BOOK「わたし琵琶湖の漁師です」

わたし琵琶湖の漁師です
戸田直弘著
(光文社新書:680円+税)
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琵琶湖は日本一面積の広い湖で、内水湖では唯一の漁業組合がある。それだけ、産業として漁業が大きな一を占めているのだろう。著者の戸田氏は琵琶湖の漁師として活躍される傍ら、琵琶湖の生態系を考え、改善していくための活動もされている。水質汚染、護岸工事による破壊、外来種、鵜、漁協の老齢化・営利追求体質、伝統的漁法の喪失など、危惧すべき問題は多い。
特に後半では、バスやブルーギルといった外来魚を放流し、釣ったサカナはそのままリリースしてしまう、いわゆる「スポーツ」「遊び」としての釣りとの対立が描かれている。
これは、あくまでわたしの個人的見解だけど、外来魚を放流した人間は死刑、それを釣って楽しむ人間は、放流された外来生物を絶滅させるまで強制労働を課すべきだと思っている。それだけ、取り返しの付かないことをやったのだと自覚させる上でも、厳罰に処すべきだ。

BOOK「なぜかいい町 一泊旅行」

なぜかいい町 一泊旅行
池内紀著
(光文社新書:700円+税)
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この本では、北海道の斜里町・川上町・岩内町、山形県金山町、福島県三春町、千葉県大多喜町、愛知県渥美町、富山県朝日町、滋賀県木之本町、鳥取県岩見町、山口県上関町、島根県津和野町、高知県佐川町、福岡県星野村、熊本県湯前町の15町村が紹介されている。正直いって、知名度も低く、とくに何があるんだろうという町ばかりという印象。最近行ったことのある町はひとつもない。近くまで行ったことならいくつかある。
著者は、平成の大合併で激変する地方都市に着目し、自立した生き方を目指す町々を応援したいと思ってこの本を書いたらしい。でも、高齢化と少子化、東京と一部の地方大都市への一極集中といった現実は、そんなささやかな町々のがんばりもあっさり消し去ってしまいそうな勢いだ。
タイトルに「一泊旅行」とわざわざ断っているので、なにか切り口があるのだろうと期待したけど、読んだ限りなにもなかった。残念ながら、行ってみたいと思った町は・・・ひとつしかなかった。どことはいわないけど。

BOOK「健康という病」

健康という病
五木寛之著
(幻冬舎新書:760円+税)
※古書を購入

古本屋で見かけたとき、「どうして五木寛之がこんな本を書くんだろう?」という疑問がわいた。なにか、大病でも患ったのかと、読んでみることにした。
内容は、世に氾濫する健康情報(言いかえると不健康情報)に振り回される人への警鐘というか、批判というか・・・ありふれたエッセイではあるけど、五木寛之の人生観や生死感なんかが垣間見られ、共感できるところもあった。
わたしは幼い頃からいろいろな病気と共存してきたけど、いわゆる身体に良いことはなにもしていない。そんなわたしに、健康オタクの友人がサプリメントなどを勧めてくることがあるけど・・・あまりの気持ちの悪さに、明確に断るようにしている。はっきりいって、放って置いて欲しい。
五木寛之がこの本を書いた理由・・・デタラメな健康情報が氾濫していて、それを不快に思っているからに違いない。確かに、ネットには無茶苦茶な健康情報と商品があふれている。先日も、「STAP細胞は身体を若返らせる」といって、得体の知れないSTAP細胞なるものを売っているサイトがあった。これを信じて買うヤツがいるのか、飲んでるヤツの顔を見てみたいものだと、こころの中で大笑いした。笑いは免疫力を高め、健康に良いそうだ^^

BOOK「コンビニ外国人」

コンビニ外国人
芹澤健介著
(新潮新書:amazon:759円)
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30年ほど前、福島県の山の中にある某温泉宿に泊まったら、従業員の大半が外国人だったので驚いたことがあった。旅館の裏に寮があり、共同で暮らして仕事をしていると言うことだった。以来、身近なところで外国人が増えた。居酒屋の店員、スーパーの店員、そしてコンビニの店員などなど・・・。
この本によると、現在、大手コンビニで働く外国人店員は4万人超。20人に1人の割合だという。
わたしの生活圏にあるコンビニには2タイプあって、日本人のジジババばかりのお店と、外国人店員ばかりのお店。地域性なのか、店長の好みなのかはわからない。
この本は、コンビニで働く外国人の姿を描くルポだけど・・・本来、日本は「移民不可」の政策をとっているはずだけど、世界第5位の「外国人労働者流入国」で、知らない間に移民大国になっていた。
わたしは外国人労働者がいけないとは思わないし、管理された制度化での移民は受け入れざるを得ないと思っている。でも、日本って・・・政治レベルでも国民レベルでも・・・一度も移民政策に関してどうしていくべきかをまともに議論したことがないんじゃないだろうか? こんななし崩し的に移民大国になって、将来大丈夫なのかと心配だ。

