BOOK「オホーツクの古代史」

オホーツクの古代史
菊池俊彦著
(平凡社新書:760円+税)
※古書を購入

仕事の資料としてではないけど、なんとなく興味の流れで読んでみた。
正直なところ、北海道で生まれ育ったけれど、つい先日までオホーツク海を見たことがなかった。当然ながら、印象は薄かった。学校で習う日本史は、縄文・弥生・古墳時代・・・と、畿内や九州を中心としたもので、北海道(蝦夷地)はなかなか出てこない。日本の外交史という面では、中国大陸や朝鮮半島にばかり向いていて、北方民族との交流という視点で描かれる世界観はまったく学ぶ機会がない。
それでも、一応、二十歳まで北海道にいたので、多少はこうした北方民族との交流があったことだけは知っていた。そして先日、網走市にある北海道立北方民族博物館、網走市立郷土博物館に行き、「オホーツク文化」についても知ったばかり。この本を含めて、いろいろと認識を新たにした。たしかに、地図の角度を変えてみると、オホーツク海は日本列島の北の玄関口なんだよな。

BOOK「繭と生糸の近代史」

繭と生糸の近代史
滝沢秀樹著
(教育社歴史新書:1,000円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
江戸時代に本格化し、明治期に日本の主要産業に発展した日本の生糸生産についての歴史本で、「女工哀史」や「あゝ野麦峠」などに描かれた時代の養蚕と生糸について書かれている。とかく、女工たちの悲惨な労働環境について語られることが多いけど、総合的な視点で幅広く語っている。
生糸の輸出は、明治期の日本にとって外貨獲得の主力だった。ヨーロッパの養蚕がカイコの病害で壊滅したせいもあり、日本の生糸は世界を席巻することになるけど、それを支えていたのはけなげに働く女工たちだった。さらに、機械紡織を進めたところにも、日本人の勤勉さが感じられる。
こういう、生糸に関しての歴史本はたくさん出ているけど、一般向けの技術本は全くといっていいほど出版されていない。いまさらということなんだろうけど・・・。
紡糸・紡織機のような機械は、その後の日本の工業的なものづくりの原点ともいえる存在。動作を見ているだけでも面白いし、飽きが来ない。その点、いまのハイテク製品はいまひとつ面白みに欠けるよなぁ。

BOOK「京都を古地図で歩く本 平安京から幕末維新まで“歴史の謎解き”めぐり」

京都を古地図で歩く本
平安京から幕末維新まで“歴史の謎解き”めぐり

ロムインターナショナル編
(KAWADE夢文庫:amazon:620円)
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平安京/京都の歴史を解説した本としては、内容に不満はない。とくに幕末期あたりは、詳しく書かれていて読み応えがあった。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んでいたので、そう言えばと思い描く部分もあり、面白く読んだのだけど・・・。
読んだ・・・というところが問題で、あくまでも歴史解説書にすぎなかった。残念なことに、書名から期待していた古地図があまり掲載されていない。京都は暑いし、有名な観光地は混雑しているし、ホテルも予約しづらいので、実際に行きたいとは思わないけど・・・Googleマップと見比べながら楽しもうという目論見にはほとんど役に立たない本だった。今回はKindle版を購入したので、購入時には気づかなかったけど・・・元々が文庫本というサイズでは、そもそも期待するべきではなかったのかも知れない。

BOOK「講座・日本技術の社会史 第三巻 紡織」

講座・日本技術の社会史 第三巻
紡織

編集委員:甘粕健、網野善彦、石井進、黒田日出男、田辺昭三、玉井哲雄、永原慶二、山口啓二、吉田孝
(日本評論社:2,900円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
なかなか手ごろな本が見つからず、いろいろ探したあげく、ようやくこの本に行き当たった。繊維産業は、かつて日本の花形産業で、明治期以降、外貨をたくさん稼ぎ出していたにもかかわらず、いまではまともな出版物を探すのに苦労するとは・・・。
この本は、先史時代からの日本の製糸、織物について解説していて、すごい本であることに間違いはないんだけど・・・わたしが必要とした情報は近代の製糸・紡績についてなので、後半3分の1くらいしかページが割かれていなかった。この本は近代の機械制紡糸・紡績への移行まで。大正・昭和期についてはまったく触れられていない。しかも、残念ながら、この本のシリーズでは紡織に関する続巻はない。
戦後の化学繊維の時代の資料を別途探さないといけないかも知れない・・・。
巻末の「特論」の「日本の織機」の項が、意外に役に立った。

