BOOK「オホーツクの古代史」

オホーツクの古代史
菊池俊彦著
(平凡社新書:760円+税)
※古書を購入

仕事の資料としてではないけど、なんとなく興味の流れで読んでみた。
正直なところ、北海道で生まれ育ったけれど、つい先日までオホーツク海を見たことがなかった。当然ながら、印象は薄かった。学校で習う日本史は、縄文・弥生・古墳時代・・・と、畿内や九州を中心としたもので、北海道(蝦夷地)はなかなか出てこない。日本の外交史という面では、中国大陸や朝鮮半島にばかり向いていて、北方民族との交流という視点で描かれる世界観はまったく学ぶ機会がない。
それでも、一応、二十歳まで北海道にいたので、多少はこうした北方民族との交流があったことだけは知っていた。そして先日、網走市にある北海道立北方民族博物館、網走市立郷土博物館に行き、「オホーツク文化」についても知ったばかり。この本を含めて、いろいろと認識を新たにした。たしかに、地図の角度を変えてみると、オホーツク海は日本列島の北の玄関口なんだよな。

BOOK「宮古上布 ~その手技~[改訂版]」

宮古上布
~その手技~[改訂版]
宮古上布保持団体編
(宮古市教育委員会)

仕事の資料として読んだ本。
宮古上布は、苧麻(ちょま)繊維を原料とする麻織物。琉球列島の島々には、その島固有の織物があり、宮古上布もそのひとつ。かつては琉球王朝の朝貢品として貴重な織物として扱われ、その製法に独自の伝統技法があり、国の無形文化財に指定されている。
この冊子は、文化庁の「ふるさと文化再興事業」制度を活用して、宮古上布保持団体が発行した改訂版。「技法編」では、宮古上布の歴史、糸づくりからデザイン・染色、織り、仕上げまでの製造法を紹介。「資料編」では、道具や用語、図柄などを補足している。
巻末に参考文献のリストが掲載されているけど、行政や博物館のようなところから出版されてものばかりで、出版社から出された一般書籍はほとんど載っていない。宮古島では、宮古上布に関する体験学習など、観光資源としてもPRしているけど、残念ながらなかなか広く知られるには至っていない。
麻製の衣服は、温暖化のせいで炎暑かする夏には打って付けだろうから、もっと普及しても良いと思うのだが・・・。というか、個人的には手頃なものが欲しい。

BOOK「おばあたちの手技 宮古諸島に伝わる苧麻糸手績みの技術[改訂版]」

おばあたちの手技
宮古諸島に伝わる苧麻糸手績みの技術[改訂版]
宮古苧麻績み保存会編
(宮古市教育委員会)

仕事の資料として読んだ本。
宮古上布は、苧麻(ちょま)繊維を原料とする麻織物。琉球列島の島々には、その島固有の織物があり、宮古上布もそのひとつ。宮古諸島では15世紀頃には苧麻から糸をつくり、布を編んでいた記録が残されている。その糸づくりは、国の選定保存技術に選ばれている。宮古諸島では、苧麻を「ブー」と呼び、苧麻績みを「ブーン」と呼ぶらしい。
この冊子では、植物としての苧麻の解説、苧麻畑の選定から栽培法にはじまり、糸づくり全般を紹介している。「ティーカシギからおろしたカシを小さくまとめていく」といった感じで、宮古諸島の言葉を用いて書かれているので、最初から順番に読まないと何をいっているのかさっぱり分からない。確かに、こういう言葉も大切な文化だから、こういう配慮は大切なんだろう。だからこそ、こういう本は面白い。

BOOK「トヨタ産業技術記念館=ガイドブック=」

数日前、名古屋で見てきた「トヨタ産業技術記念館」のガイドブック。
タイトルはガイドブックだけど、320ページを超える厚さがあり、常設展示されている内容がほぼすべて掲載されているようなので、事実上は「図録」といってよい内容だと思う。もちろん、常設店も展示内容は変化するだろうけど、2014年の改訂版なので、大きな違いはないだろう。さすがに「世界のトヨタ」。企業博物館でこれだけのガイドブック(図録)を作っているところは、めったにないのではないだろうか。
「繊維機械館」の部分は、展示機械の積み重ねが、豊田佐吉が織機の改良・発明を重ねてきた歴史そのもので、いい換えるならば明治以降の日本の繊維産業の技術史そのもの。
全体の3分の2ほどを占める「自動車館」の部分も同様で、トヨタの黎明期の技術史は、そのまま日本の自動車黎明期の技術史といってよい内容だと思う。

