BOOK「図解 超高層ビルのしくみ 建設から解体までの全技術」

図解・超高層ビルのしくみ
建設から解体までの全技術

鹿島著
(講談社ブルーバックス:880円+税)
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ぜんぜん関係ない話だけど・・・村上龍の小説『コインロッカー・ベイビーズ』が出たのは1980年。西新宿に超高層ビルが立ち並んで・・・という時代背景を紹介するシーンを憶えている。でも、気がつくと、都内は至る所に超高層ビルが生えている。日本のように地震の多い国では、特別な技術が求められ、超高層ビルには向かない国土であるという認識は大むかしのものだ。
すでに赤坂プリンスホテルは解体されてしまったけど、霞が関ビルはいまだ現役。東日本大震災で倒れた超高層ビルは1棟もなかったし、首都圏直下型地震にも耐えるということになっている。
ゼネコンが著者なので、建設工法が中心ではあるけど、安全性や快適性など幅広く紹介している。ブルーバックスとしては入門書レベルで、あまり突っ込んだ内容はなかった。

BOOK「史上最強カラー図解 プロが教える 橋の構造と建設がわかる本」

史上最強カラー図解
プロが教える 橋の構造と建設がわかる本

藤野陽三:監修
(ナツメ社:1,800円+税)
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景気刺激策の定番であった公共事業への風当たりが強くなって、大型の公共工事が目立たなくなった。でも、地方ではいつの間にか大きな橋が架かっていたりして、気づかないところでは着々と公共事業は進められている。
橋は、材料の強度任せに自力で踏ん張る、下から支える、上から引っ張るの3つの力の組み合わせで成り立っている。だから、意外に構造が複雑で、美しかったり格好良かったりする。でも、この本で説明されている東京ゲートブリッジは写真でしか見たことがないけど。・・・橋と並んで土木工事の花形であるトンネルには見られない。そもそも、トンネルは地中にあるので、全体像が見えない。
無理しているようでありながら、台風や地震にも余裕で絶えていたりする。関西国際空港の橋に船が激突して通行できなくなるというのは・・・想定外の出来事だったんだろうな。

BOOK「ダムの科学 知られざる超巨大建造物の秘密に迫る」

ダムの科学
知られざる超巨大建造物の秘密に迫る

一般社団法人ダム工学会
近畿・中部ワーキンググループ著
(サイエンス・アイ新書:952円+税)
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テレビニュースで見たことだけど・・・最近、「ダム」が人気らしい。あるいは、「ダムカレー」なるカレーライスが人気なのか・・・。もちろん、「ダムガール」なる人たちもいるらしい。
わたしは特別にダムが好きというわけではないけど、むかし、山登りをしていたときに登山口ちかくのダムを訪れたことはあった。だから、その大きさや迫力は体感しているし、ダムの機能や構造なども取材したことがあるので一通りは知っていた。なので、目新しい情報はあまりなかったけれども・・・ひとつだけ、新たな知見があった。今後のダムの役割。
田中康夫元長野県知事の「脱ダム宣言」以降、ダムへの逆風が吹き、ダムの時代は終わったような気になっていた。でも、いわれてみれば、脱ダム宣言が正しかったのか、考えたこともなかった。地球規模での気候変動がどうこういわれる現在、ダムには本来的な意味で存在意義が高まっているのではないか。記録的な豪雨による水害も各地で頻発しているし、先日の北海道での地震で北海道全域がブラックアウトしたとき、その復旧は砂川の水力発電所からの電力からはじまった。この視点から、もう少し勉強してみようかなという気になった。

