BOOK「日本の空のパイオニアたち 明治・大正18年間の航空開拓史」

日本の空のパイオニアたち
明治・大正18年間の航空開拓史

荒山彰久著
(早稲田大学出版部:2,800円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
江戸時代に空を飛ぶことを夢みた浮田幸吉にはじまり、気球による飛行、日本初の動力機飛行の成功、所沢飛行場の開設、国産飛行機の開発と進化。各地で開催された航空ショー。さらには旧日本軍航空隊の設立、航空母艦「赤城」「加賀」の進水・・・。という流れで、わずか18年という短期間で航空機が発達し、民間では郵便飛行会社が設立され、軍事利用もはじまった。
バロン滋野・・・そういえば、こういう人がいたなと・・・。子どもの頃、なにかで読んで名前だけが憶えていたけど、ようやくどういう人なのかがわかった。
寺田寅彦という物理学者・・・どこにでも顔を出すけど、この分野でも出てくるとは。しかも、事故調査という面で存在感があるというのも、なんとなく寺田寅彦らしいという感じがする。
この本は大正期で終わっている。その理由はよくわからないけど、航空史的な意味で何らかの区切りがあったわけではないようだ。この後、日本の航空技術は世界のトップレベルに到達するけど、同時に軍事色が強まり、時代も戦争一色になっていく。

BOOK「ミス・ビードル、高くゆっくりとまっすぐに翔べ 太平洋無着陸横断飛行に挑戦した男たちの記録」

ミス・ビードル、高くゆっくりとまっすぐに翔べ
太平洋無着陸横断飛行に挑戦した男たちの記録

伊藤功一著
(グリーンアロー出版社:1,905円+税)
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先日、青森県三沢市にある「青森県立三沢航空科学館」を見学した。展示の目玉のひとつである「ミス・ビードル号」の復元模型。1931年、青森県三沢市の淋代海岸を離陸したクライド・パングボーンとヒュー・ハーンドンの乗ったミス・ビードル号は、アメリカ本土までの最初の太平洋無着陸飛行に成功した。その後、お礼にアメリカからデリシャス林檎の苗木が贈られ、これを元に品種改良が行われて今日のリンゴ王国青森が築かれた・・・。
大西洋無着陸横断に比べて、圧倒的に認知度が低い。当時の世相なんかもからんで、いろいろ複雑ではあるけど、基本的にはなかなか良い話なんだけどなぁ・・・。
この解説パネルを読んでいて、ふと思い出したことがある。
これって、むかし、学校で習ったことがある! 小学校時代のことのような気もするし、中学か高校での英語の教科書に載っていたような気もする・・・はっきりしない。ネットで調べても情報がない。それでこの本を読んでみたわけだけど、当然ながら、この疑問には解答が得られなかった。
それでも、巻末の「参考文献など」に、『標準国語 六年上』(教育出版株式会社)という教科書の「太平洋をわたった五つのりんご」という文章の名前があげられていた。ここでは「昭和48年」となっているけど、出版社のHPでは「昭和49年度版」にこの文章がある。時期が合わないので、この教科書をわたしが使ったことはない。

BOOK「百舌鳥古墳群をあるく 巨大古墳・全案内」

百舌鳥古墳群をあるく
巨大古墳・全案内
久世仁士著
(創元社:1,800円+税)
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わたしは北海道に生まれたため、身近なところに大和朝廷に連なる古墳がなかった。そのせいか、主に前方後円墳にあこがれがある。
5世紀頃、倭の五王という実在が明確な天皇の巨大な墳墓・・・教科書に載っている存在で、機会があれば見てみたいと、若い頃は思っていた。でも、古墳って、現地に行くとこんもりした小さな森のような感じで、見てもぜんぜん面白くないんだよなぁ^^;; 出土品がある場合は、博物館などの展示施設に置かれていて、古墳とは切り離されているし・・・。
百舌鳥古墳群は、大阪府堺市の北西部4キロ四方に広がる数多くの古墳で、かつてわたしの世代では「仁徳天皇陵」と習った「大山古墳」や、「応神天皇陵」と習った「誉田山古墳」などの巨大前方後円墳から大小様々な古墳が100基以上確認されている。ただし、この内、現存するのは44基。全長100メートルを超える前方後円墳が11基確認されていて、現存するのは9基。
この本は、古墳とはなにかというところから、百舌鳥古墳群の古墳たちの紹介、保護活動などの歴史まで、トータルに解説していて読み応えはあった。Googleアースを見ながら読んでいくと、それだけで満足してしまい、現地に行きたいという気持ちは完全に失せてしまった。

