BOOK「ランボー詩集 世界の詩集/外国編12」

ランボー詩集
世界の詩集/外国編12

アルチュール・ランボー著
堀口大學:訳
(白凰社:480円)
※自炊本を再読(昭和51年に購入)

高校時代に友人に勧められて・・・陰でこっそり読み込んだ詩集。アルチュール・ランボーはけっこう有名な19世紀のフランスの詩人。ダダイスム、シュルレアリスムへの道を拓いたことで知られる。生き方自体が破天荒で、反社会的で自滅的ともいえる匂いがあって・・・これを読んでいた高校時代って、けっこう「中二病」だったような気がする。でも、当時のわたしは、ランボーにはまっているとか、ダダイスム、シュルレアリスムなんていう言葉を友達の前で口にしないだけの良識は持っていた。さらに一歩進んでブルトンの詩集にもちょっかいを出しているなんて、死んでも口にしなかった。
ランボーの詩集を学校の図書室で借りようとして、図書カードに友人の名前を見つけて・・・しかたなく自分で購入した。詩集なんか読むのは何十年ぶりだけど・・・人生も終盤にさしかかって、このままフェードアウトするように終わるんだろうなぁなんて思っている状況で、しかも新型コロナウイルスなんかが流行している状況で改めて読むと、ちょっと積極的に自暴自棄になれる自分を見つけて驚いた。
でも、いちばんの印象は・・・高校時代が懐かしい。

BOOK「3人がいっぱい ②」

3人がいっぱい ②
和田誠著
(新潮文庫:360円)
※自炊本を再読

『小説新潮』という文芸雑誌に連載されていたコラムをまとめた本の2巻目。昭和51年から54年にかけて連載されたコラムを収録している。
毎号3人の作家や俳優、芸能人などを取り上げているから『3人がいっぱい』なわけだけど、プロスポーツ選手など取り上げられる人物の枠が広がっていた感じ。ピンクレディが登場するあたりは、時代を感じさせる。
世代的に懐かしい名前、そんな人もいたなと思い出す名前は多いけど、幅広いジャンルから選ばれているので、ぜんぜん記憶にない人もいる。2巻合わせて、42人の選者が選んだ84組252人。何年もかけてコツコツ続けるとこうなるわけだ。
和田誠も昨年ついに鬼籍に入ってしまった。(合掌)

BOOK「3人がいっぱい ①」

3人がいっぱい ①
和田誠著
(新潮文庫:360円)
※自炊本を再読

昨年のことだけど、むかし読んだ本の表紙でなじみ深かった和田誠が亡くなったというニュースに接したとき、ひとつの時代が終わってしまったなと感じた。いまでこそ小説やエッセイはほとんど読まなくなったけど、若かりし頃はその手の本ばかり読んでいた。つかこうへいの本を最後に、和田誠の表紙とも出会う機会がなくなってしまったけれど・・・。
これは、『小説新潮』という文芸雑誌に連載されていたコラムをまとめた本。
毎号選者が3人の作家や俳優、文化人などをとりあげ、和田誠のイラストと簡単な質問への回答、選者のエッセイがついたりと、時期により内容は異なっている。
昭和48年から51年にかけてのコラムを収録しているので、懐かしい名前がたくさん並んでいるけど・・・すでに鬼籍に入られた人も多い。名前を見るだけでとにかく懐かしかった。

BOOK「秀吉と利休」

秀吉と利休
野上彌生子著
(中公文庫:300円)
※自炊本を再読(昭和50年に購入)