BOOK「STAP細胞はなぜ潰されたのか 小保方晴子『あの日』の真実」

STAP細胞はなぜ潰されたのか
小保方晴子『あの日』の真実

渋谷一郎著
(ビジネス社:1,400円+税)
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古本屋の店頭の処分品ワゴンに入っていたので、つい買ってしまった。それでも432円もした・・・。
「STAP細胞」の騒動があったのは2014年、その翌々年に書かれた本で、STAP細胞/小保方晴子さん擁護の視点から書かれている。しかし残念ながら、4年が過ぎても結局、STAP細胞の存在は証明されていない。
この本に書かれていることで、頷ける部分もある。マスコミによる報道にデタラメが多く、バッシングが酷すぎたこと。ワイドショーなどで、いわゆる「識者」といわれる人たちが想像だけで発言して、悪者を作りだしてしまった感じがする。でも、この本は小保方さんを持ち上げすぎではないか。この騒動の根本は、小保方さんが自身の研究者としての見識と実力を反証できなかったという問題なんだから。
さらに、共同研究者間で十分な検証もないまま、論文発表にまで進んでしまった理研の体制にも問題もあるのではないか? 理研第三代所長・大河内正敏が導入した「主任研究員制度」は、これまで数多くの実績を上げてきた。「科学者の楽園」の金科玉条として、いまだに理研が守り続けている制度ではあるけど、内部チェックが機能しづらい面もあるのではないだろうか?

BOOK「古典部シリーズ 7 米澤穂信と古典部」

古典部シリーズ 7
米澤穂信と古典部

米澤穂信著
(角川書店:amazon:1,069円)
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大半が対談とインタビューで、短編が一編だけ収録されているだけなのは分かっていたけど・・・前の第6巻『いまさら翼といわれても』があんな終わり方をしたので、続きがどうにも気になった。わたし、気になります状態で・・・単行本からのKindle版なので値段が高いけど・・・もう、買うしかなかった。
ところが、そのKindle版が最悪! 全ページが一枚のグラフィックス状態。表示部の小さなKindle Paperwhiteではまともに読める代物ではなかった。しかたがなく、PCでお行儀よく読むしかなかった。
しかも、残念なことに、唯一の書き下ろし短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」は期待していた続きのお話ではなく、小ネタの短編の続きだった。小学校時代の作文や中学時代の読書感想文が出てきて羞恥に震えるなんていうことは、滅多にないことだけど・・・これだけは言える。人生長ければ、恥また多し。わたしは、高校時代にミニコミ誌を主幹していたんだよなぁ・・・残っていて欲しくないなぁ^^;
企画ものとして、「古典部メンバー4人の本棚大公開」は面白かった。若いうちは、社会での実体験がないから、その人間に影響を与えるのは地域と学校、そして家庭環境が主なもの。同級生であれば地域と学校には差がないから、その友人が読んだ本が分かれば、個性なりを理解する助けになる。だから、わたしは高校の頃、友だちに本棚を見られるのがイヤだったし、逆に友だちの部屋に行ったときには真っ先に本棚をチェックしていた。・・・でも、世の中の大半の人は、「本をほとんど読まない人」なんだけど^^;;
わたしは、基本的に作家が何をどう考えているかとか、どういう人物なのかとかにはあまり興味がない。だから、わずかな短編を読むために、こういう本を買わされるのは、ちょっと気にくわない部分がある。

BOOK「どくとるマンボウ航海記」

どくとるマンボウ航海記
北杜夫著
(新潮文庫:460円+税)
※古書を購入

古本屋で見つけて、あまりの懐かしさに思わず手が伸びてしまった。けっこう新しい版でカバーも新しい。いまでも文庫本として売られているとは思わなかった。
この本を最初に読んだのが中学の時だったか高校の時だったかは憶えていないけど、このシリーズはすべて読んでいた。中でもこの『航海記』がいちばん面白かったという記憶がある。観光旅行で海外に行くのではなく、船医として船で海外の港を渡り歩くというのが新鮮だったし、客船ではなく水産庁の漁業調査船というのも、ふつうの船旅ではなく面白い要素だった。
ただ、40年ぶりくらいに読み返してみて・・・自分が年をとってしまい、情報過多というか、いまではさほど珍しい読み物という感じでもなくなってしまったのは、ちょっとさびしい限り。もちろん、最初に読んだときは、海外旅行を経験する前のことだから、自分も海外に行ってみたいという憧れもあっただろうし・・・。こういう本の影響があったのか、初の海外旅行を含めてちょっと特殊というか、ふつうのパック旅行などで海外に行ったことはほとんどないけど・・・。そういえば、海外ではけっこう鉄道には乗ったけど、船にはあまり乗っていないな・・・。

BOOK「古代インドの神秘思想 初期ウパニシャッドの世界」

古代インドの神秘思想
初期ウパニシャッドの世界

服部正明著
(講談社現代新書:420円)

昭和59年に購入して読んだ本。自炊したPDFを読み返した。・・・昭和59年というと、社会人になって数年後のことで、こんな本を読んだことがあったことすらずっと忘れていた。
でも、いまから10年ほど前にこんなことがあった。客先に打ち合わせに行き、新しい担当者ですと若手のOLさんを紹介された。その子が、某大学の哲学科でインド哲学を専攻していたと自己紹介したので、ついなにげなく「リグ・ベーダとか・・・ヴラフマンとか・・・ですか?」などと口走ってしまった。正直なところ、インド哲学を専攻していた人に初めて会ったので、そう言ったら、「わたしも、一般の人が素でこういう単語を口にするのを初めて見ました」と返された。そうか、一般人か・・・と思ったことがある。まあ、こういう出来事があったのは、たぶん、この本を読んでいたからだと思う。
さて、読み直してみて、ブラフマン=アートマンなのだとかいわれても・・・やっぱり、ピンとはこなかった。そもそも、たぶん、30年前に読んだときにも、ピンときてはいなかったのだと思う。
哲学、あるいは思想というカテゴリーに分けたいところだけど、そういうカテゴリーを設けていないので、やむなく「古典」に分類して置いた。