BOOK「トヨタ産業技術記念館=ガイドブック=」

数日前、名古屋で見てきた「トヨタ産業技術記念館」のガイドブック。
タイトルはガイドブックだけど、320ページを超える厚さがあり、常設展示されている内容がほぼすべて掲載されているようなので、事実上は「図録」といってよい内容だと思う。もちろん、常設店も展示内容は変化するだろうけど、2014年の改訂版なので、大きな違いはないだろう。さすがに「世界のトヨタ」。企業博物館でこれだけのガイドブック(図録)を作っているところは、めったにないのではないだろうか。
「繊維機械館」の部分は、展示機械の積み重ねが、豊田佐吉が織機の改良・発明を重ねてきた歴史そのもので、いい換えるならば明治以降の日本の繊維産業の技術史そのもの。
全体の3分の2ほどを占める「自動車館」の部分も同様で、トヨタの黎明期の技術史は、そのまま日本の自動車黎明期の技術史といってよい内容だと思う。

雑誌「milsil ミルシル ようこそ!コケの世界へ」(2017年No.5 通巻59号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「コケ」。
いつものことだけど地味なテーマ^^; 最近は、どこにでもマニアックな女性がいるらしく、「コケじょ」「コケガール」などという呼び名もあるくらいなので、地味なテーマなどというと叱られるかも知れない。わたしも若かりし頃、わびさびの世界に関心があったので、それなりに見慣れた存在ではあるけれど、でも、正直いうとあまり興味がない。「万葉集」や「古今和歌集」などの歌に詠まれたコケの話などは、面白く読んだけれど・・・。
この号の記事で他に気になったのは、「斎藤報恩会貝類コレクション」に関するもの。現在、科博にあるとは知らなかった。というか、仙台の斎藤報恩会自然史博物館は閉館してしまったのか・・・。かつて20代の頃、仙台に遊びに行ったときに見に行こうとしたものの、同行者の反対で見に行けなかった博物館。地味な博物館だから仕方がないという気もするけど・・・そういうことが何度か重なり、以降、興味関心の異なる人間とはなるべく一緒に行動しないことにしている。

BOOK「化学のはたらきシリーズ4 衣料と繊維がわかる 驚異の進化」

化学のはたらきシリーズ4
衣料と繊維がわかる

驚異の進化

日本化学会企画・編集
井上晴夫、齋藤幸一、島﨑恒藏、宮崎あかね監修
佐藤銀平著
(東京書籍:1,500円+税)

仕事の資料として読んだ本。
衣服の歴史にはじまり、天然素材の特長などにも触れながら、中心的には化学繊維について解説している。この本が「化学」に関するシリーズなので、当然のことではある。
化学繊維の世界は広くて・・・知的工期心的には、仕事には関係のない部分がいろいろ面白かった。もちろん、仕事の資料としてもそれなりに役立ったけど。化学繊維は産業と密接に結びついていて、研究開発を行うのが民間企業であることが多い。そのため、この本でも具体的な企業名や商品名がたくさん登場する。たぶん、繊維産業の特徴だろうと思う。以前、身体が元気だった頃に、山登りで愛用していた「ゴアテックス」や「エントラント」なんていう名前もふつうに出てくる。
「衣料と繊維」ということなので、衣料以外の工業的な材料に使われる繊維類については全く触れられていない。そういう用途にこそ、最先端の科学技術分野が含まれるので、いろいろ面白い世界があるのだろうけど・・・。

BOOK「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」図録

先日、国立科学博物館で見てきた特別展「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」の図録。価格:2200円(税込)。192ページ。
映像展示はNHKで放送されたものが中心で期待はずれだったけど、テレビ番組より詳細であろうと思い、図録を購入しておいた。実際、夏休みのチビッコがうごめいていて、企画展の会場では解説パネルを落ち着いて読む余裕が全くなかったし^^;;
展示自体、良くこれだけ詰め込んだと思えるくらいに内容は豊富だったけど、その分、通路が狭く混雑が激しかった。チビッコにこういう展示を見せること自体は決して悪いことじゃないんだろうけど・・・幼稚園児や乳幼児を連れた母親が多すぎる。一部の美術館のように、小学生未満の入場を制限するというわけにはいかないだろうけど、もう少し何とかならないだろうか^^;;
わたし自身、興味のある分野だというのもあるし、展示を十分に見られなかったせいもあるけど、読む部分も多いし、写真やCG図版も楽しい。図録としては良くできている。科博の図録としてはかなり出来の良い方だと思う。