雑誌「milsil ミルシル ようこそ!コケの世界へ」(2017年No.5 通巻59号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「コケ」。
いつものことだけど地味なテーマ^^; 最近は、どこにでもマニアックな女性がいるらしく、「コケじょ」「コケガール」などという呼び名もあるくらいなので、地味なテーマなどというと叱られるかも知れない。わたしも若かりし頃、わびさびの世界に関心があったので、それなりに見慣れた存在ではあるけれど、でも、正直いうとあまり興味がない。「万葉集」や「古今和歌集」などの歌に詠まれたコケの話などは、面白く読んだけれど・・・。
この号の記事で他に気になったのは、「斎藤報恩会貝類コレクション」に関するもの。現在、科博にあるとは知らなかった。というか、仙台の斎藤報恩会自然史博物館は閉館してしまったのか・・・。かつて20代の頃、仙台に遊びに行ったときに見に行こうとしたものの、同行者の反対で見に行けなかった博物館。地味な博物館だから仕方がないという気もするけど・・・そういうことが何度か重なり、以降、興味関心の異なる人間とはなるべく一緒に行動しないことにしている。

BOOK「繭と生糸の近代史」

繭と生糸の近代史
滝沢秀樹著
(教育社歴史新書:1,000円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
江戸時代に本格化し、明治期に日本の主要産業に発展した日本の生糸生産についての歴史本で、「女工哀史」や「あゝ野麦峠」などに描かれた時代の養蚕と生糸について書かれている。とかく、女工たちの悲惨な労働環境について語られることが多いけど、総合的な視点で幅広く語っている。
生糸の輸出は、明治期の日本にとって外貨獲得の主力だった。ヨーロッパの養蚕がカイコの病害で壊滅したせいもあり、日本の生糸は世界を席巻することになるけど、それを支えていたのはけなげに働く女工たちだった。さらに、機械紡織を進めたところにも、日本人の勤勉さが感じられる。
こういう、生糸に関しての歴史本はたくさん出ているけど、一般向けの技術本は全くといっていいほど出版されていない。いまさらということなんだろうけど・・・。
紡糸・紡織機のような機械は、その後の日本の工業的なものづくりの原点ともいえる存在。動作を見ているだけでも面白いし、飽きが来ない。その点、いまのハイテク製品はいまひとつ面白みに欠けるよなぁ。

BOOK「化学のはたらきシリーズ4 衣料と繊維がわかる 驚異の進化」

化学のはたらきシリーズ4
衣料と繊維がわかる

驚異の進化

日本化学会企画・編集
井上晴夫、齋藤幸一、島﨑恒藏、宮崎あかね監修
佐藤銀平著
(東京書籍:1,500円+税)

仕事の資料として読んだ本。
衣服の歴史にはじまり、天然素材の特長などにも触れながら、中心的には化学繊維について解説している。この本が「化学」に関するシリーズなので、当然のことではある。
化学繊維の世界は広くて・・・知的工期心的には、仕事には関係のない部分がいろいろ面白かった。もちろん、仕事の資料としてもそれなりに役立ったけど。化学繊維は産業と密接に結びついていて、研究開発を行うのが民間企業であることが多い。そのため、この本でも具体的な企業名や商品名がたくさん登場する。たぶん、繊維産業の特徴だろうと思う。以前、身体が元気だった頃に、山登りで愛用していた「ゴアテックス」や「エントラント」なんていう名前もふつうに出てくる。
「衣料と繊維」ということなので、衣料以外の工業的な材料に使われる繊維類については全く触れられていない。そういう用途にこそ、最先端の科学技術分野が含まれるので、いろいろ面白い世界があるのだろうけど・・・。