BOOK「日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門」

日本人は人を殺しに行くのか
戦場からの集団的自衛権入門

伊勢崎賢治著
(朝日新書:amazon:648円)
※Kindle版を購入

わたし個人としては、日本が集団的自衛権を行使できるできない云々は、まあ、できた方が良いのだろうと思った程度で、とくに異論はなかった。むしろ、閣議決定で憲法解釈を変更するだけという、手続き上の手軽さが意外だった。
この本は、かなり煽ったタイトルの割には、意外に常識的な内容で・・・ちょっと肩すかしを食らった感じ。もっと強烈に反対しているのかと思った。でも、紛争解決の専門家としての個人的体験に基づいた論旨で、もう少し大局的な視点で論を展開して欲しかった。
そもそも、集団的自衛権って、世の古今東西を問わず、街のチンピラたちがグループを作ったり、暴走族や暴力団なんかの発想と同じ・・・。国家レベルでいえば、大国にくっついていれば安心だという、倭の奴国や邪馬台国の時代から変わらない発想だったりする。さらにいえば、2度の世界大戦もある意味では集団的自衛権の元で行われたわけで・・・もう少し現代的な、新しい概念で戦争を抑止する方法ってないものだろうか?

コミックス「ゴルゴ13×外務省」

外務省が制作した中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル。
ゴルゴ13という暗殺者キャラを用いた劇画部分と、テキスト部分に分かれた構成。ネットでは死ぬほどつまらない関連動画も公開されている。リアル本は手に入りそうもないので、外務省のHPで公開されているPDFを読んだ。『東京防災』のように、amazonで無料の電子書籍を配布すれば良いのに・・・。岸田外務大臣は、桝添前都知事より気が利かないらしい。
この数年、テロが中東や北アフリカのみならず、欧米やアジアに拡散し、今や在外邦人もテロの標的になっている。 このような状況下、外務大臣は在外邦人の安全対策のためにデューク東郷(ゴルゴ13)に協力を要請。 ゴルゴは大臣の命を受け、世界各国の在外邦人に対して、「最低限必要な安全対策」を指南するための任務を開始した・・・という設定。
たしかに、危機管理という意味で、ゴルゴはプロなんだろうけど・・・プロだから、当然、多額の報酬が必要だ。きっと、領収書が不要で、会計検査院の監査も免除、使途が公開されることはない内閣官房報償費から極秘裏に支払われたのだろうから、報酬の有無や金額が公表されることはないだろう。本業である殺人の依頼ではないとはいえ、でも、世界的な犯罪者に報酬を支払うというのは、道義的にどうなんだろう?
※このコメントはフィクションであり、実在する人物、地名、団体とは一切関係ありません。

BOOK「零戦 その誕生と栄光の記録」

zerosen零戦
その誕生と栄光の記録
堀越二郎著
(角川文庫:552円+税)
※古書を購入

宮崎駿監督の劇場版アニメ「風立ちぬ」が公開された頃、その題材となった堀越二郎の著書があれば、読んでみたいと思っていた。そのうち忘れてしまったんだけど、古本屋でたまたま見かけて思い出した。
戦後25年が経って書かれた本で・・・零戦の開発の経緯からはじまり、実戦投入とその戦果、終戦を迎えたときの気持ちを振り返っている。基本的には、技術者としての苦労話だけれど、技術的課題をクリアしたときの喜びといった、技術者ならではの視点で描かれている。零戦は戦闘機だから、実戦での戦果がそのまま評価につながる。堀越自身も零戦の戦果は気にしていたし、もちろん、終戦間際に神風特攻に使われたことも・・・。
零戦は太平洋戦争を代表するピカイチの戦闘機だけど、敵国ではその名を広く知られていたにもかかわらず、日本国内では終戦近くまで名前すら極秘にされていた。「零戦(ゼロ戦)」と呼ばれるようになったのは戦後のことなのだとか。その意味で、戦後の日本人にとって「零戦」は、特別な存在なのだと改めて思った。太平洋戦争を美化する気もないし、戦前の日本の技術力をことさら誇る気もないけど、やっぱり、特別な存在だと思う。強いて言い換えれば、サムライを象徴する日本刀のような感じだろうか。

