BOOK「わたし琵琶湖の漁師です」

わたし琵琶湖の漁師です
戸田直弘著
(光文社新書:680円+税)
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琵琶湖は日本一面積の広い湖で、内水湖では唯一の漁業組合がある。それだけ、産業として漁業が大きな一を占めているのだろう。著者の戸田氏は琵琶湖の漁師として活躍される傍ら、琵琶湖の生態系を考え、改善していくための活動もされている。水質汚染、護岸工事による破壊、外来種、鵜、漁協の老齢化・営利追求体質、伝統的漁法の喪失など、危惧すべき問題は多い。
特に後半では、バスやブルーギルといった外来魚を放流し、釣ったサカナはそのままリリースしてしまう、いわゆる「スポーツ」「遊び」としての釣りとの対立が描かれている。
これは、あくまでわたしの個人的見解だけど、外来魚を放流した人間は死刑、それを釣って楽しむ人間は、放流された外来生物を絶滅させるまで強制労働を課すべきだと思っている。それだけ、取り返しの付かないことをやったのだと自覚させる上でも、厳罰に処すべきだ。

BOOK「コンビニ外国人」

コンビニ外国人
芹澤健介著
(新潮新書:amazon:759円)
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30年ほど前、福島県の山の中にある某温泉宿に泊まったら、従業員の大半が外国人だったので驚いたことがあった。旅館の裏に寮があり、共同で暮らして仕事をしていると言うことだった。以来、身近なところで外国人が増えた。居酒屋の店員、スーパーの店員、そしてコンビニの店員などなど・・・。
この本によると、現在、大手コンビニで働く外国人店員は4万人超。20人に1人の割合だという。
わたしの生活圏にあるコンビニには2タイプあって、日本人のジジババばかりのお店と、外国人店員ばかりのお店。地域性なのか、店長の好みなのかはわからない。
この本は、コンビニで働く外国人の姿を描くルポだけど・・・本来、日本は「移民不可」の政策をとっているはずだけど、世界第5位の「外国人労働者流入国」で、知らない間に移民大国になっていた。
わたしは外国人労働者がいけないとは思わないし、管理された制度化での移民は受け入れざるを得ないと思っている。でも、日本って・・・政治レベルでも国民レベルでも・・・一度も移民政策に関してどうしていくべきかをまともに議論したことがないんじゃないだろうか? こんななし崩し的に移民大国になって、将来大丈夫なのかと心配だ。

BOOK「STAP細胞はなぜ潰されたのか 小保方晴子『あの日』の真実」

STAP細胞はなぜ潰されたのか
小保方晴子『あの日』の真実

渋谷一郎著
(ビジネス社:1,400円+税)
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古本屋の店頭の処分品ワゴンに入っていたので、つい買ってしまった。それでも432円もした・・・。
「STAP細胞」の騒動があったのは2014年、その翌々年に書かれた本で、STAP細胞/小保方晴子さん擁護の視点から書かれている。しかし残念ながら、4年が過ぎても結局、STAP細胞の存在は証明されていない。
この本に書かれていることで、頷ける部分もある。マスコミによる報道にデタラメが多く、バッシングが酷すぎたこと。ワイドショーなどで、いわゆる「識者」といわれる人たちが想像だけで発言して、悪者を作りだしてしまった感じがする。でも、この本は小保方さんを持ち上げすぎではないか。この騒動の根本は、小保方さんが自身の研究者としての見識と実力を反証できなかったという問題なんだから。
さらに、共同研究者間で十分な検証もないまま、論文発表にまで進んでしまった理研の体制にも問題もあるのではないか? 理研第三代所長・大河内正敏が導入した「主任研究員制度」は、これまで数多くの実績を上げてきた。「科学者の楽園」の金科玉条として、いまだに理研が守り続けている制度ではあるけど、内部チェックが機能しづらい面もあるのではないだろうか?

BOOK「ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く」

ルポ トランプ王国
もう一つのアメリカを行く

金成隆一著
(岩波新書:860円+税)
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トランプ大統領が誕生してしばらく経ったけど、いまのところ、これといってめぼしい成果、というか変革は起きていないように思う。政府の閣僚すら埋められず失速しはじめたともいえるし、相変わらず狂気めいた言動を維持しているともいえる。
この本は、トランプ大統領を支持したラストベルト地帯、アメリカ中央部の有権者の声を集めたルポルタージュだけど・・・豊だったアメリカ中産階級が没落しはじめ、むかしは良かったとばかりに既存の政治を否定し、勇ましいことを言っているトランプに投票しただけ・・・なのか。結局、どうしてトランプ大統領が誕生したのか、よく分からなかった。日本でいえば、高度成長期やバブル期の幻影を追いかけているという感じなのだろうか?
でも、これだけは分かった。アメリカ社会は確実に格差を大きくしながら、分断された社会を形成してしまったということ。大統領選挙の結果、分断されたのではなく、分断されていたことが顕在化しただけのことだということ。さらにいうなら、トランプ大統領には、この格差社会、分断された社会を正す方策はなさそうだ。

