BOOK「国立科学博物館 特別展 人体 神秘への挑戦」図録

先日見た国立科学博物館の特別展「人体 神秘への挑戦」の図録。価格:2300円(税込)。184ページ。
当初は購入する予定はなかったのだけど、会場があまりにも混雑して、展示をじっくり見ることができなかったので・・・結局、購入することにした。平日とはいえ、ジャイアントパンダのシャンシャンがいて、桜が満開で、学校が春休みのタイミングで行ったのが間違いで、まあ仕方がない。
人体に対する科学的アプローチの歴史、人体の各部位・機能を展示の章立て順に解説している。展示で見落とした文献なんかを確認するのには役に立った。
でも、ちょっと物足りない点もある。NHKスペシャル「人体~神秘の巨大ネットワーク~」と連携した特別展なので、会場には番組で放送されたCG映像などいくつもの映像展示があった。それら映像展示がこの図録にはぜんぜん取り上げられていない。著作権とか、映像が完成するタイミングと印刷のタイミングとか、いろいろ理由があるのだろうけど・・・。まあ、番組はすべて録画してあるしな。
展示物は基本的にみな取り上げられているので、人混みの中、しっかり見ることができなかったものを確認することはできた。解説パネルの内容がすべて掲載されているわけではないだろうけど、読み応えもあった。

BOOK「衣類から衣料へ -シルクで創る人工血管-」

衣類から衣料へ
シルクで創る人工血管
(東京農工大学科学博物館)

仕事の資料として読んだ小冊子。
明治時代に養蚕の専門機関として設立され、幾度かの組織替えをし、戦後、東京農工大学となった。その当初は、専門の養蚕を中心に繊維機械などをくわえて「繊維学部」であったが、現在はより最先端の幅広い教育・研究を行うべく工学部へと発展している。そうした中から、実用化を目前に研究されているのが「人工血管」。シルクで組紐のように編んだ管を再生医療の現場で役立てようという最新の技術。シルクは人体との親和性が高く、負担なく人体に馴染む。さらに、時間の経過と共に体内で分解され、本来の血管細胞と置き換わっていくという。
安全性が確認され、実用化されれば、狭窄のある血管などを置き換えたり、いろいろ助かる人も出てくることだろう。
日本中の大学に、こういう研究成果が数え切れないくらいあるのだろうけど、こういう形で目にすることは少ない。最近、国の予算から研究費が削られているという話を聞くけど、こういう形であろうと何であろうと、もっともっと外部にPRする必要があるんじゃないだろうか。じゃないと、宇宙開発とiPS細胞にみんな予算を取られてしまいそうだ。

BOOK「自分の「うつ」を治した精神科医の方法 薬に頼らず、心身ともに元気を取り戻すために――」

自分の「うつ」を治した精神科医の方法
心身ともに元気を取り戻すために――

宮島賢也著
(KAWADE夢新書:amazon:760円)
※Kindle版を購入

医師である著者が自らの「うつ」脱出体験を元に書いた本。先日読んだマンガ「うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち」で紹介されていた本で、基本的なエッセンスは同じだった。ただ、こちらの本は、目次構成が非常に細かく、自分に照らし合わせて考えやすいものになっている。ある意味では、自分がうつになりやすい体質なのか、あるいは自分のうつの原因がなんなのかを考える上でのチェック項目が並んでいるかのようだ。実体験から書かれた本だという以外にも、これが意外に説得力を高めているように思う。
もちろん、細かな項目がすべて一般化できるものか納得しづらい点もあるけど、なるほどと感じさせる項目は多かった。ただ、こういうのって・・・日めくりカレンダーと同じで、気持ちに触れるかどうかが大切なんだと思う。前向きに納得できれば、うつに限らず前進できるんだろうから。

