BOOK「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」図録

先日、国立科学博物館で見てきた特別展「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」の図録。価格:2200円(税込)。192ページ。
映像展示はNHKで放送されたものが中心で期待はずれだったけど、テレビ番組より詳細であろうと思い、図録を購入しておいた。実際、夏休みのチビッコがうごめいていて、企画展の会場では解説パネルを落ち着いて読む余裕が全くなかったし^^;;
展示自体、良くこれだけ詰め込んだと思えるくらいに内容は豊富だったけど、その分、通路が狭く混雑が激しかった。チビッコにこういう展示を見せること自体は決して悪いことじゃないんだろうけど・・・幼稚園児や乳幼児を連れた母親が多すぎる。一部の美術館のように、小学生未満の入場を制限するというわけにはいかないだろうけど、もう少し何とかならないだろうか^^;;
わたし自身、興味のある分野だというのもあるし、展示を十分に見られなかったせいもあるけど、読む部分も多いし、写真やCG図版も楽しい。図録としては良くできている。科博の図録としてはかなり出来の良い方だと思う。

BOOK「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」

人類と気候の10万年史
過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか

中川毅著
(講談社ブルーバックス:994円+税)

湖の底の堆積物中の花粉や氷河に閉じ込められたガスを分析したりして、過去の気候を解き明かす学問を、古気候学という。地質年代規模のスケールで見ると、1億年前あたりからいまは寒冷化の局面だということは聞き知っていた。でも、昨今の地球温暖化(最近は気候変動というけど)が叫ばれ、日常生活でもそれらしい変化を体験したりしている、ような気がしている。
この本では、100年、1000年、1万年、1億年単位で、気候変動の様子を示している。で、巨視的なスケールでは、たしかに寒冷化している。さらに、福井県の水月湖の地層ボーリング調査から、氷河期はあるとしにいきなりスイッチをオフにしたように終わり、急激に気候が変動していたことが判明した、というようなことをわかりやすく解説している。
どこぞの国のいかれた大統領ではないけれど、こうしてみると地球の温暖化/気候変動はウソなんじゃないかとも思えてしまう。でも、文明による大量の温暖化ガスの放出は事実だし、海水温の上昇、酸性化などは現実のこと。地球という複雑な気候システムに、温暖化ガスがどう影響するのか読み切れないだけなんだろうけど・・・。
だけど、暑さが苦手なわたしの個人的な関心事としては、いま現在の暑さと今後20年間程度の気候。夏が暑いのは仕方がないけど、何とかならないものだろうか^^;

BOOK「講座・日本技術の社会史 第三巻 紡織」

講座・日本技術の社会史 第三巻
紡織

編集委員:甘粕健、網野善彦、石井進、黒田日出男、田辺昭三、玉井哲雄、永原慶二、山口啓二、吉田孝
(日本評論社:2,900円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
なかなか手ごろな本が見つからず、いろいろ探したあげく、ようやくこの本に行き当たった。繊維産業は、かつて日本の花形産業で、明治期以降、外貨をたくさん稼ぎ出していたにもかかわらず、いまではまともな出版物を探すのに苦労するとは・・・。
この本は、先史時代からの日本の製糸、織物について解説していて、すごい本であることに間違いはないんだけど・・・わたしが必要とした情報は近代の製糸・紡績についてなので、後半3分の1くらいしかページが割かれていなかった。この本は近代の機械制紡糸・紡績への移行まで。大正・昭和期についてはまったく触れられていない。しかも、残念ながら、この本のシリーズでは紡織に関する続巻はない。
戦後の化学繊維の時代の資料を別途探さないといけないかも知れない・・・。
巻末の「特論」の「日本の織機」の項が、意外に役に立った。

雑誌「milsil ミルシル 太陽フレア」(2017年No.4 通巻58号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「太陽フレア」。
太陽の表面で起きる爆発(フレア)から、太陽風や放射線などが放出され、地球の極地で見られるオーロラの原因となる云々はよく知られたこと。この特集のメインは、そのフレアの大型版「スーパーフレア」。大量の放射線が地球に到達し、上空を飛ぶ飛行機では致死量に達するかも知れないという予測も・・・。地表では大丈夫らしいけど・・・。同時に、宇宙空間にある人工衛星をはじめ、地球上のエレクトロニクス製品が大ダメージを受け、情報インフラや電力などの生活インフラが壊滅するなど、恐ろしい影響があるらしい。
地震や台風といった、地球が引き起こす自然災害にすら対応できていないのに、太陽が引き起こす文字通りの天災にどう備えるか? まあ、いまのところ、太陽を観測して予測できるようになることを目指す・・・。予測できてからどうするのか・・・根本的な対策はあるんだろうか?^^;;

