雑な構造や機能を実現できる。
ウイルスは宿主の細胞内に自己複製を行うウイルス工場を作る。原核細胞の中にウイルスが作るウイルス工場が進化して細胞核となり、真核細胞が生まれたとする説。遺伝子の水平移動に関する説・・・このへんが、生物の進化にウイルスが関係しているのではないかとしている。ヒトゲノムの40パーセント程度がウイルス由来ではないかとする研究もあり、そう考えると、ウイルスの存在の大きさが感じられる。
わたし個人の立場だけど、DNAの突然変異だけでは、生物の進化を説明できないと感じていて・・・そういう説明をしている本を読む度に納得できずにいた。だから、ウイルスを介した遺伝子の水平移動というのは、ものすごく魅力を感じる。
まあ、素人のわたしがいっても仕方がないことだけど・・・少なくとも、突然変異説では素人すら納得させられないのが現実だと思う。

雑誌「milsil ミルシル サンゴの知られざる世界」(2018年No.1 通巻61号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「サンゴ」。
北海道に生まれ、東京に住んでいると、日常生活でサンゴを見かけることはない。食品としてスーパーに並ぶこともないし、工芸美術品としてのサンゴにも縁がない。それでも、昨年宮古島に行って、伊良部大橋から珊瑚礁の海を眺めたので、遠くからは見たことはある。
でも、サンゴについて日常生活で耳にするのは、テレビニュースで白化が進んでいるという気候変動がらみの報道だろう。サンゴは環境の変化に弱い生物で、気候変動で危機的状況にある云々といった内容が多くを占めている。あるいは、どこぞの国の密漁船が赤珊瑚を狙って領海侵犯を繰り返しているといったニュースもあった。
でも結局、わたしにとってサンゴは身近な存在ではないということだな。記事を読んでも、イソギンチャクなどの仲間だということ以外なにも残らなかった^^;;
あくまでも個人的な興味関心ということだけど・・・興味のないテーマが特集されている号は、やっぱり読んでいて面白くないな。博物館で展示を見るのは、たいていのものが面白いと感じるんだけど・・・。

BOOK「進化論の最前線」

進化論の最前線
池田清彦著
(集英社インターナショナル新書:amazon:680円)
※Kindle版を購入

わたしは、ダーウィンの進化論を否定する気はないけど、ずっと納得がいかない点があった。小さな進化が積み重なっていく進化論では、大きな進化である新しい「種」は生まれない。そう思って、納得できていなかったのだけど、現在のネオダーウィニズムでも、この問題は説明が付いていないとのことで、個人的には安心した。これを解決できるのは・・・ということで、遺伝子が発現するときの文脈について説明し、著者の構造主義進化論を説明している。たしかに、エピジェネティクスの例は説得力がある。
この本では、進化論の歴史から発生学、DNA研究など最先端の研究成果を盛り込み、進化について考察し、進化論を検証している。でも、後半に入り、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交配の部分で、再び納得がいかなくなった。異なる「種」の間では生殖が行えない、仮に子どもが生まれたとしても、その子には生殖能力がない。だから、その遺伝子交換できない。と、「種」に関して理解していた。しかし、わたしたちホモ・サピエンスに数パーセントネアンデルタール人のDNAは入っていて、つまり、交配していたとなると、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは同じ「種」ということにならないか?
でなければ、上に書いた、わたしが知っている「種」の定義が違うということだな。このことに気づいただけでも収穫だった。

BOOK「爆発的進化論 1%の奇跡がヒトを作った」

爆発的進化論
1%の奇跡がヒトを作った

更科功著
(新潮新書:720円+税)
※古書を購入

地球上の動物が一気に多様化した「カンブリア爆発」についての本。「膜」「口」「骨」といった体の部位毎に、どのように発生し進化してきたかを解説している。
一般向けに書かれた新書なので、例えを用いてわかりやすく書こうとしているのだろうけど・・・読みはじめてすぐに戸惑った。「膜」の項で、家と掘っ立て小屋といった例えが出てくるけど、非常にわかりにくい。ふつうにそのまま解説してくれた方がイメージしやすいんじゃないかと・・・。そんな部分がいくつか散見できた。
また、体の部位毎に章を分けているので、時系列が遭わなくなるし、どの動物の話なのかが飛んでしまうことも多く、ある意味では読みにくい。カンブリア爆発の話だと思って読んでいると、違う時期の話だったりもするし・・・。ちょっとまとまりがない感じ。
でも、細々と驚くような話はいくつかあった。肺をもつ魚が最初にいて、その肺が浮き袋に進化していったというのはちと驚いた。だから、金魚が水面でパクパクやって酸素を補給できているのか・・・。
で、結局は、ものすごくとりとめのない内容の本だった。

雑誌「milsil ミルシル ようこそ!コケの世界へ」(2017年No.5 通巻59号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「コケ」。
いつものことだけど地味なテーマ^^; 最近は、どこにでもマニアックな女性がいるらしく、「コケじょ」「コケガール」などという呼び名もあるくらいなので、地味なテーマなどというと叱られるかも知れない。でも、「コケ」と「地衣類」は別物だけど^^;;
わたしも若かりし頃、わびさびの世界に関心があったので、それなりに見慣れた存在ではあるけれど、でも、正直いうとあまり興味がない。「万葉集」や「古今和歌集」などの歌に詠まれたコケの話などは、面白く読んだ。
この号の記事で他に気になったのは、「斎藤報恩会貝類コレクション」に関するもの。現在、科博にあるとは知らなかった。というか、仙台の斎藤報恩会自然史博物館は閉館してしまったのか・・・。かつて20代の頃、仙台に遊びに行ったときに見に行こうとしたものの、同行者の反対で見に行けなかった博物館。地味な博物館だから仕方がないという気もするけど・・・そういうことが何度か重なり、以降、興味関心の異なる人間とはなるべく一緒に行動しないことにしている。