BOOK「DNA医学の最先端 自分の細胞で病気を治す」

DNA医学の最先端
自分の細胞で病気を治す

大野典也著
(講談社現代新書:760円+税)
※古書を購入

医学の進歩はすさまじい勢いで進んでいるけど、結局、人間は死ぬ。むかし、国民病とまでいわれた結核などが減り、いまではガンが死因のトップになっている。病死だけでなく、交通事故の死者も減ったし、自然災害での死者も減った。おかげで日本は超高齢化社会へと突き進んでいるわけだけど・・・。
さて、iPS細胞の研究が進み、オーダーメイド医療というのが実現しそうだ、というのがこの本の内容。自分の細胞から作ったiPS細胞で病気を再現し、効き目の高い薬を選別する、自分の細胞であれば、拒絶反応がないから、臓器移植にも応用ができる。まあ、理論的にはそう言われている。でも、とても高額の費用がかかりそう・・・。
そういえば、iPS細胞の臨床試験がすでにはじまり、もうじき、他人由来のiPS細胞を移植する臨床試験も行われようとしている。詳しくは知らないけど、特殊な免疫を持つ人の細胞から、拒絶反応が出ないiPS細胞を作れるのだとか。iPS細胞の開発者である山中伸弥先生は、このスーパーiPS細胞をストックしておき、素早く安価な医療を実現する提言を行っている。やっぱり、賢い人の考えはすごい。

BOOK「生殖医療の衝撃」

生殖医療の衝撃
石原理著
(講談社現代新書:800円+税)
※古書を購入

子どもが欲しいと思ったことがないし、子どもができなくて困ったこともないので、「生殖医療」について関心を持ったことがなかった。もちろん、生殖行為には人並みの関心はあるけど^^;;
小学生だった頃、日本で初めての心臓移植手術のニュースをテレビで見た記憶がある。のちに、執刀医の和田寿郎教授が殺人罪に問われたりして、子どもながらに記憶している。二十歳を過ぎてから、日本初の体外受精(試験管ベビー)のニュースも記憶している。でも、体外受精の是非についてどういう議論があったかは憶えていない。
医療技術の進歩に伴い、倫理的な面、法律的な面での対応が議論され、国民的な納得があってはじめて実用化されるのだろうけど・・・生殖医療に関心がなかったせいか、議論されていた記憶がないままに新技術がたくさん実用化されている。デザイナーズベビーやらなんちゃら、ほとんど神様の領域に手を突っ込むようなことも可能になってきている昨今、今後も続々と新技術が実用化されるだろうけど、慎重に議論してからにして欲しいと思う。日本人は宗教的意識が低いから、意外に鈍感な気がしている。まあ、iPS細胞の再生医療への応用などでは、臨床試験に関してかなり厳しく検討しているようだから、無鉄砲なことはしないとは思うけど・・・。

BOOK「iPS細胞の世界 未来を拓く最先端生命科学」

iPS_saibounosekai-1-210x300iPS細胞の世界
未来を拓く最先端生命科学
山中伸弥:監修
京都大学iPS細胞研究所:編集
(日刊工業新聞社:2,000円+税)

STAP細胞の論文疑惑のドタバタで、このところ影が薄くなってしまったiPS細胞だけど、こちらの方は着々と研究が進んでいる。
この本は、iPS細胞とは何か、iPS細胞開発の経緯といった基本的なことには冒頭でわずかなページを割いただけで、大半のページで応用研究を解説している。再生医療、難病の発症メカニズム解明、治療薬の開発・・・。具体的な症例についての解説すべてに関心があるわけではないけど、今後、幅広い分野で期待できそうな勢いは感じた。
なかでも、ちょっと気になったページは、iPS細胞をめぐる知的財産の解説。現状では京都大学を中心に国際特許を多数押さえてはいるようだけど、今後主流となる技術がどれなのかが決まらない状況なので、今後どうなっていくかはまだわからないらしい。
・・・あるかないかがはっきりしないSTAP細胞の知財がどうなっていくのかも気になるところではあるけど。