BOOK「丹下健三 戦後日本の構想者」

丹下健三
戦後日本の構想者

豊川斎赫著
(岩波新書:840円+税)
※古書を購入

いままで、「現代建築」に関して興味を持ったことがなく、ずっとずぶの門外漢であり続けている。とくに、「脱構造主義」とか訳のわからないものが主流になって、建築設計が理工系の分野から逸脱しはじめてからは、なおさら目を背けてきた気がする。だから、磯崎新とか、黒川紀章とか、日本を代表する建築家といわれる人たちについても、名前は聞いたことがあるけど、どういう人たちなのかはぜんぜん知らない。
その、磯崎新、黒川紀章の師匠筋に当たるのが丹下健三で、ある意味では戦後日本の当たり前の都心の風景を産みだした人という程度の知識しかなかった。少なくとも、日本の主要な地方都市の中心部にある役所や官庁の出先機関、郵便局本局といった、パブリックな建物の多くが丹下健三風のデザインで・・・金太郎飴のように同じ顔をしているのは、不思議ではあるけど、ある意味ではすごいことだと思う。
そして、戦後生まれで、高度成長期に育ったわたしは思うのだ・・・戦後の焼け野原しかなかった、いわば真っ白なキャンバスに自由に絵を描けた世代は楽しかったろうなと。もちろん、その後の世代であろうと、才能のある人は新しいなにかを書き続けるわけだけど・・・少なくとも日本中が同じような風景になるほどの仕事はできないわけで・・・。

BOOK「非常識な建築業界 「どや建築」という病」

非常識な建築業界
「どや建築」という病

森山高至著
(光文社新書:amazon:378円)
※Kindle版を購入

著者は、新国立競技場のデザイン決定後のドタバタや豊洲の新市場問題の時、いろいろテレビに出ていた。その時は、大型公共施設に見識のある人なんだろうと思っていたけど、早くからこういう問題に取り組んでいた人もようだ。そういえば、昨年秋の衆院選に立候補していたようだけど・・・当否はどうなったんだろう?
ここで取り上げているのは、大型の公共施設を建てる際に行われる「公共コンペ」がいかに機能不全を起こしているかということ。利用者や管理者・運営者の視点が活かされず、建築業界の非常識的常識で最優秀案が選ばれ、コストを度外視して実施されていくという問題。わたしも、地方に行ったときなど、なんでこんなところにこんな建物があるのかと驚くことがあるけど、そういう建物が建てられる元凶がここにあるらしい。
戦後日本の簡単な建築史や、ゼネコンの実情やらなにやら、建築業界の裏事情のようなモノまで幅広く取り上げられていて、入門書として面白く読めた。

BOOK「日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門」

日本人は人を殺しに行くのか
戦場からの集団的自衛権入門

伊勢崎賢治著
(朝日新書:amazon:648円)
※Kindle版を購入

わたし個人としては、日本が集団的自衛権を行使できるできない云々は、まあ、できた方が良いのだろうと思った程度で、とくに異論はなかった。むしろ、閣議決定で憲法解釈を変更するだけという、手続き上の手軽さが意外だった。
この本は、かなり煽ったタイトルの割には、意外に常識的な内容で・・・ちょっと肩すかしを食らった感じ。もっと強烈に反対しているのかと思った。でも、紛争解決の専門家としての個人的体験に基づいた論旨で、もう少し大局的な視点で論を展開して欲しかった。
そもそも、集団的自衛権って、世の古今東西を問わず、街のチンピラたちがグループを作ったり、暴走族や暴力団なんかの発想と同じ・・・。国家レベルでいえば、大国にくっついていれば安心だという、倭の奴国や邪馬台国の時代から変わらない発想だったりする。さらにいえば、2度の世界大戦もある意味では集団的自衛権の元で行われたわけで・・・もう少し現代的な、新しい概念で戦争を抑止する方法ってないものだろうか?

