BOOK「原発とプルトニウム パンドラの箱を開けてしまった科学者たち」

原発とプルトニウム
パンドラの箱を開けてしまった科学者たち

常石敬一著
(PHPサイエンス・ワールド新書:840円+税)
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この本の大半はサブタイトル通りに、レントゲンによるX線の発見から原爆製造のためのプルトニウム生成までの研究史をたどっている。放射線が発見されてから、マンハッタン計画で軍事利用される中で、様々な科学者の業績や活動が紹介されている。その上で、原子力の「平和利用」としての原発。そして、原発から日々生み出されるプルトニウムの問題をとりあげている。
原発に関する話としては、沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)についての説明がわかりやすい。東日本と西日本で棲み分けがあることははじめて知った。
著者の問題提起は、自然界にはほとんど存在しないプルトニウムという猛毒の放射性元素を、これ以上増やしてはいけないということ。日本の「核燃料サイクル」の愚かしさを問題視している。すでに核燃料サイクルは破綻しているのだから、さっさと止めてしまえばいいのだけど・・・その先どうするかというところがはっきりしない。トイレのない住宅どころか、出口すらないという印象だ。

BOOK「日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実」

日本軍兵士
アジア・太平洋戦争の現実

吉田裕著
(中公新書:820円+税)
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日本では今日8月15日が終戦記念日なので、太平洋戦争についての真面目な本を読んでみた。この本はかなり以前に見つけて、読むタイミングを待っていた。
太平洋戦争で日本の軍人・軍属が230万人が死亡し、民間人死者80万人と合わせると計310万人にものぼる。旧帝国陸海軍の幹部たちの無知・無能・無責任さはもはや歴史的事実として明らかにされているけど、一般の兵隊たちの現実は・・・多くの語り部などが活動してきたのだろうけど・・・余り知られてこなかった。
制空・制海権を失った中で作戦域への移動途上での海没死、兵站が破綻し戦闘以前の病死・餓死、無謀な特攻、追い詰められての自殺・自決、さらには投降すら許されず「処置」という名で殺害された兵士たちがいかに多かったことか。
今日の日本の平和と繁栄は、こうした一般の兵士たちの屍の上にある・・・などと、この本を読むとつい説教臭いことを考えてしまうけど、でもね、この平和と繁栄を実現したのは、戦後生まれのわたしたちの努力の結果であること忘れてはいけない。「戦争を知らないお前たちは・・・」と散々言われて育った世代だって、そう捨てたものじゃないと思う。

BOOK「尾瀬の博物誌」

尾瀬の博物誌
大山昌克著
田部井淳子:監修
(世界文化社:3,000円+税)
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毎日、災害級の猛暑が続いていて、北から南までどこも暑い。こういうときは標高が高いところに逃げるのが一番なんだけど・・・そういうわけにもいかないので、せめて本だけでも読んでみようと・・・。
尾瀬の動植物と自然保護について書かれた本。モウセンゴケやミズバショウといった有名どころだけでなく、網羅的に取り上げている。
DNA解析を用いたAPG植物分類法についても、チョットだけ触れられていて、最新の研究成果が紹介されていた。
むかし、山登りをしていた頃、何度か尾瀬にも行ったけど、いまでも相変わらずオーバーユース状態が続いているらしい。人口が減る時代ではあるけど、山歩きはジジババの世代が多いから、なかなか登山人口は減らない。まだまだオーバーユースが続くのだろう。

BOOK「香りの世界をさぐる」

香りの世界をさぐる
中村祥二著
(朝日選書:1,029円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
資生堂の製品研究所香料研究部長を勤めていた著者の本なので、天然の香料から人工香料まで「フレグランス」について解説している。食品に使われる「フレーバー」には触れていないけど、においの文化的側面も広く解説している。
エッセイ的な文章ながら、読んでいて化学のかおりがしてくるので、それなりに難解な部分も多い。こういう、サラッと読ませようとする文章は、資料として読むときには要注意。エッセイだと思って読み流してしまうと、肝心な部分を読み飛ばしてしまう。
個人的には、「ノート」に関する部分が興味を引いた。日本の香道が和歌や漢詩などにイメージを遊ばせるのに対し・・・西洋の科学的なアプローチとの違いを感じさせられた。

BOOK「国立科学博物館 特別展 恐竜博2019」図録

先月見にいった国立科学博物館の特別展「恐竜博2019」の図録。価格は2,200円(税込)。184ページ。
わたしはあまり熱心な恐竜ファンではないけれど、この図録は久々のヒットだった。
北海道むかわ町で出土した大型恐竜「むかわ竜(モササウルス類)」についての解説がお目当て。これで交通の便が悪い鵡川町まで見に行く必要もなくなった。
読んでみると、恐竜がどういった動物であったかという恐竜像が、この50年間にどう変遷してきたのか、その研究史が面白かった。
恐竜ほどではないけど、わたしも古い人間なので・・・子供の頃の恐竜のイメージは、愚鈍な変温動物という、ただただ巨大なトカゲというイメージだった。いまでは、羽毛恐竜だ恒温動物だ、抱卵・子育てをしただのとずいぶんイメージが変わってきた。
それだけ研究が進んだのだろうけど・・・ここに書いてあることも、そのうち時代遅れになっていくんだろうか。

雑誌「milsil ミルシル プランクトンの世界」(2019年No.4 通巻70号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「プランクトンの世界」。子供の頃から名前だけは知っているけど、プランクトンって、馴染みのある存在ではない。弱肉強食の食物連鎖の最底辺にいる存在で、小魚や海棲生物のエサという認識。そもそも、一種類の生物ではないから捉えどころがない。
「親子で遊ぼう! 科学冒険隊」コーナーのテーマもプランクトン。子どもたちの夏休みの宿題を意識した企画だろうけど・・・わたしは夏休みの自由研究でプランクトンを選んだことはない。海のある町に住んでいたし、顕微鏡も持っていたけど・・・なぜか選んだ記憶がない。今となっては推測だけど、たぶん、顕微鏡を覗いて、プランクトンの絵を描くのが面倒だったんだろうな。意外に緻密で、複雑な構造をしているから。

BOOK「トコトンやさしいにおいとかおりの本」

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいにおいとかおりの本

倉橋隆、光田恵、福井寛著
(日刊工業新聞社:1,400円+税)
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とりあえずの入門書として購入。古本を買ったけど、なかなかの古本臭がする。
定番の入門シリーズなので、嗅覚のしくみから香料の種類、応用分野、消臭、評価と分析方法といった一通りのことは説明している。においは身近なもので、特に日本人はにおいに敏感というか、過敏なところがあるので、必要以上に香料や消臭剤が使われ、時に辟易することもある。
過剰な香料や消臭剤に弱いわたしは、逆に気分が悪くなることがあるので参る。本来、心地よい環境を求めての香料か消臭剤、美味しさを求めての香料であるはずなのに、香料で体調を崩すのは本末転倒なんだけど・・・そういう理由で、わたしはオシャレな若い女性が苦手だ^^;; 幸いにも、というか残念なことに、その手の女性に言い寄られるようなタイプの人間ではないので助かっているけど・・・。