BOOK「世界を救った日本の薬 画期的新薬はいかにして生まれたのか?」

世界を救った日本の薬
画期的新薬はいかにして生まれたのか?

塚崎朝子著
(講談社ブルーバックス:1,080円+税)

今年、ノーベル医学生理学賞を受賞が決まった本庶祐・京都大学特別教授、2015年受賞の大村智・北里大学特別栄誉教授をはじめ、15人の日本人研究者とその成果を紹介している。専門用語をそのまま使用しているので、レベル的にはそれなりに基礎教養のある人向けの本で、一般の人は理解しづらいかも知れない。
日本の医学・生理学研究のレベルの高さを示す本だけど・・・本庶先生のインタビューに、厳しい研究環境と産業構造の問題点が垣間見える。日本人ノーベル賞受賞者がみんな必ず言うことだけど・・・もっと基礎研究に資金を回して欲しいというのがひとつ。本庶先生だから言える厳しい言葉・・・日本の製薬会社は多すぎる。5社にしぼって、資本力を高め、基礎研究の成果を創薬に結びつけられるように。厚労省が薬価を決めて、護送船団方式で競争せずに製薬会社を守っている現状への批判は、本庶先生クラスじゃないと言えないだろうし・・・第三者であるジャーナリストがまとめた本だからこそ公に出来ることなのかも知れない。

BOOK「国立民族学博物館 開館40周年記念特別展 ビーズ つなぐ・かざる・みせる」図録

2017年に大阪の国立民族学博物館で開催された特別展「ビーズ つなぐ・かざる・みせる」の図録。価格:1,100円+税。B5変形、136ページ。
ビーズは、人類が最も早く手にした装飾品なのだとか。いまではプラスチック製のものが身近にいくらでもあるけど、植物、貝、動物の歯や骨、石、ガラス、金属など多彩な材料から作られた。中には、虫の羽なんていう変わり種のものもあるし、スズメバチの頭そのものをビーズ玉にしたものまである。なにをもって「ビーズ」と定義するかにもよるわけだけど・・・飾り玉、数珠玉、トンボ玉など、貫通した穴にヒモを通せる物を総称するらしい。
大した技術を持たない時代に、貝や石を加工して装身具を作るというのは、なかなかの美意識ともいえるし、執念とも思えるものすごい情熱を感じさせる。当然、貴重なものであったろうし・・・そうなると文化的にいろいろな意味を持ってくる。権威や身分の象徴であったり、民族としてのアイデンティティであったり、愛情表現であったり・・・。そして、より珍しくて美しいものが欲しいという欲求は、交易によって他地域の産物を入手するしたり、技術移転ということにもつながる。
そういえば・・・最近はあまり見かけなくなったけど、子どもの頃に読んだマンガに「人食い人種」の酋長なんかが出てくると、たいてい首飾りのように人骨で身体を飾り付けていた。あれがどのように加工されていたのかは知らないけど、ヒモを通せるように穴を貫通させてつないでいたのだとしたら、あの人骨もビーズの一種といえるかも知れない。
もうひとつ・・・最近はあまり見かけなくなったけど、「珠暖簾(たまのれん)」という、邪魔くさいだけのものがあったよな^^;; 身につけるものではないけど、あれもビーズの一種だろう。

BOOK「百舌鳥古墳群をあるく 巨大古墳・全案内」

百舌鳥古墳群をあるく
巨大古墳・全案内
久世仁士著
(創元社:1,800円+税)
※古書を購入

わたしは北海道に生まれたため、身近なところに大和朝廷に連なる古墳がなかった。そのせいか、主に前方後円墳にあこがれがある。
5世紀頃、倭の五王という実在が明確な天皇の巨大な墳墓・・・教科書に載っている存在で、機会があれば見てみたいと、若い頃は思っていた。でも、古墳って、現地に行くとこんもりした小さな森のような感じで、見てもぜんぜん面白くないんだよなぁ^^;; 出土品がある場合は、博物館などの展示施設に置かれていて、古墳とは切り離されているし・・・。
百舌鳥古墳群は、大阪府堺市の北西部4キロ四方に広がる数多くの古墳で、かつてわたしの世代では「仁徳天皇陵」と習った「大山古墳」や、「応神天皇陵」と習った「誉田山古墳」などの巨大前方後円墳から大小様々な古墳が100基以上確認されている。ただし、この内、現存するのは44基。全長100メートルを超える前方後円墳が11基確認されていて、現存するのは9基。
この本は、古墳とはなにかというところから、百舌鳥古墳群の古墳たちの紹介、保護活動などの歴史まで、トータルに解説していて読み応えはあった。Googleアースを見ながら読んでいくと、それだけで満足してしまい、現地に行きたいという気持ちは完全に失せてしまった。