BOOK「箱根関所物語」

箱根関所物語
加藤利之著
(かなしんブックス:874円+税)
※古書を購入

先日、NHKの番組『ブラタモリ』の録画を見て・・・長年わたしが抱いていた箱根の関所のイメージが大きく狂わされたので、ちょっとまともな本を読んでみようと、amazonで古書を購入した。
箱根関所というと、「入り鉄砲」と「出女」を厳しく監視したと思っていたけど、鉄砲に関してはさほど厳しくはなかったらしい。それに対して、大名の母・嫁・子の逃亡を疑わせる、出女はかなり厳重なチェックが行われていたという。
関所が厳格に機能していたことばかりが書かれているけど、江戸時代に何度かあった、お伊勢参りの大ブームのときなど、手形を持たない人ばかりだろうけど・・・どう対応したのだろう? そのあたりのことは、この本ではぜんぜん触れられてもいなかった。ましてや、お伊勢参りに単独で出かける『犬』も、何事もなく通してもらえたのだろうか?
もうひとつ、私にはかねてからひとつ疑問があった。戦国時代の北条氏、そして江戸幕府は、箱根に山城をなぜ立てなかったのか? 関所は入国管理官や警察官のような役割で、ほとんど軍事的な役割を担っていなかった。ならば、軍事施設として砦や出城が築かれてもおかしくないと思う。交通を妨げず、いざという時用の軍事施設がなぜ作られなかったのか・・・この本では判明しなかった。

BOOK「犬の伊勢参り」

犬の伊勢参り
仁科邦男著
(平凡社新書:800円+税)
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一昨年、仕事で香川県の金刀比羅宮に行き、「こんぴら狗」という存在を知った。こんぴらさんにお参りできない人に代わって、お参りするイヌのこと。そんな予備知識があった上で、たまたまamazonでこの本を見つけた。この本によると、お伊勢参りの犬が先で、こんぴら狗はその派生らしい。
江戸時代の抜け参りという一種の爆発的旅行ブームはものすごい。60年周期で数百万人が短期間にお伊勢参りをする。しかも着の身着のまま出かけたような人たちが。そのうち、犬までお伊勢参りに出かけるようになった。さらに、牛や豚まで本当にお参りしていたとは^^;;
こんぴら狗のときは何も考えず受け入れてしまったけど、昔、伊勢神宮は犬を不浄のものとして立ち入り禁止にしていた。にもかかわらず、1771(明和8)年4月、一匹の犬が内宮・外宮に参拝したという記録があり、これが犬の参拝のはじまりだという。飼い主は山城国久世郡(京都府南部あたり)の高田善兵衛だけど、犬の名前は不明。その後、犬の参拝はどんどん増えて、記録もたくさん残されていく。犬自身に信仰心があったわけではないだろうけど、人の善意だけで犬がお参りして無事に帰って来るというのはすごいことだ。しかも、江戸時代の日本の里犬だからこそ、お伊勢参りに出かけられたというのは驚きだし、ある意味ではちょっと笑える^^;;
現代はどうかというと・・・伊勢神宮の公式HPによると、ペットを連れての参拝は禁止されている。犬単独での参拝については、何も書かれていない^^;

BOOK「ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間」

ペリー来航
日本・琉球をゆるがした412日間

西川武臣著
(中公新書:760円+税)
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この前、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んだとき、幕末期の外国船来港の動きが気になったので、なにか適当な本を読んでおこうと思っていた。本当は、極東アジア全体に欧米諸国がどのような接触をはかり、圧力をかけていたのかを総括している本が良かったんだけど、たまたま古本屋にあったのでこの本になった。
この本を読む前から思っていたことだけど、ペリーというか、アメリカ人というか、彼らは適度に紳士であり、同時に横暴な野蛮人だということ。いまもぜんぜん変わっていない^^;; 当初、幕府のお偉方はうろたえるばかりだったけれど、結果的には善戦したのだろう。運が良かっただけといってしまえばそれだけだけど^^;;
この本で琉球とペリーとの交渉について、初めて読んだけど・・・ペリーの時代からアメリカは沖縄を抑えたかったわけで、その意味では今日の沖縄の状況のルーツはペリーにあるといえる。さらに、ペリー艦隊の水兵が強姦事件を起こし、その場で殺害されるという事件も起きている。こういう面でも、やはりペリー艦隊はルーツであるといえる。