野上彌生子は明治18年生まれの作家で、『ホトトギス』で文壇デビューした、わたしにとっては半分歴史上の作家。この『秀吉と利休』は、1964(昭和39)年に中央公論社から出版され、第3回女流文学賞を授賞した。
千利休を描いた小説として、高校時代にはじめて読んだけど・・・その歴史観・価値観はいま現在に至る紋切り型のもの。いわば、その総集編とでもいうべき内容だった。つまり、利休は「わびさび」であるのに対して秀吉は「華美」。利休は茶道的に高尚で天才であるけど、秀吉は凡才で俗人的。利休は精神的に成熟しているけど、秀吉は稚拙で独善的・・・。利休を絶対視して、対比として秀吉をとにかく貶める価値観で書かれている。高校時代は無批判に読んだので、そういうものなのだろうと素直に信じてしまった。
最新の研究では、利休や秀吉の茶道に関する見方も変化してきてはいるけど、まだまだこの価値観が一般的。この小説も古典的なものとして割り切れば、いまでも面白く読めた。

BOOK「スローカーブをもう一球」

スローカーブをもう一球
山際淳司著
(角川書店:990円)
※自炊本を再読・昭和56年に購入

子供の頃から本はよく読んだけど・・・スポーツには関心がなかった。するのも、見るのも。そんな中、学生時代にはじめて読んだスポーツものノンフィクションがこの本だった。
高校野球をテーマにした『スローカーブをもう一球』、プロ野球の江夏豊に取材した『江夏の21球』、大学生が無謀にもオリンピックを目指す『たった一人のオリンピック』などが収録されている。いま読み返しても、この本はスポーツノンフィクションの面白さを教えてくれた名著だと納得できる。
著者とは何度か仕事をしたことがあるし、まだドームになる前の後楽園球場に一緒に巨人戦を見に行ったこともある。・・・読みながら、そんな思い出もよみがえってきたりして・・・働き盛りに夭折してしまったこと、改めてこころの底から残念だと思う(合掌)

BOOK「項羽と劉邦(下)」

項羽と劉邦(下)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:688円)
※Kindle版を購入

劉邦は奇策を用い、滎陽城から身ひとつで脱出、関中に逃げ込んだ。ここからの巻き返し・・・のはずが、またも敗走。劉邦は負けてばかりいる。一方の項羽はただの戦バカ。チートな戦闘能力でもあるかのように勝ち進むけど、いつも劉邦を取り逃がしてばかりいる。それに対して劉邦の将・韓信は強い。第三勢力に独立しそうな勢い。・・・ここにきて、どいつもこいつも色気づきやがって。項羽がロリコンの鬼畜じゃなくてホッとした。
この巻の前半は韓信、中盤は広武山で劉邦と項羽が対峙し、劉邦にとってはどん底の状況。終盤は固陵城からの反撃。垓下での「四面楚歌」と項羽の最後。絶対強者でありながら勝ちきれなかった項羽に対して、最後まで御輿の上に乗り続けた劉邦が勝ち残った。
この小説にはたくさんの登場人物が登場する。多くの読者は、自分自身がどの人物に似ているかを探すようだけど・・・どんな下っ端の人物も、わたしは当てはまりそうもない。描かれることもなく死んでいった数十万のモブの一人なんだろう。

BOOK「項羽と劉邦(中)」

項羽と劉邦(中)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:688円)
※Kindle版を購入

楚の懐王が家臣と交わした約束は、「いち早く関中に入った者を関中王とする」。主力の項羽、別働隊の劉邦が競って咸陽を目指す・・・。
関中を制したのは劉邦。秦王子嬰が降伏し、劉邦の進軍は終わった。そして、遅れてきた項羽と相まみえる「鴻門の会」。高校時代に漢文で習った有名なシーン。授業中に読んだそれは、緊張感溢れる簡潔な表現であったけど・・・ここではその緊張感が余り感じられなかった。
項羽は、咸陽に火をかけ、秦王子嬰の首を刎ね、事実上の天下を取った。劉邦は漢王に任じられ、一時、僻地の巴蜀・漢中に下ったが、すぐに関中を奪還、東進を開始。項羽の都・彭城を落とすが大敗。壊滅して滎陽城に逃げ込んでの籠城戦にも敗れ、滎陽から脱出する。ここに至っても劉邦は負け続けているし・・・ダメ人間ぶりも変わらない。
・・・夏侯嬰の嫁・嫺嫺、この時代からツンデレっていたんだな^^;