MOOK「日帰り大人のさんぽ旅【首都圏版】」

日帰り大人のさんぽ旅【首都圏版】
(ぴあMOOK:880円+税)
※古書を購入

夏のクソ暑さもようやく終わったようなので、冷房の効いた部屋に閉じこもるのをやめて、どこか近場に出かけようかと思ってガイドブックに手を出した。
こういうガイドブックの良いところは・・・自分の発想では出てこないところを紹介している場合があること。ネットで調べた方が情報が新しいし、情報量も多い。でも、ネットは自分の発想でしか調べようがないので、意表を突いた情報には出会いにくい。
逆に、こういうガイドブックの悪いところは・・・掲載された情報のほとんどが、わたしには興味のない情報だったりすること。わたし一人のために編集されているわけではないから、これは仕方がないこと。
もう少し涼しくなったら、どこかに行ってみよう。

BOOK「ほかほかの感動100レシピ 炊飯ジャーでスイッチひとつの魔法のレシピ」

ほかほかの感動100レシピ
炊飯ジャーでスイッチひとつの魔法のレシピ
主婦の友社編集
(主婦の友社:1,100円+税)
※古書を購入

以前、炊飯器を使って料理を作るのが流行ったときから、カレーやシチューといった煮込み系の料理で炊飯器を使ったことはあった。他にもなにか食べたい料理があればと思ったのだけど・・・。
「100レシピ」とタイトルに謳われているから100種類乗っているのだろうけど・・・たくさんレシピが紹介されている割には・・・口が贅沢になっているわけでも、好き嫌いが多いわけでもないけど、食べたいものは少なかった。年をとったというのはあるかも知れないけど^^;;
先日はパンを焼いてみた。血糖値がやばくなったとき、炭水化物を減らそうと、ホームベーカリーを手放してしまったので、炊飯器でパンが焼けるようになれば・・・たまに焼いてみても良いかな、と。発酵も炊飯器でコントロールできるので、意外にかんたんだった。

BOOK「わたし琵琶湖の漁師です」

わたし琵琶湖の漁師です
戸田直弘著
(光文社新書:680円+税)
※古書を購入

琵琶湖は日本一面積の広い湖で、内水湖では唯一の漁業組合がある。それだけ、産業として漁業が大きな一を占めているのだろう。著者の戸田氏は琵琶湖の漁師として活躍される傍ら、琵琶湖の生態系を考え、改善していくための活動もされている。水質汚染、護岸工事による破壊、外来種、鵜、漁協の老齢化・営利追求体質、伝統的漁法の喪失など、危惧すべき問題は多い。
特に後半では、バスやブルーギルといった外来魚を放流し、釣ったサカナはそのままリリースしてしまう、いわゆる「スポーツ」「遊び」としての釣りとの対立が描かれている。
これは、あくまでわたしの個人的見解だけど、外来魚を放流した人間は死刑、それを釣って楽しむ人間は、放流された外来生物を絶滅させるまで強制労働を課すべきだと思っている。それだけ、取り返しの付かないことをやったのだと自覚させる上でも、厳罰に処すべきだ。

雑誌「milsil ミルシル ふしぎで多彩な変形菌の世界」(2018年No.5 通巻65号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌(隔月年6回発行。税込定価420円)。
今回の特集は「ふしぎで多彩な変形菌の世界」。この「ミルシル」の特集記事は、科博が予定している企画展のテーマと微妙に関連していることが多いのではないかと思っているけど、今回の「変形菌」は、関連している気配がない。昨年末から今年のはじめにかけて、「南方熊楠」の企画展をやったばかりだし。「変形菌」は地味な存在ではあるけど・・・わたしは熊楠ファンなので、嫌いな存在ではない。
この号で気になったのは巻頭のインタビュー記事。リチウムイオン二次電池を開発した吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)・・・ノーベル賞候補の呼び声も高いので、名前だけは知っていた。モバイルだ、ウェアラブルだと身の回りの電子機器の進化にはついていけない勢いがあるけど、それもこれもこの電池があってこそのこと。いくら感謝してもバチは当たらないはず。

BOOK「動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ」

動物たちの反乱
増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

河合雅雄、林良博編著
(PHPサイエンス・ワールド新書:880円+税)
※古書を購入

テレビのニュースなどで、シカやサルによる農業被害、人家のある地域にイノシシやツキノワグマが出没したなどという話があると、有識者なる人たちが「里山の荒廃」という言葉を口にする。この言葉を聞く度に、わたしは納得のいかないものを感じていた。そしてこの本を読んで、わたしは「里山」というものを理解していなかったことに気がついた。
わたしは北海道に生まれ育ったので、本州でいうところの、隅々にまで人の手が入った「里山」というものを実感してこなかった。いまの北海道は違うだろうけど、半世紀近く前の北海道には、里山のような中立地帯はほとんどなく、裏山ですらヒグマが支配する土地だった。だから、廃村により人間が後退した地域、開発が進んで里山を切り拓いてしまった地域では、その頃の北海道と同じような距離感に生まれてしまっているのだろう。
人口が増え、人間がどんどん自然を切り崩していた時代は、野生動物はゆるやかに絶滅する方向で減っていく。でも、地方が衰退し、放棄地が増えると、野生動物が反撃してくる。自然保護の意識もあるし、むやみに駆除もできない。さらに、外来生物という援軍?も押しかけてきて、勢力を伸ばしている。『進撃の巨人』のような壁でも作るしかないんじゃないかな^^;;