BOOK「新薬に挑んだ日本人科学者たち 世界の患者を救った創薬の物語」

新薬に挑んだ日本人科学者たち
世界の患者を救った創薬の物語

塚崎朝子著
(講談社ブルーバックス:900円+税)
※古書を購入

本庶佑先生がノーベル賞を受賞すると発表されたとき、すぐに著書を探したら・・・関連しそうな書籍に上がっていたので、その内読もうと購入しておいた。著者の塚崎朝子の『世界を救った日本の薬 画期的新薬はいかにして生まれたのか?』は、読みやすい本だったし。この本の方が、少し難解で読みにくい。
わたしは人生を通して不健康な生活を続け、中年になって以降は文字通りに不健康な身体になった。だから、毎日たくさんクスリを飲んでいて、この本で紹介されているようなクスリも飲んでいる。深々と感謝!^^; その内、実際に飲んでいるクスリが、ここで紹介されているものか調べてみようと思う。この辺、薬品名と製品名が異なるので、ちょっと面倒くさいけど、ちゃんと公表されているからすぐにわかるはず。
創薬の分野では、日本の存在感が薄く、製薬メーカーも欧米に押されているという印象を持っていた。事実その通りなんだけど、日本の研究者もたくさん活躍していて、最近は大村智先生、本庶佑先生と続けてノーベル医学生理学賞を受賞するなどして、嬉しい限りだ。

BOOK「現代免疫物語beyond 免疫が挑むがんと難病」

現代免疫物語beyond
免疫が挑むがんと難病

岸本忠三/中嶋彰著
(講談社ブルーバックス:1,080円+税)

本庶佑先生がノーベル賞を受賞すると発表されたとき、すぐに購入した。大阪大学の先生とジャーナリストが書いた本で、タイトルからして、がんの免疫療法に関しての本だとわかるけど、第4章「免疫チェックポイント分子の物語」に本庶佑先生の研究が紹介されている。
印象的だったのは・・・「オプジーボ」の欧米で行われていた臨床試験の途中で、第三者委員会から臨床試験の中止が勧告されたこと。二重盲検法・・・新薬が与えられた半数の内70%が助かり、残りの半数はバタバタと死んでいくのは、あまりにも非人道的だと。なるほど、すごい逸話ではあるけど・・・「オプジーボ」が日本で承認されたのは2014年7月、アメリカはその約半年後に承認したわけだけど・・・日本では二重盲検法による臨床試験が最後まで行われた(?)んだろうな・・・この本には何も書いていないけど・・・。

BOOK「ゲノムが語る生命像 現代人のための最新・生命科学入門」

ゲノムが語る生命像
現代人のための最新・生命科学入門

本庶佑著
(講談社ブルーバックス:940円+税)

今年、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶先生の著書。受賞のニュースで見て、その10分後にamazonで注文したけど、早くも在庫切れで、手元に届いたのは10月20日だった。
特にノーベル賞を受賞した研究について解説した本ではなく、分子細胞遺伝学、ゲノム工学、生命科学全般をゲノムの視点から解説している。
今回のノーベル賞につながる免疫やガンに関する記述もあるけど、かなり基本的な内容。がんの免疫療法については「抗PD-1抗体によるガン治療の仕組み」という図を載せ、ものすごくあっさりと解説されているだけだった。
2013年に出た本なので(これは第5刷)、免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブ)が薬事承認される直前の段階。日本とアメリカで良好な治験結果が出ているから、やがて承認されるだろうとしか書かれていない。でも「やがて多くのガン患者に福音をもたらす」と、自信があったことはうかがえた。

BOOK「世界を救った日本の薬 画期的新薬はいかにして生まれたのか?」

世界を救った日本の薬
画期的新薬はいかにして生まれたのか?

塚崎朝子著
(講談社ブルーバックス:1,080円+税)

今年、ノーベル医学生理学賞を受賞が決まった本庶祐・京都大学特別教授、2015年受賞の大村智・北里大学特別栄誉教授をはじめ、15人の日本人研究者とその成果を紹介している。専門用語をそのまま使用しているので、レベル的にはそれなりに基礎教養のある人向けの本で、一般の人は理解しづらいかも知れない。
日本の医学・生理学研究のレベルの高さを示す本だけど・・・本庶先生のインタビューに、厳しい研究環境と産業構造の問題点が垣間見える。日本人ノーベル賞受賞者がみんな必ず言うことだけど・・・もっと基礎研究に資金を回して欲しいというのがひとつ。本庶先生だから言える厳しい言葉・・・日本の製薬会社は多すぎる。5社にしぼって、資本力を高め、基礎研究の成果を創薬に結びつけられるように。厚労省が薬価を決めて、護送船団方式で競争せずに製薬会社を守っている現状への批判は、本庶先生クラスじゃないと言えないだろうし・・・第三者であるジャーナリストがまとめた本だからこそ公に出来ることなのかも知れない。

