BOOK「ホーキング、宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで」

ホーキング、宇宙を語る
ビッグバンからブラックホールまで

ティーヴン・W・ホーキング著
林一訳
(早川書房:1,553円+税)
※古書を購入

何10年ぶりかで古本を手に取った。すごく懐かしい。
宇宙論の大まかな発展の流れからはじまっているけど、科学的な物の考え方や科学理論のとらえ方など、極めて基礎的なマナーにも触れられていて、文系の学生であった私が、初めて読んだ時に感動しながらメモをとったことを思いだした。
序文で一般向けの本だと言いながら、かなり奥が深いんだ、この本。学校で習ったこと、他の本で読んだこと、自分が理解していることとは別の言い回しで表現されていたりするので、度々脳内変換に時間がかかった。
でも、さすがに今読むとふつうに新書を読むスピードで読める。似たような本を何冊も読んできたから。今読み返すと、所々内容が古くて時代を感じさせる表記が目に付く。例えば、宇宙の年齢を100から200億年前としていりたり、重力波も観測できていないなどと書かれている。特に新発見の多いブラックホールについての記述が古い。名著ではあるけれど、やはり、最新の本を読むべきなのだろう。

雑誌「milsil ミルシル 日本列島の誕生と変遷」(2020年No.2 通巻74号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行)
今回の特集は「日本列島の誕生と変遷」。
新型コロナウイルスのせいで科博もずっと休館になっていて、再開のめども立たない状況が続いている。科博に限らず、博物館美術館はどこも閉鎖されているので、外出しようという意欲も出ない。
この号の特集は「日本列島」。かつて日本列島はユーラシア大陸の一部で、いまの沿海州近くから分裂して島となり、今日の地形を生みだしていった。おかげで、日本列島でも恐竜の化石が出てきたりする。以前、HNKの番組で紹介され、何冊か本も読んだことがあるのでなじみ深い内容だった。
そういえば、子供の頃、小松左京の『日本沈没』という小説がベストセラーになったけど、ここで紹介されている地殻変動の延長として描かれたものではないと記憶している。あれは、どういう理論による創作だったんだろう?

BOOK「ストックホルムへの廻り道 私の履歴書」

ストックホルムへの廻り道
私の履歴書

大村智著
(日本経済新聞出版社:1,600円+税)
※古書を購入

2015年に「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智先生の著書。
生い立ちからはじまり、研究者の道に進み、北里研究所の経営、女子美術大学理事長と韮崎大村美術館の設立、そして郷里に温泉を掘ってしまうところまで、文字通りに「履歴書」的な自伝。
大村先生が開発した治療薬によって数億人が救われたといわれ、ノーベル賞受賞の報道の時は日本中が驚いた。わたしも何かで読んで、おぼろげながらその功績はしっていたけど、正直いって驚いた。ノーベル賞こそ受賞していないけど、実は、日本にはこういう功績のある科学者が何人もいる。日本人として誇らしいことだけど、一般には知られていないんだよなぁ。

雑誌「milsil ミルシル 地球外生命を探せ!」(2020年No.1 通巻73号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行)
今回の特集は「地球外生命を探せ!」。
最近は「宇宙人」という単語が使われなくなり、知的生命体であるか否かを問わず、「地球外生命」と呼ぶことが多い。この太陽系の惑星やその衛星にも生命が存在する可能性が確認され、さらには系外惑星もたくさん発見されるに及んで、この分野も活気づいている。
今でこそこんな特集がふつうに組まれているけど、2、30年前に「SETI」なんていうと、真っ当に科学扱いされていなかった。まあ、SETIは地球外の知的文明さがしだから、むかし風にいえば「宇宙人」探しだ。「地球外生命」探しとは分けて考えるべきだけど・・・個人的には「地球外生命」より「宇宙人」がいて欲しい。その方が楽しいしわくわくする。

BOOK「生命科学の未来 がん免疫治療と獲得免疫」

生命科学の未来
がん免疫治療と獲得免疫

本庶佑著
(藤原書店:2,200円+税)
※古書を購入

がん免疫治療の確立の功績で、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑先生の著書。
PD-1抗体の発見とがん免疫治療について解説しているのは、全体の3分の1程度で、後半は川勝平太(出版時は静岡県知事)との対談。本庶先生が静岡県立大学の理事長を務めている関係でのことらしい。自伝的な要素はぜんぜんない。
本庶先生の生命科学、基礎科学に対する姿勢や考え方、さらには人間の幸福といった思想について知る上では良い資料だと思う。
正直いうと・・・本庶先生自身がすごく立派な方なので逆に解らなくなってしまうのだけれど・・・単に目先の研究を追いかけていくだけでは立派な学者にはなれないのか、あるいは、立派な人間だからこそ科学の女神が微笑むものなのか?

BOOK「エッセンス! フレーバー・フレグランス」

エッセンス! フレーバー・フレグランス
化学で読みとく香りの世界

櫻井和俊/日野原千恵子/佐無田靖/藤森嶺著
(三和出版:2,500円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
昨年から、似たような本を何冊か読んだけど、構成はほぼ同じ。食品に添加され、香りや味を調整する「フレーバー」、香水や芳香剤など食品以外に用いられている「フレグランス」について、科学的な側面から解説している。難解ではないけど、ベンゼン環が並んだ分子式なんかも出てくる。でも、目的があって読んでいるので、そういうところは飛ばしても問題がない。
「香り」「匂い」といった分野がわかりにくいのは、ある意味、人の五感の中で「嗅覚」がいちばん解明が進んでいないからなのかなと思っていたけど・・・必ずしもそうではないようだ。けっこう納得できるレベルまで研究が進んでいるし、香りは予想以上の分野で活用されている。

BOOK「宇宙からみた生命史」

宇宙からみた生命史
小林憲正著
(ちくま新書:800円+税)
※古書を購入

宇宙の中で、我々は特殊な存在であるという生命科学の天動説から、どうやらありふれた存在のひとつらしいという地動説に変わってきている。その根拠が、近年、急速に知見を広げているアストロバイオロジー。生命誕生の謎を解き明かす鍵が「宇宙」にある・・・もはや荒唐無稽なアプローチではなくなった。できることなら、わたしが生きているうちに、地球外生命の存在だけでも発見されて欲しいものだ。
でも、この手の本で、個人的にひとつだけ馴染めない点がある。
地球以外の多くの場所に、生命誕生の可能性があるということと、知的生命体にまで進化した地球外文明があるということ、それが観測可能または交流可能な近距離に同時代的に存在すること、これらには大きなギャップがある。もし仮に、すぐ近傍の地球外文明があったからといって、我々地球文明を粗末に考えて良い理由にはならないし・・・地球外文明の有無を問わず、自分たちがどう発展し、どこに向かっていくかを考えるべきだと思う。
この本は、かなり広範なアストロバイオロジーを取り上げてきている。総合的に思索を広げるのは勝手けど、ちょっと情緒的に広げすぎではないだろうか。