BOOK「丹下健三 戦後日本の構想者」

丹下健三
戦後日本の構想者

豊川斎赫著
(岩波新書:840円+税)
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いままで、「現代建築」に関して興味を持ったことがなく、ずっとずぶの門外漢であり続けている。とくに、「脱構造主義」とか訳のわからないものが主流になって、建築設計が理工系の分野から逸脱しはじめてからは、なおさら目を背けてきた気がする。だから、磯崎新とか、黒川紀章とか、日本を代表する建築家といわれる人たちについても、名前は聞いたことがあるけど、どういう人たちなのかはぜんぜん知らない。
その、磯崎新、黒川紀章の師匠筋に当たるのが丹下健三で、ある意味では戦後日本の当たり前の都心の風景を産みだした人という程度の知識しかなかった。少なくとも、日本の主要な地方都市の中心部にある役所や官庁の出先機関、郵便局本局といった、パブリックな建物の多くが丹下健三風のデザインで・・・金太郎飴のように同じ顔をしているのは、不思議ではあるけど、ある意味ではすごいことだと思う。
そして、戦後生まれで、高度成長期に育ったわたしは思うのだ・・・戦後の焼け野原しかなかった、いわば真っ白なキャンバスに自由に絵を描けた世代は楽しかったろうなと。もちろん、その後の世代であろうと、才能のある人は新しいなにかを書き続けるわけだけど・・・少なくとも日本中が同じような風景になるほどの仕事はできないわけで・・・。

BOOK「非常識な建築業界 「どや建築」という病」

非常識な建築業界
「どや建築」という病

森山高至著
(光文社新書:amazon:378円)
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著者は、新国立競技場のデザイン決定後のドタバタや豊洲の新市場問題の時、いろいろテレビに出ていた。その時は、大型公共施設に見識のある人なんだろうと思っていたけど、早くからこういう問題に取り組んでいた人もようだ。そういえば、昨年秋の衆院選に立候補していたようだけど・・・当否はどうなったんだろう?
ここで取り上げているのは、大型の公共施設を建てる際に行われる「公共コンペ」がいかに機能不全を起こしているかということ。利用者や管理者・運営者の視点が活かされず、建築業界の非常識的常識で最優秀案が選ばれ、コストを度外視して実施されていくという問題。わたしも、地方に行ったときなど、なんでこんなところにこんな建物があるのかと驚くことがあるけど、そういう建物が建てられる元凶がここにあるらしい。
戦後日本の簡単な建築史や、ゼネコンの実情やらなにやら、建築業界の裏事情のようなモノまで幅広く取り上げられていて、入門書として面白く読めた。

BOOK「トンネルものがたり 技術の歩み」

tonnerumonogatariトンネルものがたり
技術の歩み
著:横山章/須賀武/下河内稔
監修:吉村恒
(山海堂:2,400円+税)
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2001年に出た本。こういう書籍を置いていないであろうラインナップの古書店で偶然発見し、破格の216円などという値段で売っていたので思わず購入してしまった^^;;
タイトルが示すとおり、トンネル掘りの技術の変遷を解説している。日本で自動車が普及する以前から、鉄道トンネルが本格的に掘られてきたため、解説の基本は鉄道トンネルを取り上げている。
常識的なレベルで知っているとおりの発展を見せてきたトンネルだけど、どんな工法をとろうと、地盤との戦いには変わりがない。
そういえば、つい先月、博多駅前の地下鉄工事で大崩落事故があった。当然、この本には書かれていないけど・・・元々、博多は埋め立て地で、弱い地盤の代表ともいうべき砂地での工事。場所により工法を変えて、安全策をとっていたらしいけど、最新のトンネル工法でも事故が起きる。それだけ奥が深いというか、理屈だけでは掘ることができないのだろう。

BOOK「日本の近代建築 下 大正・昭和篇」

nihonnokindaikenchiku02日本の近代建築(下)
大正・昭和篇
藤森照信著
(岩波新書:860円+税)
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アールヌーボーやモダニズムといわれても、わたしにはピンとこないのだけれど・・・大正時代というのは、建築に限らず、いままで思っていた以上に自由で、創意工夫に満ちあふれていた時代だったらしい。大正デモクラシーの政治や経済は言うに及ばず、生活様式は大きく変化し、女性の社会進出がはじまるなど、活気に満ちあふれていたようだ。
でも、昭和に入ると、軍部が台頭し、日本は戦争の色に染まっていく・・・。政治、経済、文化から日常生活に至るまで、すべてが色褪せていってしまう。当然、建築の世界も同じ。技術的進歩などはあるだろうから、見るべきものも多いのだろうけど、ぜひ見てみたいというような建築物は・・・正直いってないに等しい。
そういう意味では、どこそこの超高層ビルが建っただの、東京スカイツリーが完成しただの、空を見上げて喜んでいられるこの時代って、やっぱり良い時代なんだろうなぁ・・・。