BOOK「幕末武士の京都グルメ日記 「伊庭八郎征西日記」を読む」

幕末武士の京都グルメ日記
「伊庭八郎征西日記」を読む

山村竜也著
(幻冬舎新書:780円+税)
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江戸時代の出版事情はなかなかのもので、いまのミシュランガイドのようなグルメ番付がいくつも出版されていた。しかも、江戸版、京都版、大阪版、東海道版といったエリアガイドが作られていた。それだけ外食産業が栄えていたということでもある。
そういう事情は知っていたけど、気になったのは「伊庭八郎」という人物。五稜郭で討ち死にした伊庭八郎と「グルメ」という単語が結びつかなかった。伊庭八郎は幕末の幕臣で、後に五稜郭で最期を遂げた、ということしか知らなかったわけだけど・・・。その数年前、将軍徳川家茂の京都上洛に従ったときの日記が「征西日記」。家茂の時代だから、風雲急を告げるという感じでまだ緊迫してはいなかっただろうけど、伊庭八郎、京都で食べ歩き三昧。
いま、伊庭八郎が生きていてスマホを持っていたなら、SNSでグルメ写真をアップし続けるんだろうな、戦場で自撮りしたりするんだろうななどと、おかしな想像をしてしまうけど・・・あながちあり得ない話ではないだろう。

BOOK「江戸の料理史 料理本と料理文化」

江戸の料理史
料理本と料理文化

原田信男著
(中公新書:800円+税)
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この本は江戸時代に出版された「料理本」や「飲食店本」から見えてくる食文化を紹介した本。
いま現在食べられている、いわゆる「和食」の多くが江戸時代にそのかたちが定まった。まあ、大豆醤油が生まれ普及したのが江戸時代だし、にぎり寿司もミツカン酢によるところが大きい。江戸時代の流通があってこそのことで、すべては江戸時代の経済的社会的成長によるものだと思う。そもそも、江戸時代にたくさんの「グルメ本」が出版されていたこと自体がすごいことだと思う。
江戸時代からの300年が長いのか短いのかは考え方次第。そう考えると、戦後一般化したラーメンや焼き餃子、家庭料理としてのカレーライスなんかはまだまだだという気もする。
でも、これだけはいえる。300年後の日本人は、いまのような食事はしていないだろうと。きっと、ミドリムシとか、食べているんじゃないかと・・・^^;;

BOOK「近代化遺産と「すごい」日本人」

近代化遺産と「すごい」日本人
「ニッポン再発見」倶楽部編
(知的生きかた文庫:590円+税)
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「富岡製糸場」が世界遺産に登録され、「明治日本の産業革命遺産」が続き、次はこちらもとばかりに日本各地の日本近代化遺産が色めき立っている。いままであまり日の目を見てこなかった産業遺産が注目され、保存されていく意義は認めるけど・・・中には観光地されることを望んでいるだけの声も混ざっていて、どうなんだろうと首をかしげたくなることも多い。
とはいいながら、仕事を含め、日本各地に出向いた割には、わたし自身はこうした産業史遺産をほとんど見たことがない。
この本では、そんな産業史遺産となった各地を紹介しているのかと思いきや・・・メインは人物。明治期の日本の近代化を支えた政財界人、技術者など30人あまりを紹介している。よく知られた人から、あまり知名度のない人までいろいろいるけど、30余人という枠にこの人が入るのかという疑問がわくような人もいたりする。まあ、誰とはいわないけど^^;;

BOOK「イギリス史10講」

イギリス史10講
近藤和彦著
(岩波新書:940円+税)
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シリーズというわけではないのだろうけど・・・岩波新書の「ドイツ史10講」「フランス史10講」を読んでいた流れで、イギリス史はこの本を選んだわけだけど・・・なんだこれ?という感じ。ぐちゃぐちゃした印象のヨーロッパ史にあって、イギリスは島国なので、比較的わかりやすい印象があった。にもかかわらず、この本のおかげで・・・ちょっとイギリスが嫌いになった。
イギリスの歴史以前に、日本語としてまともではない。岩波新書ともあろうものが、どうしてこの文章でこの本を出版したのか理解に苦しむ。いままでに読んだ岩波新書でトップクラスのハズレ本だった。
著者にはなにかこだわりでもあったのだろうけど、中二病のようなルビを打ち、一人で陶酔したような意味不明な描写を加え・・・肝心なことがなにも伝わってこない。とりあえず、イギリスの歴史の流れだけでもなぞっておければと、ナナメに読み飛ばして終わりにした。

BOOK「世界を駆けた博物学者 南方熊楠」

世界を駆けた博物学者 南方熊楠
(南方熊楠顕彰会:500円)

仕事の関係でいただいた冊子。和歌山県田辺市にある「南方熊楠顕彰会」がまとめたもので、顕彰会のHPからも購入できる。A5版64ページ。地方の博物館などが発行したこういう資料は現地に行かないと手に入らない。現地に行っても、タイミングが悪いと売り切れだったりする。
南方熊楠は、昨年、生誕150周年だったので、いろいろメディアでも取り上げられたし、イベントなども行われた。わたしも何冊か本を読んだし、昨年12月から開催された国立科学博物館企画展「南方熊楠-100年早かった智の人-」を見に行った。
南方熊楠顕彰会は熊楠研究の中心となる存在で、博物館というよりは研究所の性格が強いようだ。近年、その評価が変わってきている熊楠だけど、ここでの研究成果が元になっているのだろう。
この冊子は、2017年10月1日の第4刷で・・・2006年の初版以降の改版はないようだけど・・・科博の企画展での印象と異なる内容はなさそうなので、それなりに新しい研究成果も盛り込まれているのだと思う。