BOOK「ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く」

ルポ トランプ王国
もう一つのアメリカを行く

金成隆一著
(岩波新書:860円+税)
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トランプ大統領が誕生してしばらく経ったけど、いまのところ、これといってめぼしい成果、というか変革は起きていないように思う。政府の閣僚すら埋められず失速しはじめたともいえるし、相変わらず狂気めいた言動を維持しているともいえる。
この本は、トランプ大統領を支持したラストベルト地帯、アメリカ中央部の有権者の声を集めたルポルタージュだけど・・・豊だったアメリカ中産階級が没落しはじめ、むかしは良かったとばかりに既存の政治を否定し、勇ましいことを言っているトランプに投票しただけ・・・なのか。結局、どうしてトランプ大統領が誕生したのか、よく分からなかった。日本でいえば、高度成長期やバブル期の幻影を追いかけているという感じなのだろうか?
でも、これだけは分かった。アメリカ社会は確実に格差を大きくしながら、分断された社会を形成してしまったということ。大統領選挙の結果、分断されたのではなく、分断されていたことが顕在化しただけのことだということ。さらにいうなら、トランプ大統領には、この格差社会、分断された社会を正す方策はなさそうだ。

BOOK「神々の指紋 下」

kamigaminoshimon02神々の指紋 下
グラハム・ハンコック著
翻訳:大地舜
(角川文庫:10円)
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以前、10円という破格の値段で売られていたので、つい、飛びつくように購入してしまった。上下巻まとめて購入してしまったので、内容に???を浮かべながらも読むしかない。
一応、ノンフィクションというジャンルの本らしいけど、こういうトンデモ本をまともな本と一緒に扱って良いのかという疑問がわく。でも、他に適当なカテゴリーがないので、ちょっと後ろめたいけど、ノンフィクションに分類しておくしかない。
下巻では、大本山ともいうべきエジプトのクフ王のピラミッドからトンデモ科学を展開している。全体の8割は一般的に認知されている内容、1割が仮説、残りの1割が都合の良いデタラメという構成なので、読もうと思えば読んでいられる。なるべく楽しもうと心に決めて読み続けたけど・・・途中で限界に達して読むのを止めた。
10円で買った本にとやかくいう気はないけど・・・昔、話題になって少しは売れた本ではあっても、あくまでも話題になったから売れたのであって、読む意味があるかというと・・・全く意味はない。というのが感想のすべて^^;;

BOOK「神々の指紋 上」

kamigaminoshimon01神々の指紋 上
グラハム・ハンコック著
翻訳:大地舜
(角川文庫:amazon:10円)
※Kindle版を購入

以前、10円という破格の値段で売られていたので、つい、飛びつくように購入してしまった。
一応、ノンフィクションというジャンルの本らしいけど、こういうトンデモ本をまともなノンフィクションと一緒に扱って良いのかという疑問がわく。でも、他に適当なカテゴリーがないので、ちょっと後ろめたいけど、ノンフィクションに分類しておくしかない。
私たちが知らないはるか昔の高度な文明がなければ、説明することができないもの・・・いわゆるオーパーツのようなものを示し、我々の歴史観に疑いを抱かせる類いの本。
大航海以前に作られた世界地図に南極大陸や南米大陸が詳細に描かれているだの・・・これだけを通して読むと、もしかすると、そういう可能性もあるかと思ってしまうけど・・・いかんせん、その論証がよくわからない。都合の良い解釈を重ねているように思える部分もあるし、他の解釈で済みそうな部分をもみ消されているような気もする。
一時、話題にはなった本ではあるけど・・・やっぱり、しょせんはトンデモ本に属してしまう類いのものらしい^^;;

BOOK「新幹線をつくった男 伝説のエンジニア・島秀雄物語」

shinkansenwotsukuttaotoko新幹線をつくった男
伝説のエンジニア・島秀雄物語
高橋団吉著
(PHP文庫:667円+税)
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建設費を過小に提示し、最初の予算を獲得した後から、雪だるま式に建設費が増えるのが、大型公共工事の常套手段。官僚的には、作りじゃじめてしまえば勝ちだから。・・・多目的ダム、地方空港、高速道路、国立競技場と東京オリンピックの競技施設。国鉄時代の在来線もしかり。・・・そして夢の超特急・新幹線^^;; そうだよ、新幹線は経営的に成功したから良いけど、もし失敗していたらただの税金をムダ遣いだったわけだ。
さて、島秀雄は・・・新幹線の開発に当たって、未経験の新技術は使わないという方針を貫いている。新幹線に至る技術が、島秀雄という超一流の技術者を通して、日本の鉄道技術者の間にすでにじゅうぶん蓄積されていた。それが、狭軌の呪縛から解放され、広軌の新幹線で余すところなく発揮された・・・それが新幹線という存在らしい。
たしかに新幹線は経営的に成功した。でも、新幹線開業と共に作られた新駅は栄えないのもまた事実。北海道新幹線の「新函館駅」なんて、栄える要素が皆無だよなぁ^^;;
この本には書かれていないし、テーマとしても関係がないけど・・・この新幹線技術を、二束三文で中国に売り渡してしまった愚かさが悔やまれて仕方がない。