BOOK「睡眠負債 ちょっと寝不足”が命を縮める」

睡眠負債
“ちょっと寝不足”が命を縮める

NHKスペシャル取材班著
(朝日新書:amazon:648円)
※Kindle版を購入

わずかな睡眠不足が積み重なり、「睡眠負債」として蓄積され、重大な病気を発症するリスクを高めるのだとか。そんな内容のNHKスペシャルの番組内容をまとめた本。テレビの番組そのものは見ていない。
仕事柄、不規則な生活を長いこと続けてきた。そして、いつからだったかも憶えていないくらい昔に睡眠障害となり、睡眠導入剤が欠かせなくなってしまった。睡眠導入剤なしで眠れるときは、前の晩が徹夜だったり、極度に睡眠不足だったりしたときだけ。人生を通して、長い目で見ればかなりの「睡眠負債」を抱えていると思う。だから、いまさらこんなことを言われても・・・今夜眠って、二度と目が覚めなかったとしても、負債を完済したとはいえないんじゃないかという気がしてくる^^;;
なんにせよ、一日7時間睡眠。毎日欠かさずとはいかないだろうけど、今の生活状況なら守れそうな気がする・・・。少なくとも、気にはかけておこうと思う。

BOOK「ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃」

ゲノム編集とは何か
「DNAのメス」クリスパーの衝撃

小林雅一著
(講談社現代新書:800円+税)
※古書を購入

最近、よく耳にするようになった「ゲノム編集」・・・ゲノムを自在に切り、つなぎ直し、生命をデザインする技術。その切り貼りをするためのハサミが「クリスパーCAS9」だけど、それがどういうもので、どのように発見されたかといった周辺情報を丁寧に説明しているんだけど・・・ただ、学術的なメカニズムについてはあっさりした内容で、期待していた情報はなかった。その分、読みやすいわけだけど。
むしろこの本のメインは、社会的、経済的な影響に関することで・・・GoogleやAmazonはすでに「生命科学とITの融合」に取り組み、ゲノムデータをクラウド上に集積、AIでパターン解析しはじめている。やがて複雑な病気の原因遺伝子や発症メカニズムを解明するだろうと・・・独バイエルに買収された米モンサント社・・・遺伝子操作作物の種子や種芋などの大手企業だけど、ゲノム編集を農業にいち早く取り入れようとしているといった、事例を紹介している。
そして、「デザイナー・ベビー」といったゲノム編集の倫理的危険性などについても解説しているけど・・・2016年に出た本だし、特にこれといった目新しい内容ではなかった。

BOOK「国立科学博物館 特別展 人体 神秘への挑戦」図録

先日見た国立科学博物館の特別展「人体 神秘への挑戦」の図録。価格:2300円(税込)。184ページ。
当初は購入する予定はなかったのだけど、会場があまりにも混雑して、展示をじっくり見ることができなかったので・・・結局、購入することにした。平日とはいえ、ジャイアントパンダのシャンシャンがいて、桜が満開で、学校が春休みのタイミングで行ったのが間違いで、まあ仕方がない。
人体に対する科学的アプローチの歴史、人体の各部位・機能を展示の章立て順に解説している。展示で見落とした文献なんかを確認するのには役に立った。
でも、ちょっと物足りない点もある。NHKスペシャル「人体~神秘の巨大ネットワーク~」と連携した特別展なので、会場には番組で放送されたCG映像などいくつもの映像展示があった。それら映像展示がこの図録にはぜんぜん取り上げられていない。著作権とか、映像が完成するタイミングと印刷のタイミングとか、いろいろ理由があるのだろうけど・・・。まあ、番組はすべて録画してあるしな。
展示物は基本的にみな取り上げられているので、人混みの中、しっかり見ることができなかったものを確認することはできた。解説パネルの内容がすべて掲載されているわけではないだろうけど、読み応えもあった。

BOOK「衣類から衣料へ -シルクで創る人工血管-」

衣類から衣料へ
シルクで創る人工血管
(東京農工大学科学博物館)

仕事の資料として読んだ小冊子。
明治時代に養蚕の専門機関として設立され、幾度かの組織替えをし、戦後、東京農工大学となった。その当初は、専門の養蚕を中心に繊維機械などをくわえて「繊維学部」であったが、現在はより最先端の幅広い教育・研究を行うべく工学部へと発展している。そうした中から、実用化を目前に研究されているのが「人工血管」。シルクで組紐のように編んだ管を再生医療の現場で役立てようという最新の技術。シルクは人体との親和性が高く、負担なく人体に馴染む。さらに、時間の経過と共に体内で分解され、本来の血管細胞と置き換わっていくという。
安全性が確認され、実用化されれば、狭窄のある血管などを置き換えたり、いろいろ助かる人も出てくることだろう。
日本中の大学に、こういう研究成果が数え切れないくらいあるのだろうけど、こういう形で目にすることは少ない。最近、国の予算から研究費が削られているという話を聞くけど、こういう形であろうと何であろうと、もっともっと外部にPRする必要があるんじゃないだろうか。じゃないと、宇宙開発とiPS細胞にみんな予算を取られてしまいそうだ。