BOOK「京都を古地図で歩く本 平安京から幕末維新まで“歴史の謎解き”めぐり」

京都を古地図で歩く本
平安京から幕末維新まで“歴史の謎解き”めぐり

ロムインターナショナル編
(KAWADE夢文庫:amazon:620円)
※Kindle版を購入

平安京/京都の歴史を解説した本としては、内容に不満はない。とくに幕末期あたりは、詳しく書かれていて読み応えがあった。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んでいたので、そう言えばと思い描く部分もあり、面白く読んだのだけど・・・。
読んだ・・・というところが問題で、あくまでも歴史解説書にすぎなかった。残念なことに、書名から期待していた古地図があまり掲載されていない。京都は暑いし、有名な観光地は混雑しているし、ホテルも予約しづらいので、実際に行きたいとは思わないけど・・・Googleマップと見比べながら楽しもうという目論見にはほとんど役に立たない本だった。今回はKindle版を購入したので、購入時には気づかなかったけど・・・元々が文庫本というサイズでは、そもそも期待するべきではなかったのかも知れない。

BOOK「講座・日本技術の社会史 第三巻 紡織」

講座・日本技術の社会史 第三巻
紡織

編集委員:甘粕健、網野善彦、石井進、黒田日出男、田辺昭三、玉井哲雄、永原慶二、山口啓二、吉田孝
(日本評論社:2,900円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
なかなか手ごろな本が見つからず、いろいろ探したあげく、ようやくこの本に行き当たった。繊維産業は、かつて日本の花形産業で、明治期以降、外貨をたくさん稼ぎ出していたにもかかわらず、いまではまともな出版物を探すのに苦労するとは・・・。
この本は、先史時代からの日本の製糸、織物について解説していて、すごい本であることに間違いはないんだけど・・・わたしが必要とした情報は近代の製糸・紡績についてなので、後半3分の1くらいしかページが割かれていなかった。この本は近代の機械制紡糸・紡績への移行まで。大正・昭和期についてはまったく触れられていない。しかも、残念ながら、この本のシリーズでは紡織に関する続巻はない。
戦後の化学繊維の時代の資料を別途探さないといけないかも知れない・・・。
巻末の「特論」の「日本の織機」の項が、意外に役に立った。

BOOK「箱根関所物語」

箱根関所物語
加藤利之著
(かなしんブックス:874円+税)
※古書を購入

先日、NHKの番組『ブラタモリ』の録画を見て・・・長年わたしが抱いていた箱根の関所のイメージが大きく狂わされたので、ちょっとまともな本を読んでみようと、amazonで古書を購入した。
箱根関所というと、「入り鉄砲」と「出女」を厳しく監視したと思っていたけど、鉄砲に関してはさほど厳しくはなかったらしい。それに対して、大名の母・嫁・子の逃亡を疑わせる、出女はかなり厳重なチェックが行われていたという。
関所が厳格に機能していたことばかりが書かれているけど、江戸時代に何度かあった、お伊勢参りの大ブームのときなど、手形を持たない人ばかりだろうけど・・・どう対応したのだろう? そのあたりのことは、この本ではぜんぜん触れられてもいなかった。ましてや、お伊勢参りに単独で出かける『犬』も、何事もなく通してもらえたのだろうか?
もうひとつ、私にはかねてからひとつ疑問があった。戦国時代の北条氏、そして江戸幕府は、箱根に山城をなぜ立てなかったのか? 関所は入国管理官や警察官のような役割で、ほとんど軍事的な役割を担っていなかった。ならば、軍事施設として砦や出城が築かれてもおかしくないと思う。交通を妨げず、いざという時用の軍事施設がなぜ作られなかったのか・・・この本では判明しなかった。

BOOK「犬の伊勢参り」

犬の伊勢参り
仁科邦男著
(平凡社新書:800円+税)
※古書を購入

一昨年、仕事で香川県の金刀比羅宮に行き、「こんぴら狗」という存在を知った。こんぴらさんにお参りできない人に代わって、お参りするイヌのこと。そんな予備知識があった上で、たまたまamazonでこの本を見つけた。この本によると、お伊勢参りの犬が先で、こんぴら狗はその派生らしい。
江戸時代の抜け参りという一種の爆発的旅行ブームはものすごい。60年周期で数百万人が短期間にお伊勢参りをする。しかも着の身着のまま出かけたような人たちが。そのうち、犬までお伊勢参りに出かけるようになった。さらに、牛や豚まで本当にお参りしていたとは^^;;
こんぴら狗のときは何も考えず受け入れてしまったけど、昔、伊勢神宮は犬を不浄のものとして立ち入り禁止にしていた。にもかかわらず、1771(明和8)年4月、一匹の犬が内宮・外宮に参拝したという記録があり、これが犬の参拝のはじまりだという。飼い主は山城国久世郡(京都府南部あたり)の高田善兵衛だけど、犬の名前は不明。その後、犬の参拝はどんどん増えて、記録もたくさん残されていく。犬自身に信仰心があったわけではないだろうけど、人の善意だけで犬がお参りして無事に帰って来るというのはすごいことだ。しかも、江戸時代の日本の里犬だからこそ、お伊勢参りに出かけられたというのは驚きだし、ある意味ではちょっと笑える^^;;
現代はどうかというと・・・伊勢神宮の公式HPによると、ペットを連れての参拝は禁止されている。犬単独での参拝については、何も書かれていない^^;