BOOK「中国の戦争力 台頭する新たな海洋覇権の実態」

chugokunosensouryoku中国の戦争力
台頭する新たな海洋覇権の実態
小川和久/西恭之著
(中央公論社:1,600円+税)
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かつて、日中国交正常化の時、反覇権条項を共同宣言に入れろと迫っていた中国が、アメリカに対して東太平洋の覇権をよこせと堂々と言う・・・横暴以外の何物でもない。
この本はガチに中国の軍事力を検討して、主にアメリカとの比較で戦争力を論評している。軍事評論家の小川和久は信用に値する見識を持った著者だけど、たぶん、この本に書かれたような真正直な戦争は起きないんじゃないかと思う。
この時代、中国が戦争をするとしたら、正規軍同士が正面衝突するような戦争ではない。中国共産党が生き延びるには高い経済成長を維持し続けるしかなく、そのためには真正直に事を構えることは出来ないだろう。そんなことしたら、貿易に影響が出て、中国への投資はがた減り、株価が暴落して成長率が下がる。その結果、国内の矛盾が暴発して・・・。
だからこそ、中国が出来る戦争は、中国政府の意向を汲んだ自称民間人による占拠など、なし崩し的侵略であり、海上警備隊のような組織での威力行動しかない。つまり、いままさに中国が実戦している手法だ。
ようやく日本も集団的自衛権に大きく舵を切って、戦争が出来る国になりつつあるけど・・・こと中国に関していえば、本当に戦争などする必要すらない。日本とアメリカが経済制裁するだけで、しばらくしたら中国経済は崩壊する。ただそれだけのことだ。もちろん、世界経済もとんでもない事態に陥るだろうけど^^;;

BOOK「サリン事件 科学者の目でテロの真相に迫る」

sarinjiken.jpgサリン事件
科学者の目でテロの真相に迫る
Anthony T. Tu著
(東京化学同人:1,800円+税)
※古書を購入

この本の存在は以前から知っていたけど、なかなか読む機会がなかった。平田被告や高橋被告の裁判が始まるなどして、最近、ニュースにも登場したので、この機会に読んでみることにした。
オウム真理教が起こした一連の事件は、VXガスやサリンガスを使った世界的に見ても希有なテロだ。日本ではあまりテロという印象がなくて、むしろ海外でこそ研究が進んでいるのかも知れない。
日本では、テロといえば中東や北アフリカあたりでのテロが注目され、移民の多いヨーロッパやアメリカでの物事だと思っている向きがある。日本人ジャーナリストがISに殺害されたりして、日本もテロとは無関係ではないという論調があるけど、まだまだ他人事で危機感は薄い。でも、日本はオウム以前にも、テロがたくさん起きた国のひとつだ。日本人が起こしたテロもたくさんある。旅客機のハイジャックも起きたし、連続企業爆破事件ではいくつも時限爆弾が爆発した。
連合赤軍はイデオロギー的なテロで、オウムは宗教的なテロ。違いがあるようでいて、実は違いがはっきりしない。なら、ISはどうかというと、反欧米というイデオロギーでもあり、同時に宗教的なテロでもある。そう思うと、日本の内部にもIS的なものがあるのではないかと、ちょっと恐ろしくなるのだけど・・・。

BOOK「銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密」

juunokagaku銃の科学
知られざるファイア・アームズの秘密
かのよしのり著
(サイエンス・アイ新書:952円+税)
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銃器に関する本は何冊か読んでいて、基礎的な部分は他の本とたいして代わり映えしない内容ではあったけど、予想外の情報があった。猟銃や競技用の銃器と軍用の違いといった情報は、他の本には書かれていなかった。基礎中の基礎なんだろうけど^^;;
自分でも、こういう本を何冊も読むのはどうなのかと思うこともあるけど、まあ、わたしはあくまで活字上の知識があれば十分。実物の銃器には興味がないし、ましてや、中東の某所に行って戦ってみたいなどとは死んでも考えない人間なので^^;;

BOOK「海上保安庁「装備」のすべて 海の治安と安全をつかさどる警備隊の実力に迫る」

kaiho_subete海上保安庁「装備」のすべて
海の治安と安全をつかさどる警備隊の実力に迫る
柿谷哲也著
(サイエンス・アイ新書:amazon:800円)
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尖閣列島の領海侵犯やら、中国船による小笠原諸島での紅サンゴ密漁やら、日本の近海での警備活動がニュースに取り上げられることが多いけど、海難救助も海上保安庁の仕事。軍隊ではないので、過分に強力な兵器は持っていないし、だいたい想像の付く装備ばかりではあった。
日本は世界有数の領海・排他的経済水域を持つ海洋国家で、海上保安庁が担う仕事の多さと活動域の広さを考えると、装備の質もさることながら、量的に足りているのかがいちばんの心配事。国の財政も潤沢ではないし、海保だけに突出した予算を付けるわけにはいかないのだろうけど・・・中国という傍若無人な隣国が不穏な動きを見せている今日、海保はもっと強化されてしかるべきだと思う。