BOOK「サリン事件 科学者の目でテロの真相に迫る」

sarinjiken.jpgサリン事件
科学者の目でテロの真相に迫る
Anthony T. Tu著
(東京化学同人:1,800円+税)
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この本の存在は以前から知っていたけど、なかなか読む機会がなかった。平田被告や高橋被告の裁判が始まるなどして、最近、ニュースにも登場したので、この機会に読んでみることにした。
オウム真理教が起こした一連の事件は、VXガスやサリンガスを使った世界的に見ても希有なテロだ。日本ではあまりテロという印象がなくて、むしろ海外でこそ研究が進んでいるのかも知れない。
日本では、テロといえば中東や北アフリカあたりでのテロが注目され、移民の多いヨーロッパやアメリカでの物事だと思っている向きがある。日本人ジャーナリストがISに殺害されたりして、日本もテロとは無関係ではないという論調があるけど、まだまだ他人事で危機感は薄い。でも、日本はオウム以前にも、テロがたくさん起きた国のひとつだ。日本人が起こしたテロもたくさんある。旅客機のハイジャックも起きたし、連続企業爆破事件ではいくつも時限爆弾が爆発した。
連合赤軍はイデオロギー的なテロで、オウムは宗教的なテロ。違いがあるようでいて、実は違いがはっきりしない。なら、ISはどうかというと、反欧米というイデオロギーでもあり、同時に宗教的なテロでもある。そう思うと、日本の内部にもIS的なものがあるのではないかと、ちょっと恐ろしくなるのだけど・・・。

BOOK「高炉の神様 宿老・田中熊吉伝」

kouronokamisama高炉の神様
宿老・田中熊吉伝
佐木隆三著
(文春文庫:552円+税)
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事件ものが多い佐木隆三にしては珍しい題材を扱った作品。終身勤務の熟練工「宿老」として、98歳まで現役で高炉を見守った、八幡製鉄所の製鉄マン・田中熊吉のノンフィクション。
鉄の原材料である鉄鉱石から銑鉄を作る炉を「高炉」という。製鉄の世界では、高炉を持つ企業を「高炉メーカー」と呼び、銑鉄から様々な鉄鋼製品を加工するだけの企業と区別している。そして、高炉メーカーの多くの社員は、自分が高炉を持つ高炉メーカーの一員であることにプライドを持っているらしい。そういう人たちにとって、「宿老」という立場は、ほとんど神様と同義なのだろう。
近年は、中国に押されて、国内の高炉は減り続けているけど・・・現代中国の製鉄って、元をたどれば日本の技術なんだよなぁ・・・。

BOOK「秘めたる空戦 三式戦「飛燕」の死闘」

himetarukuusen秘めたる空戦
三式戦「飛燕」の死闘
松本良男/幾瀬勝彬著
(光人者NF文庫:796円+税)
ISBN/ASIN:4796821360
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こういう「戦記物」は滅多に読まないけど・・・終戦記念日に合わせて、なんとなく読んでみる気になった。あまり戦記物は読んだことはないけど、たぶん、この本は第一級品だと思う。
文章の上手さ云々ということではない。著者が歴戦を生き抜いたベテランだということが大きい。日本軍が優勢だったソロモンからニューギニアを転戦し、敗色が濃くなってきたフィリピンでの戦闘まで、生き延びたことがまずすごい。そして、見たこと、体験したことだけを的確にまとめているから、戦争物としてはリアルに面白かった。
この本を読んでみようと思った理由は、日本軍では珍しい液冷式エンジンを搭載した「飛燕」という戦闘機に興味があったから。ドイツのメッサーシュミットの技術を導入した云々の話は出てこなかったけど、日本陸軍に正式採用されただけあり、こんなに活躍した機体だったとは知らなかった。