BOOK「ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間」

ペリー来航
日本・琉球をゆるがした412日間

西川武臣著
(中公新書:760円+税)
※古書を購入

この前、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んだとき、幕末期の外国船来港の動きが気になったので、なにか適当な本を読んでおこうと思っていた。本当は、極東アジア全体に欧米諸国がどのような接触をはかり、圧力をかけていたのかを総括している本が良かったんだけど、たまたま古本屋にあったのでこの本になった。
この本を読む前から思っていたことだけど、ペリーというか、アメリカ人というか、彼らは適度に紳士であり、同時に横暴な野蛮人だということ。いまもぜんぜん変わっていない^^;; 当初、幕府のお偉方はうろたえるばかりだったけれど、結果的には善戦したのだろう。運が良かっただけといってしまえばそれだけだけど^^;;
この本で琉球とペリーとの交渉について、初めて読んだけど・・・ペリーの時代からアメリカは沖縄を抑えたかったわけで、その意味では今日の沖縄の状況のルーツはペリーにあるといえる。さらに、ペリー艦隊の水兵が強姦事件を起こし、その場で殺害されるという事件も起きている。こういう面でも、やはりペリー艦隊はルーツであるといえる。

BOOK「熊楠の星の時間」

熊楠の星の時間
中沢新一著
(講談社選書メチエ:1,500円+税)

最近、仕事の関係で、いくつかまとめて南方熊楠についての本を読んでいる。ただし、あくまでも自然科学系の熊楠について関心があるからで、スピリチャルな方面の熊楠にはあまり関心がない。それでも、一冊くらいはそういう方面の本も読んでおこうかということで、この本を読んだ。
正直なところ、あまりピンとこなかった。
そもそも、破天荒な人生を歩んだとされる熊楠の、頭の中を想像してあれこれいっても、そういうものなのかという気もするけど、あまり説得力がない。こねくり回せば回すほど、どんどん説得力が失われていく。ましてや、この本にも書かれていたけど、熊楠自身が「奇人」であるといわれることを楽しんでいた気配があり、どこに作為が含まれているかも知れないわけで・・・。

MOOK「南方熊楠の世界」

南方熊楠の世界
(徳間書店タウンムック:714円+税)
※古書を購入

最近、仕事の関係で、いくつかまとめて南方熊楠についての本を読んでいる。
この本はビジュアル主体のムック本なので、読む部分が少なく、情報量としてはちょっと物足りない感じ・・・。でも、ビジュアルはかなり豊富で、本のサイズも大きいので、仕事的には役に立った。
出版されたのは2012年。内容的にもほぼ最新の研究成果が盛り込まれていた。章の立て方など編集方針もわかりやすく、熊楠の入門書としては良くできていた。
ただ、典型的な熊楠像を紹介しているだけなので、他の本を読んだ後では、なにも驚きもなかった。この本が悪いわけではないけど・・・そういう意味では、いちばん最初に読むべき本だったのだろう。

BOOK「奇想天外の巨人 南方熊楠」

奇想天外の巨人
南方熊楠

荒俣宏/田中優子/中沢新一/中瀬喜陽著
(平凡社CORONA BOOKS:1,553円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
中を見ないでamazonで古書を購入したけど、写真が多めの小型MOOK本だった。このタイプの本は、資料として役に立つ場合もあるけど、今回は情報量が足りないという、良くない面が出てしまった。著者の一人が荒俣宏だから、購入前からその部分は最初から捨てて考えてはいたんだけど・・・。おまけに、内容が古いというか・・・最新の研究では否定されている逸話や風雪を誤った内容で紹介していたりする。まあ、最新の本ではないから仕方がない。
捉えどころのない南方熊楠を市松模様のようにちりばめて、訳がわからないでしょ!と放り投げているような本という印象。一部の熊楠ファンにとってはどうなのか知らないけど、資料としてはぜんぜん役に立たない本だった^^;;