BOOK「竜馬がゆく(八)」

竜馬がゆく(八)
司馬遼太郎著
(文春文庫:629円+税)
※古書を購入

この小説もこれが最終巻。つまり、勤王討幕の山場ではあるけど、志半ばで龍馬は殺されてしまう。ふつう、どんなに危機的状況でも、ヒーローは生き残る。生き残るからヒーローともいえる。でも、竜馬だけは、死んだ後もヒーローであり続けている・・・。
この巻は「大政奉還」の仕込みから実現までと、並行して「錦の密勅」は土佐・長州に硬化されるかのタイムレース状態。徳川慶喜が体制の奉還を決心した直後に、密勅が出されたが、これは無効。叩くべき幕府が消滅してしまったから。
大政奉還という無血革命が成り、竜馬の最後の仕事は新政府づくり。八分までは自分で行い、残りは田のものに任せるという思想で、竜馬自身は新政府には参加する気はなかった。「この仕事が片付いたら、海に戻るんだ」という龍馬の言葉は、いまでいえば、明らかな「死亡フラグ」に違いない^^;;
なるほど、坂本竜馬も偉業については納得した。死んでしまったから維新後の活躍がなかったことで、中途半端な印象を抱いていたらしい。たしかに竜馬の存在は巨大だったけど・・・かれこれ150年も過ぎた今日、高知県はいまだに「坂本竜馬」で発展が止まってしまっているような気がするといったら、彼の地の人々に失礼だろうか。
<完結>

BOOK「竜馬がゆく(七)」

竜馬がゆく(七)
司馬遼太郎著
(文春文庫:552円+税)
※古書を購入

明治維新の中心的な働きをした藩は、薩長土といわれるけど、ここまでは脱藩浪人が活発に動いていただけだった土佐藩がようやく動きはじめた。
船を持たない商船会社は惨めなものだけど、どうにか船を手に入れ、さらに土佐藩の支援を受け海援隊へと発展させた。でも、長崎で綿を仕入れて持ち船で運び、上方で売るという仕組みは、北前船あたりとそう大きな違いがない。利益は上がるけど、竜馬的な独創性を感じられないのだが・・・。そういえば、この小説に北前船はいまのところいっさい触れられていない。でも、竜馬には船についての運がない。汽船・いろは丸まで、積み荷ごと最初の航海で沈めてしまった。
時勢が来て、竜馬は本腰を入れて動きはじめたけど、最後に「大政奉還と「船中八策」。ここにも勝海舟という偉人が見え隠れしている。竜馬って、海舟に見えない糸で操られていたんじゃないかと疑いたくなる。
余談だけど・・・かねてから不思議だったことがある。岩崎弥太郎がどうやって土佐藩の財産を受け継いだのか? 維新のどさくさ紛れで、家老・後藤象二郎が勝手に与えたものらしい。見返りとして藩の借金をすべて押しつけたらしいけど^^;;

BOOK「竜馬がゆく(六)」

竜馬がゆく(六)
司馬遼太郎著
(文春文庫:552円+税)
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この巻は竜馬の薩摩行から亀山社中の設立、薩長同盟、直後に寺田屋で手負いとなり、お竜を連れて薩摩に下り長崎へ。さらに第二次長州征伐に参戦したところまで。
薩長同盟の成立は、竜馬の最大の功績だと思うけど、予想以上の活躍だった。ついでに、蒸気船の威力というか、交通インフラの重要性もよくわかった。でも、第二次長州征伐の直前、京阪は竜馬をターゲットとして厳重な警備がしかれていた。やっぱり、ここに来て竜馬は本当に大物なのだと納得した。
お竜という女性があまり好きではないけど、竜馬はついにお竜と一緒になった。この時代から「白衣の天使」効果は存在していたらしい^^;; 日本初の新婚旅行といわれる竜馬・お竜の塩浸温泉行きは、よくクイズ番組で出題されたりして知っていたけど、基本的には怪我の療養だったのか、これは知らなかった。
第二次長州征伐の様子は、昨年、北九州市立いのちのたび博物館で特別展「関門幕末維新伝」を見ていたので、それなりに理解していた。なかなか面白い巻だったけど、ある意味ではこれが坂本竜馬最大の山場なんだろう。

BOOK「竜馬がゆく(五)」

竜馬がゆく(五)
司馬遼太郎著
(文春文庫:552円+税)
※古書を購入

この小説、要所要所に日付が入っているので、当時のめまぐるしい動きが克明にわかる。でも、竜馬の動きに関係のない事柄には原則触れないので、薩英戦争などは完全に飛ばされている。あくまで小説であって、歴史を解説しているわけではないから仕方がない。
この巻は、池田屋事件から蛤御門の変、神戸軍艦操練所の閉鎖、第一次長州征伐まで。竜馬は相変わらず、近くをうろちょろしているだけで、核心的なことはなにもしていないし、そもそも当事者でもない。この間、一度江戸に下っているけど、これが最後の江戸だというから・・・さな子は出番がなくなってしまうのか・・・。
薩摩が出てくる時節だから、西郷隆盛が登場した。そして、海舟の斡旋で竜馬と西郷が初めて顔を合わせるわけだけど・・・。わたしが以前から思っていること、幕末・維新は勝海舟が回したという感想が、改めて強くなった。竜馬と西郷は将棋の駒に過ぎなくて、勝海舟が只一人が将棋を指しているんじゃないだろうかと。
お竜と田鶴さまが神戸で鉢合わせしたのは史実なんだろうか? お竜、恐るべし^^;; ここにさな子もいたら面白かったのだけど。

