雑誌「BRUTUS 本屋好き。書を探しに、街に出よう!(2019-11-01号)」

amazonを利用するようになって、本屋に行かなくなった。電子書籍も読むようになって、ますます本屋に行かなくなった。かつては、自分の好みに合うラインナップを取りそろえるお気に入りの本屋というのがいくつかあって、頻繁にそこで本を買っていた。その本屋のことなら、隅から隅まで知っていたものだけど、月に一度も顔を出さなくなってしまった。
BRUTUSが紹介するようなこだわりとコンセプトを持った本屋って・・・書籍との出会いの場であって、その本屋でその本を買うこと自体がカッコイイと思えるような人向きなんだろうな。言い方を変えると、そういう本屋じゃないと、この時代生き残っていけないのだろう。
わたしのように、呼吸するように本を読む人間は、あまり、本屋という「場」の魅力を感じなくなってしまったように思う。
そういえば、本屋に行かなくなったもうひとつの理由・・・雑誌を読まなくなったから。若い頃は雑誌を読むことが仕事の一部だったけど、最近はぜんぜん読まない。BRUTUSを買ったのも、いつ以来のことか思い出せないや。

BOOK「項羽と劉邦(下)」

項羽と劉邦(下)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:688円)
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劉邦は奇策を用い、滎陽城から身ひとつで脱出、関中に逃げ込んだ。ここからの巻き返し・・・のはずが、またも敗走。劉邦は負けてばかりいる。一方の項羽はただの戦バカ。チートな戦闘能力でもあるかのように勝ち進むけど、いつも劉邦を取り逃がしてばかりいる。それに対して劉邦の将・韓信は強い。第三勢力に独立しそうな勢い。・・・ここにきて、どいつもこいつも色気づきやがって。項羽がロリコンの鬼畜じゃなくてホッとした。
この巻の前半は韓信、中盤は広武山で劉邦と項羽が対峙し、劉邦にとってはどん底の状況。終盤は固陵城からの反撃。垓下での「四面楚歌」と項羽の最後。絶対強者でありながら勝ちきれなかった項羽に対して、最後まで御輿の上に乗り続けた劉邦が勝ち残った。
この小説にはたくさんの登場人物が登場する。多くの読者は、自分自身がどの人物に似ているかを探すようだけど・・・どんな下っ端の人物も、わたしは当てはまりそうもない。描かれることもなく死んでいった数十万のモブの一人なんだろう。

BOOK「項羽と劉邦(中)」

項羽と劉邦(中)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:688円)
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楚の懐王が家臣と交わした約束は、「いち早く関中に入った者を関中王とする」。主力の項羽、別働隊の劉邦が競って咸陽を目指す・・・。
関中を制したのは劉邦。秦王子嬰が降伏し、劉邦の進軍は終わった。そして、遅れてきた項羽と相まみえる「鴻門の会」。高校時代に漢文で習った有名なシーン。授業中に読んだそれは、緊張感溢れる簡潔な表現であったけど・・・ここではその緊張感が余り感じられなかった。
項羽は、咸陽に火をかけ、秦王子嬰の首を刎ね、事実上の天下を取った。劉邦は漢王に任じられ、一時、僻地の巴蜀・漢中に下ったが、すぐに関中を奪還、東進を開始。項羽の都・彭城を落とすが大敗。壊滅して滎陽城に逃げ込んでの籠城戦にも敗れ、滎陽から脱出する。ここに至っても劉邦は負け続けているし・・・ダメ人間ぶりも変わらない。
・・・夏侯嬰の嫁・嫺嫺、この時代からツンデレっていたんだな^^;