BOOK「人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか」

人類と気候の10万年史
過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか

中川毅著
(講談社ブルーバックス:994円+税)

湖の底の堆積物中の花粉や氷河に閉じ込められたガスを分析したりして、過去の気候を解き明かす学問を、古気候学という。地質年代規模のスケールで見ると、1億年前あたりからいまは寒冷化の局面だということは聞き知っていた。でも、昨今の地球温暖化(最近は気候変動というけど)が叫ばれ、日常生活でもそれらしい変化を体験したりしている、ような気がしている。
この本では、100年、1000年、1万年、1億年単位で、気候変動の様子を示している。で、巨視的なスケールでは、たしかに寒冷化している。さらに、福井県の水月湖の地層ボーリング調査から、氷河期はあるとしにいきなりスイッチをオフにしたように終わり、急激に気候が変動していたことが判明した、というようなことをわかりやすく解説している。
どこぞの国のいかれた大統領ではないけれど、こうしてみると地球の温暖化/気候変動はウソなんじゃないかとも思えてしまう。でも、文明による大量の温暖化ガスの放出は事実だし、海水温の上昇、酸性化などは現実のこと。地球という複雑な気候システムに、温暖化ガスがどう影響するのか読み切れないだけなんだろうけど・・・。
だけど、暑さが苦手なわたしの個人的な関心事としては、いま現在の暑さと今後20年間程度の気候。夏が暑いのは仕方がないけど、何とかならないものだろうか^^;

BOOK「講座・日本技術の社会史 第三巻 紡織」

講座・日本技術の社会史 第三巻
紡織

編集委員:甘粕健、網野善彦、石井進、黒田日出男、田辺昭三、玉井哲雄、永原慶二、山口啓二、吉田孝
(日本評論社:2,900円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
なかなか手ごろな本が見つからず、いろいろ探したあげく、ようやくこの本に行き当たった。繊維産業は、かつて日本の花形産業で、明治期以降、外貨をたくさん稼ぎ出していたにもかかわらず、いまではまともな出版物を探すのに苦労するとは・・・。
この本は、先史時代からの日本の製糸、織物について解説していて、すごい本であることに間違いはないんだけど・・・わたしが必要とした情報は近代の製糸・紡績についてなので、後半3分の1くらいしかページが割かれていなかった。この本は近代の機械制紡糸・紡績への移行まで。大正・昭和期についてはまったく触れられていない。しかも、残念ながら、この本のシリーズでは紡織に関する続巻はない。
戦後の化学繊維の時代の資料を別途探さないといけないかも知れない・・・。
巻末の「特論」の「日本の織機」の項が、意外に役に立った。

雑誌「milsil ミルシル 太陽フレア」(2017年No.4 通巻58号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は「太陽フレア」。
太陽の表面で起きる爆発(フレア)から、太陽風や放射線などが放出され、地球の極地で見られるオーロラの原因となる云々はよく知られたこと。この特集のメインは、そのフレアの大型版「スーパーフレア」。大量の放射線が地球に到達し、上空を飛ぶ飛行機では致死量に達するかも知れないという予測も・・・。地表では大丈夫らしいけど・・・。同時に、宇宙空間にある人工衛星をはじめ、地球上のエレクトロニクス製品が大ダメージを受け、情報インフラや電力などの生活インフラが壊滅するなど、恐ろしい影響があるらしい。
地震や台風といった、地球が引き起こす自然災害にすら対応できていないのに、太陽が引き起こす文字通りの天災にどう備えるか? まあ、いまのところ、太陽を観測して予測できるようになることを目指す・・・とのことだけど、予測できてからどうするんだろうか? 根本的な対策はあるんだろうか?^^;;