BOOK「項羽と劉邦(下)」

項羽と劉邦(下)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:688円)
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劉邦は奇策を用い、滎陽城から身ひとつで脱出、関中に逃げ込んだ。ここからの巻き返し・・・のはずが、またも敗走。劉邦は負けてばかりいる。一方の項羽はただの戦バカ。チートな戦闘能力でもあるかのように勝ち進むけど、いつも劉邦を取り逃がしてばかりいる。それに対して劉邦の将・韓信は強い。第三勢力に独立しそうな勢い。・・・ここにきて、どいつもこいつも色気づきやがって。項羽がロリコンの鬼畜じゃなくてホッとした。
この巻の前半は韓信、中盤は広武山で劉邦と項羽が対峙し、劉邦にとってはどん底の状況。終盤は固陵城からの反撃。垓下での「四面楚歌」と項羽の最後。絶対強者でありながら勝ちきれなかった項羽に対して、最後まで御輿の上に乗り続けた劉邦が勝ち残った。
この小説にはたくさんの登場人物が登場する。多くの読者は、自分自身がどの人物に似ているかを探すようだけど・・・どんな下っ端の人物も、わたしは当てはまりそうもない。描かれることもなく死んでいった数十万のモブの一人なんだろう。

BOOK「項羽と劉邦(中)」

項羽と劉邦(中)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:688円)
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楚の懐王が家臣と交わした約束は、「いち早く関中に入った者を関中王とする」。主力の項羽、別働隊の劉邦が競って咸陽を目指す・・・。
関中を制したのは劉邦。秦王子嬰が降伏し、劉邦の進軍は終わった。そして、遅れてきた項羽と相まみえる「鴻門の会」。高校時代に漢文で習った有名なシーン。授業中に読んだそれは、緊張感溢れる簡潔な表現であったけど・・・ここではその緊張感が余り感じられなかった。
項羽は、咸陽に火をかけ、秦王子嬰の首を刎ね、事実上の天下を取った。劉邦は漢王に任じられ、一時、僻地の巴蜀・漢中に下ったが、すぐに関中を奪還、東進を開始。項羽の都・彭城を落とすが大敗。壊滅して滎陽城に逃げ込んでの籠城戦にも敗れ、滎陽から脱出する。ここに至っても劉邦は負け続けているし・・・ダメ人間ぶりも変わらない。
・・・夏侯嬰の嫁・嫺嫺、この時代からツンデレっていたんだな^^;

BOOK「項羽と劉邦(上)」

項羽と劉邦(上)
司馬遼太郎著
(文春文庫:amazon:729円)
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何十年も前、文庫本になってすぐに読んだことがある。数年前から、そのうち読み返そうと思いながら、たまたま手頃な古本に出会わなかった。Amazonで古本を買おうかと思ったけど、読みやすさを考えてKindle版にした。
西安と兵馬俑、始皇帝陵には行ったことがあるし、項羽の叔父・項梁が蜂起した蘇州にも行った。江蘇省の南京はともかく、劉邦の故郷・沛地方まではさすがに行ったことがない。中国の地理関係には多少馴染んでいるつもりだけど、念のため最初は巻頭の地図とGoogleマップを見ながら読み進めた。
まずは、項羽と劉邦が倒すべき当面の敵である、秦の始皇帝の姿を描くところから。キモは、だれもが皇帝になり得るという価値観を作ったのが始皇帝自身だということ。項羽の叔父・項梁が蜂起。沛県ではチンピラから亭長になった劉邦が蜂起した。
この巻は、亡楚の軍として、項羽と劉邦が共に戦っていた時期。項羽は別働隊として咸陽に向け進軍。項羽は、趙王の援軍として鉅鹿城で秦軍に勝利した。秦の章邯将軍を配下に加えたが・・・兵20万人を大虐殺したところまで。当時の20万人って、いまでいうとどのくらいの感覚だろうか?