BOOK「項羽と劉邦(上)」

項羽と劉邦(上)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:729円)
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何十年も前、文庫本になってすぐに読んだことがある。数年前から、そのうち読み返そうと思いながら、たまたま手頃な古本に出会わなかった。Amazonで古本を買おうかと思ったけど、読みやすさを考えてKindle版にした。
西安と兵馬俑、始皇帝陵には行ったことがあるし、項羽の叔父・項梁が蜂起した蘇州にも行った。江蘇省の南京はともかく、劉邦の故郷・沛地方まではさすがに行ったことがない。中国の地理関係には多少馴染んでいるつもりだけど、念のため最初は巻頭の地図とGoogleマップを見ながら読み進めた。
まずは、項羽と劉邦が倒すべき当面の敵である、秦の始皇帝の姿を描くところから。キモは、だれもが皇帝になり得るという価値観を作ったのが始皇帝自身だということ。項羽の叔父・項梁が蜂起。沛県ではチンピラから亭長になった劉邦が蜂起した。
この巻は、亡楚の軍として、項羽と劉邦が共に戦っていた時期。項羽は別働隊として咸陽に向け進軍。項羽は、趙王の援軍として鉅鹿城で秦軍に勝利した。秦の章邯将軍を配下に加えたが・・・兵20万人を大虐殺したところまで。当時の20万人って、いまでいうとどのくらいの感覚だろうか?

BOOK「図解 超高層ビルのしくみ 建設から解体までの全技術」

図解・超高層ビルのしくみ
建設から解体までの全技術

鹿島著
(講談社ブルーバックス:880円+税)
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ぜんぜん関係ない話だけど・・・村上龍の小説『コインロッカー・ベイビーズ』が出たのは1980年。西新宿に超高層ビルが立ち並んで・・・という時代背景を紹介するシーンを憶えている。でも、気がつくと、都内は至る所に超高層ビルが生えている。日本のように地震の多い国では、特別な技術が求められ、超高層ビルには向かない国土であるという認識は大むかしのものだ。
すでに赤坂プリンスホテルは解体されてしまったけど、霞が関ビルはいまだ現役。東日本大震災で倒れた超高層ビルは1棟もなかったし、首都圏直下型地震にも耐えるということになっている。
ゼネコンが著者なので、建設工法が中心ではあるけど、安全性や快適性など幅広く紹介している。ブルーバックスとしては入門書レベルで、あまり突っ込んだ内容はなかった。

BOOK「女帝推古と聖徳太子」

女帝推古と聖徳太子
中村修也著
(光文社新書:700円+税)
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日本史も研究が進むにつれ、むかし学校で習った姿とはいろいろ違ってきている。この本は、どうして推古が即位して、聖徳太子は即位しなかったとかという謎を考察している。読んだ限りは納得するしかないけど・・・日本史の中で初の女性天皇である推古天皇、そして「十七条憲法」「冠位十二階」を定めた聖徳太子(厩戸皇子)はテストに必ず出る項目なので、中学生でも知っている名前だ。でも、習ったときの記憶・印象とはやっぱりいろいろ違っている。ちなみに、この本は2004年に出た本なので、最新の研究ともズレがあるかも知れない。
わたしの世代であれば、聖徳太子はお札の肖像画でなじみ深いけど、あの肖像画もいまでは聖徳太子の姿ではないとされ、教科書でも「伝・聖徳太子」と曖昧に表現されているらしい。次の新しい紙幣の肖像画の人選が既に発表されているけど・・・さらに将来も、聖徳太子が復活することはないだろうな。いい肖像画だと思うけど。

BOOK「フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体」

フォッサマグナ
日本列島を分断する巨大地溝の正体

藤岡換太郎著
(講談社ブルーバックス:1,000円+税)
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フォッサマグナについて詳しく解説した本ははじめて読んだ。日本列島が大陸から分かれ、日本海が形成され、いまの形になってきたという基礎知識はあったけど、なかなか複雑で、ざっくりしたイメージしか理解できなかった。
中学の地学で、「フォッサマグナ」という単語は習う。このとき、フォッサマグナと「糸魚川静岡構造線」を混同してしまう人も多い。でも、単語さえ記憶してしまえばテスト対策としては十分なので、たいていの人は、それ以上は深く考えない。
現代であれば、詳細な地形図やGoogleアースを見れば、フォッサマグナ西端の糸魚川静岡構造線は一目瞭然にわかる。でも、東端の構造線ははっきりしない。明治時代の初頭、地表を観察してこれだけ大きな構造に気づいたというのは、驚くべきことかも知れない。お雇い外国人教授として東京帝国大学に来たドイツの地質学者ナウマンの業績だけど、この時代の日本にはたくさん未発見のものがあって、学者としては面白かったんだろうな。どうして自分の名前を付けなかったのか不思議だけど、ナウマンの名前は「ナウマンゾウ」に残っている。