コミックス「ゴルゴ13×外務省」

外務省が制作した中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル。
ゴルゴ13という暗殺者キャラを用いた劇画部分と、テキスト部分に分かれた構成。ネットでは死ぬほどつまらない関連動画も公開されている。リアル本は手に入りそうもないので、外務省のHPで公開されているPDFを読んだ。『東京防災』のように、amazonで無料の電子書籍を配布すれば良いのに・・・。岸田外務大臣は、桝添前都知事より気が利かないらしい。
この数年、テロが中東や北アフリカのみならず、欧米やアジアに拡散し、今や在外邦人もテロの標的になっている。 このような状況下、外務大臣は在外邦人の安全対策のためにデューク東郷(ゴルゴ13)に協力を要請。 ゴルゴは大臣の命を受け、世界各国の在外邦人に対して、「最低限必要な安全対策」を指南するための任務を開始した・・・という設定。
たしかに、危機管理という意味で、ゴルゴはプロなんだろうけど・・・プロだから、当然、多額の報酬が必要だ。きっと、領収書が不要で、会計検査院の監査も免除、使途が公開されることはない内閣官房報償費から極秘裏に支払われたのだろうから、報酬の有無や金額が公表されることはないだろう。本業である殺人の依頼ではないとはいえ、でも、世界的な犯罪者に報酬を支払うというのは、道義的にどうなんだろう?
※このコメントはフィクションであり、実在する人物、地名、団体とは一切関係ありません。

BOOK「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」

人工知能は人間を超えるか
ディープラーニングの先にあるもの

松尾豊著
(角川EPUB選書:amazon:875円)
※Kindle版を購入

AIに関する本を読んだのはこれが2冊目だけど・・・同時期に書かれた本だから仕方がないのかも知れないけど・・・だいたい同じようなことが書かれていた。要は、ディープラーニング(深層学習)という手法で自ら成長していく人工知能ということ。従来のなんちゃって人工知能との違いなどは、それなりに理解できた。
囲碁、将棋、株式投資アドバイス等々・・・こんなことができる、あんなこともできる、これは実用化された云々、個別の事例を並べられれば、それなりにすごいとは思う。では、将来の世の中、暮らしはどうなるのか、専門家としてもう少し踏み込んだ考察が欲しかった。
わたしは技術者ではないので、知りたいのは自分の暮らしがどう変わるかだ。AIによる音声認識・・・すごい技術だとは思うけど・・・わざわざ声で家電を操作することが便利なことなのか? ドローンが荷物を届けてくれたり、受付嬢がアンドロイドになったりすることが快適なことなのか? ぜんぜんピンとこないんだよな・・・。わたしの感度が鈍いだけなんだろうけど^^;

BOOK「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」

AIの衝撃
人工知能は人類の敵か

小林雅一著
(講談社現代新書:amazon:702円)
※Kindle版を購入

最近流行の「AI」について、とりあえず何か読んでおこうと思い、この本を読んでみた。2015年に出た本だけど、動きが速い業界だけに、明らかに情報が古いと感じるものも多々あった。でも、AIの衝撃の大きさと、日本衰退への危機感は的確に指摘している。
AIと人間との関係・・・AIの将棋ソフトのことを詳しく紹介しているけど、根底で著者の考えには納得できないものがある。AIがプロ棋士より強くなったことで、人間が指す将棋に意味がなくなるなんてことはないと思う。だって、自動車は人間より速く走る。なら、オリンピックの陸上競技に意味はないかというとそうじゃない。大相撲の横綱だって、ダンプカーには押し負ける。じゃあ、大相撲に存在意味はないのか。ぜんぜん別物というだけのこと。プロ棋士とAIがペアになる必要もない。AIとプロ棋士が対戦する意味がなくなっただけのことだろう。
人間はいろんな部分で「技術」に追い越されてきたけど、機械やコンピュータより劣る人間がやることに、必ずしも意味がなくなるわけではない。その意味ではむしろ、AIが将棋という分野で人間を超えるのに、ちょっと時間がかかりすぎたのではないかとすらわたしは思っている。
日本の将来なんて知ったこっちゃないけど・・・AIは世の中を激変させるだろう。だけど、AIが本格的に実用化され、身近な存在になる頃、わたしはもう寿命が尽きてるんだろうなぁ^^;;