BOOK「香りの世界をさぐる」

香りの世界をさぐる
中村祥二著
(朝日選書:1,029円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
資生堂の製品研究所香料研究部長を勤めていた著者の本なので、天然の香料から人工香料まで「フレグランス」について解説している。食品に使われる「フレーバー」には触れていないけど、においの文化的側面も広く解説している。
エッセイ的な文章ながら、読んでいて化学のかおりがしてくるので、それなりに難解な部分も多い。こういう、サラッと読ませようとする文章は、資料として読むときには要注意。エッセイだと思って読み流してしまうと、肝心な部分を読み飛ばしてしまう。
個人的には、「ノート」に関する部分が興味を引いた。日本の香道が和歌や漢詩などにイメージを遊ばせるのに対し・・・西洋の科学的なアプローチとの違いを感じさせられた。

BOOK「わたし琵琶湖の漁師です」

わたし琵琶湖の漁師です
戸田直弘著
(光文社新書:680円+税)
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琵琶湖は日本一面積の広い湖で、内水湖では唯一の漁業組合がある。それだけ、産業として漁業が大きな一を占めているのだろう。著者の戸田氏は琵琶湖の漁師として活躍される傍ら、琵琶湖の生態系を考え、改善していくための活動もされている。水質汚染、護岸工事による破壊、外来種、鵜、漁協の老齢化・営利追求体質、伝統的漁法の喪失など、危惧すべき問題は多い。
特に後半では、バスやブルーギルといった外来魚を放流し、釣ったサカナはそのままリリースしてしまう、いわゆる「スポーツ」「遊び」としての釣りとの対立が描かれている。
これは、あくまでわたしの個人的見解だけど、外来魚を放流した人間は死刑、それを釣って楽しむ人間は、放流された外来生物を絶滅させるまで強制労働を課すべきだと思っている。それだけ、取り返しの付かないことをやったのだと自覚させる上でも、厳罰に処すべきだ。

BOOK「なぜかいい町 一泊旅行」

なぜかいい町 一泊旅行
池内紀著
(光文社新書:700円+税)
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この本では、北海道の斜里町・川上町・岩内町、山形県金山町、福島県三春町、千葉県大多喜町、愛知県渥美町、富山県朝日町、滋賀県木之本町、鳥取県岩見町、山口県上関町、島根県津和野町、高知県佐川町、福岡県星野村、熊本県湯前町の15町村が紹介されている。正直いって、知名度も低く、とくに何があるんだろうという町ばかりという印象。最近行ったことのある町はひとつもない。近くまで行ったことならいくつかある。
著者は、平成の大合併で激変する地方都市に着目し、自立した生き方を目指す町々を応援したいと思ってこの本を書いたらしい。でも、高齢化と少子化、東京と一部の地方大都市への一極集中といった現実は、そんなささやかな町々のがんばりもあっさり消し去ってしまいそうな勢いだ。
タイトルに「一泊旅行」とわざわざ断っているので、なにか切り口があるのだろうと期待したけど、読んだ限りなにもなかった。残念ながら、行ってみたいと思った町は・・・ひとつしかなかった。どことはいわないけど。

BOOK「健康という病」

健康という病
五木寛之著
(幻冬舎新書:760円+税)
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古本屋で見かけたとき、「どうして五木寛之がこんな本を書くんだろう?」という疑問がわいた。なにか、大病でも患ったのかと、読んでみることにした。
内容は、世に氾濫する健康情報(言いかえると不健康情報)に振り回される人への警鐘というか、批判というか・・・ありふれたエッセイではあるけど、五木寛之の人生観や生死感なんかが垣間見られ、共感できるところもあった。
わたしは幼い頃からいろいろな病気と共存してきたけど、いわゆる身体に良いことはなにもしていない。そんなわたしに、健康オタクの友人がサプリメントなどを勧めてくることがあるけど・・・あまりの気持ちの悪さに、明確に断るようにしている。はっきりいって、放って置いて欲しい。
五木寛之がこの本を書いた理由・・・デタラメな健康情報が氾濫していて、それを不快に思っているからに違いない。確かに、ネットには無茶苦茶な健康情報と商品があふれている。先日も、「STAP細胞は身体を若返らせる」といって、得体の知れないSTAP細胞なるものを売っているサイトがあった。これを信じて買うヤツがいるのか、飲んでるヤツの顔を見てみたいものだと、こころの中で大笑いした。笑いは免疫力を高め、健康に良いそうだ^^