BOOK「神々の指紋 下」

kamigaminoshimon02神々の指紋 下
グラハム・ハンコック著
翻訳:大地舜
(角川文庫:10円)
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以前、10円という破格の値段で売られていたので、つい、飛びつくように購入してしまった。上下巻まとめて購入してしまったので、内容に???を浮かべながらも読むしかない。
一応、ノンフィクションというジャンルの本らしいけど、こういうトンデモ本をまともな本と一緒に扱って良いのかという疑問がわく。でも、他に適当なカテゴリーがないので、ちょっと後ろめたいけど、ノンフィクションに分類しておくしかない。
下巻では、大本山ともいうべきエジプトのクフ王のピラミッドからトンデモ科学を展開している。全体の8割は一般的に認知されている内容、1割が仮説、残りの1割が都合の良いデタラメという構成なので、読もうと思えば読んでいられる。なるべく楽しもうと心に決めて読み続けたけど・・・途中で限界に達して読むのを止めた。
10円で買った本にとやかくいう気はないけど・・・昔、話題になって少しは売れた本ではあっても、あくまでも話題になったから売れたのであって、読む意味があるかというと・・・全く意味はない。というのが感想のすべて^^;;

BOOK「神々の指紋 上」

kamigaminoshimon01神々の指紋 上
グラハム・ハンコック著
翻訳:大地舜
(角川文庫:amazon:10円)
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以前、10円という破格の値段で売られていたので、つい、飛びつくように購入してしまった。
一応、ノンフィクションというジャンルの本らしいけど、こういうトンデモ本をまともなノンフィクションと一緒に扱って良いのかという疑問がわく。でも、他に適当なカテゴリーがないので、ちょっと後ろめたいけど、ノンフィクションに分類しておくしかない。
私たちが知らないはるか昔の高度な文明がなければ、説明することができないもの・・・いわゆるオーパーツのようなものを示し、我々の歴史観に疑いを抱かせる類いの本。
大航海以前に作られた世界地図に南極大陸や南米大陸が詳細に描かれているだの・・・これだけを通して読むと、もしかすると、そういう可能性もあるかと思ってしまうけど・・・いかんせん、その論証がよくわからない。都合の良い解釈を重ねているように思える部分もあるし、他の解釈で済みそうな部分をもみ消されているような気もする。
一時、話題にはなった本ではあるけど・・・やっぱり、しょせんはトンデモ本に属してしまう類いのものらしい^^;;

BOOK「新幹線をつくった男 伝説のエンジニア・島秀雄物語」

shinkansenwotsukuttaotoko新幹線をつくった男
伝説のエンジニア・島秀雄物語
高橋団吉著
(PHP文庫:667円+税)
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建設費を過小に提示し、最初の予算を獲得した後から、雪だるま式に建設費が増えるのが、大型公共工事の常套手段。官僚的には、作りじゃじめてしまえば勝ちだから。・・・多目的ダム、地方空港、高速道路、国立競技場と東京オリンピックの競技施設。国鉄時代の在来線もしかり。・・・そして夢の超特急・新幹線^^;; そうだよ、新幹線は経営的に成功したから良いけど、もし失敗していたらただの税金をムダ遣いだったわけだ。
さて、島秀雄は・・・新幹線の開発に当たって、未経験の新技術は使わないという方針を貫いている。新幹線に至る技術が、島秀雄という超一流の技術者を通して、日本の鉄道技術者の間にすでにじゅうぶん蓄積されていた。それが、狭軌の呪縛から解放され、広軌の新幹線で余すところなく発揮された・・・それが新幹線という存在らしい。
たしかに新幹線は経営的に成功した。でも、新幹線開業と共に作られた新駅は栄えないのもまた事実。北海道新幹線の「新函館駅」なんて、栄える要素が皆無だよなぁ^^;;
この本には書かれていないし、テーマとしても関係がないけど・・・この新幹線技術を、二束三文で中国に売り渡してしまった愚かさが悔やまれて仕方がない。

BOOK「サリン事件 科学者の目でテロの真相に迫る」

sarinjiken.jpgサリン事件
科学者の目でテロの真相に迫る
Anthony T. Tu著
(東京化学同人:1,800円+税)
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この本の存在は以前から知っていたけど、なかなか読む機会がなかった。平田被告や高橋被告の裁判が始まるなどして、最近、ニュースにも登場したので、この機会に読んでみることにした。
オウム真理教が起こした一連の事件は、VXガスやサリンガスを使った世界的に見ても希有なテロだ。日本ではあまりテロという印象がなくて、むしろ海外でこそ研究が進んでいるのかも知れない。
日本では、テロといえば中東や北アフリカあたりでのテロが注目され、移民の多いヨーロッパやアメリカでの物事だと思っている向きがある。日本人ジャーナリストがISに殺害されたりして、日本もテロとは無関係ではないという論調があるけど、まだまだ他人事で危機感は薄い。でも、日本はオウム以前にも、テロがたくさん起きた国のひとつだ。日本人が起こしたテロもたくさんある。旅客機のハイジャックも起きたし、連続企業爆破事件ではいくつも時限爆弾が爆発した。
連合赤軍はイデオロギー的なテロで、オウムは宗教的なテロ。違いがあるようでいて、実は違いがはっきりしない。なら、ISはどうかというと、反欧米というイデオロギーでもあり、同時に宗教的なテロでもある。そう思うと、日本の内部にもIS的なものがあるのではないかと、ちょっと恐ろしくなるのだけど・・・。