BOOK「竜馬がゆく(四)」

竜馬がゆく(四)
司馬遼太郎著
(文春文庫:552円+税)
※古書を購入

前巻からこの巻にかけてのあたり、竜馬がいちばん訳のわからない時期なんだけど・・・あれよあれよという流れで、神戸に海軍伝習所ができることになった。海舟を親分として、竜馬が塾頭だという。にもかかわらず、竜馬は攘夷志士。
土佐藩は内部が複雑で、薩長に比べて動きが悪い藩ではあったけど、ついに山内容堂が返り咲き、土佐勤王党は瓦解。それにしても、当時の思想は複雑だ。倒幕と佐幕、開国と攘夷の4つの組み合わせしかないと思っていたら、勤王はこれら4種すべてと組み合わせられる。公武合体なんていうのもあったりする。
竜馬はお竜と結ばれることを知っているので、さな子が不憫でしかたがない。読みながら、思わずガンバレ!と応援したくなる。
竜馬はついに軍艦を手に入れ、海舟に連れられ長崎と熊本に出かけた。見聞を広げ、竜馬を育てるための旅だけど・・・ここまでのところ、思想的な主役は勝海舟だな・・・。

BOOK「竜馬がゆく(三)」

竜馬がゆく(三)
司馬遼太郎著
(文春文庫:590円+税)
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失敗したな、もっと早く読むんだった。本気で面白い。
この巻は、竜馬が脱藩後、京都や江戸に上り、勝海舟と交流し、お竜と出会ったあたりのお話。歴史的評価が固まっているというか、その後の維新政府でも存在感を示したからだろうか、やっぱり、勝海舟というのはなかなかの人物として描かれている。
以前から、勝海舟という幕臣と竜馬の関係がよくわからなかったけど、正直いってよくわからない。竜馬という愛されるキャラが、立場を超えてつながったということなんだろうけど・・・竜馬がここまで信頼されていたとは思わなかった。やはり、海舟という人間のでかさ故だろうか。ようやく、倒幕・開国して強兵化という方針で、海軍学校・私設海軍の設立という目標が固まってきた竜馬だけど、それもやはり海舟の存在が大きいように思う。
それにしても、ついにお竜と出会ってしまったか・・・さな子が不憫だ・・・。

BOOK「竜馬がゆく(二)」

竜馬がゆく(二)
司馬遼太郎著
(文春文庫:629円+税)
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この巻は、竜馬が脱藩したところまで。予想以上に面白い。
司馬遼太郎は、膨大な資料を集め、歴史学者のように研究をした上でこの小説を書いたのだろうけど、どこまでが史実でどこが創作なのか? でもたぶん、坂本竜馬という人物が不思議な魅力を持ち、人を集めていったというのは事実なのだろう。一夜限りの逢瀬を持った女性とか、身分上の隔たりがあるお姫様との逢瀬とか、資料として残っているものだろうか・・・。とにかく竜馬はモテる。これがラノベなら、ハーレムエンドが狙えそうなくらいにモテる。まあ、主人公だから仕方がないけど・・・。
それでも、わたしが最初に思っていた疑問・・・竜馬は司馬遼太郎が創ったヒーローで、現実にはさほど活躍していないのではないかという疑問は解消したように思う。若いときから存在感を示していたし、それなりの人物だったのだろう。反面、若かりし日の竜馬が本当に昼行灯なキャラだったのかという疑問がわいてきた。このへんは司馬遼太郎のさじ加減という気がしないでもない。

BOOK「竜馬がゆく(一)」

竜馬がゆく(一)
司馬遼太郎著
(文春文庫:629円+税)
※古書を購入

昨年11月に北九州市に出かけた折、北九州市文学館「没後20年 司馬遼太郎展」を見る機会があった。会場に入った途端、この「竜馬がゆく」の新聞連載のキリヌキがずらっと並んでいて、ちょっと圧倒された。そんなこともあり、時間がとれたらじっくり読んでみようかな、という気持ちがわき上がっていた。で、正月休み用に、古書をまとめ買いしておいた。
坂本竜馬は、いまでこそ幕末期の大スターとなっているけど・・・司馬遼太郎がこの小説を書かなければ、不遇のまま命を落としただけの、小さな存在なのではないか、この小説が作り上げたヒーロー像がウケているだけなのではないか、というのが、この小説を読む以前のわたし個人の印象。ということもあり、今までこの小説を読もうと思ったことがなかったわけだ。
さて、この印象がどう変わるだろうか、あるいは変わらないだろうか?
それはさておき、この第1巻の感想はふたつ。さな子がかわいい^^ そして、竜馬が童貞をこじらせなくて良かった^^;;