BOOK「ヒト 異端のサルの1億年」

ヒト
異端のサルの1億年

島泰三著
(中公新書:920円+税)
※古書を購入

人類学の本を読むと、いつも消化不良になる。わずかな発掘資料から推測を重ねて、わかっていないことが多いのを良いことに、かなり我田引水的に自説を展開していることが多いから。同じようにこの本も消化不良を起こした感じ^^;; ただし、この本の場合はいままでに読んだ本とは少し意味合いが違う。
オランウータンからはじまり、ゴリラ、チンパンジーといったサル、そしてアルディピテクス、アウストラロピテクス、ホモ・エレクトゥス、ネアンデルタール、ホモ・サピエンスへとサルから人類へと考察を並べているけど、ただ並べただけで著者の主張がない。考察も非常に浅い。各項目単独ならそれなりに読んだ感じはするけど、それを串刺しにする部分の考察がお粗末すぎて、この本でいちばんの消化不良に陥ってしまった。
生煮えの食材を順に食べさせられて、お腹を壊したような読後感・・・。結局、サブタイトル通り、裸のサルという異端さを書きたかっただけなのか? だとしたら、著名を『ヒト』ではなく、『サル』にした方が良かった。

BOOK「植物はなぜ薬を作るのか」

植物はなぜ薬を作るのか
斉藤和季著
(文春新書:880円+税)
※古書を購入

植物は自力では移動できない。だから、防衛や繁殖などに化学物質を利用している・・・という。植物がいかに多様な化学物質を賢く巧に利用しているのかは、わかりやすく書かれていて面白い本だったけど、タイトルが示す「なぜ」には何も答えてはいない。
そもそも、「植物は自力では動けないから」化学物質を活用していると理解するのは違うと思う。だって、自力で移動できる動物だって、たくさんの化学物質を体内で生みだし利用しているから。フェロモンなんかは繁殖に役立てているし、内分泌物質などは生命維持に不可欠な存在だ。さらにいえば、植物の中には、化学物質利用ではなく、種子を風に飛ばしたり、動物に付着させ運ばせたり、河や海の流れを利用したりして繁殖圏を広げるものがある。結果的に、化学物質をこのように巧に使っている植物もあるというだけのことではないか。
まあ、何にせよ、植物の生命活動と繁殖システムは多彩で、どれも良くできている。

雑誌「milsil ミルシル 日本の深海底に眠る鉱物資源を探せ!」(2017年No.3 通巻57号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は海底資源。たまに、NHKが特番を放送しているけど、日本近海の海洋底にたくさん分布している海底熱水鉱床、無数に転がっているマンガンクラスト、マンガンノジュール、そしてレアアース泥について。これらが採算ベースで採掘されるようになると、日本は資源大国として経済的に潤うのだけど・・・。
でも、わたしは個人的に思うことがある。今後もこれまで同様にたくさんの資源を使い続けても良いものかと? 化石燃料の大量消費がGHGの大量放出を生み、気候変動という大きな問題ちなったように、新たな資源開発が新しい問題を生み出すのではないかと。できることなら、その辺も考慮して賢く実用化して欲しい。
第二特集は日本の国立公園。以前、日本の国立公園・国定公園について仕事でいろいろ調べたことがある。日本の国立公園には自然保護と観光利用の二つの目的が置かれているけれど、知床や小笠原など、自然保護をメインにした国立公園が増えているのは喜ばしいことだ。地元は観光誘致に必死なのかも知れないけど^^;;
でも、国立公園は予算があるからまだ良い。いま問題なのは、国定公園の方だろうな。自治体に予算がなく、至る所で老朽化した施設が廃墟となり果てはじめている。当然、自然保護への取り組みも大きく後退している。というか、放置されているというのが現状。日本の国力の衰えを象徴するような現状なんだよなぁ^^;;

BOOK「自分の「うつ」を治した精神科医の方法 薬に頼らず、心身ともに元気を取り戻すために――」

自分の「うつ」を治した精神科医の方法
心身ともに元気を取り戻すために――

宮島賢也著
(KAWADE夢新書:amazon:760円)
※Kindle版を購入

医師である著者が自らの「うつ」脱出体験を元に書いた本。先日読んだマンガ「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」で紹介されていた本で、基本的なエッセンスは同じだった。ただ、こちらの本は、目次構成が非常に細かく、自分に照らし合わせて考えやすいものになっている。ある意味では、自分がうつになりやすい体質なのか、あるいは自分のうつの原因がなんなのかを考える上でのチェック項目が並んでいるかのようだ。実体験から書かれた本だという以外にも、これが意外に説得力を高めているように思う。
もちろん、細かな項目がすべて一般化できるものか納得しづらい点もあるけど、なるほどと感じさせる項目は多かった。ただ、こういうのって・・・日めくりカレンダーと同じで、気持ちに触れるかどうかが大切なんだと思う。前向きに納得できれば、うつに限らず前進できるんだろうから。