宇宙からみた生命史
小林憲正著
(ちくま新書:800円+税)
※古書を購入
宇宙の中で、我々は特殊な存在であるという生命科学の天動説から、どうやらありふれた存在のひとつらしいという地動説に変わってきている。その根拠が、近年、急速に知見を広げているアストロバイオロジー。生命誕生の謎を解き明かす鍵が「宇宙」にある・・・もはや荒唐無稽なアプローチではなくなった。できることなら、わたしが生きているうちに、地球外生命の存在だけでも発見されて欲しいものだ。
でも、この手の本で、個人的にひとつだけ馴染めない点がある。
地球以外の多くの場所に、生命誕生の可能性があるということと、知的生命体にまで進化した地球外文明があるということ、それが観測可能または交流可能な近距離に同時代的に存在すること、これらには大きなギャップがある。もし仮に、すぐ近傍の地球外文明があったからといって、我々地球文明を粗末に考えて良い理由にはならないし・・・地球外文明の有無を問わず、自分たちがどう発展し、どこに向かっていくかを考えるべきだと思う。
この本は、かなり広範なアストロバイオロジーを取り上げてきている。総合的に思索を広げるのは勝手けど、ちょっと情緒的に広げすぎではないだろうか。