BOOK「平成史講義」

平成史講義
吉見俊哉:編集
(ちくま新書:900円+税)

5月1日に改元される前に、平成史云々という本が何冊か出版されていた。あらかじめ天皇陛下のご退位がはっきりしていたからのことだろうけど、このタイミングで歴史をまとめる意義があるのかという疑問もあるけど、とりあえず一冊読んでみた。
平成時代は自然災害が多かったとはよくいわれるけど、インターネット、グローバル経済、地下鉄サリン事件、バブル崩壊、民主党政権、大震災、原発事故・・・みんな平成の出来事。いろいろなことがあった。
この本では、各分野毎に識者が短文で平成をまとめているけど、共通していることは・・・戦後の枠組みというか、昭和時代に上手くいっていた仕組みがみんな崩壊して、新しい枠組みを試行錯誤しながら、再構築に失敗した時代というニュアンスが浮かび上がってくる。わたしは、平成になる少し前・・・「Japan as NO.1」なんていわれた時期から、「日本はいまがピークで、今後は降り坂」と思いながらいままで生きてきたので、大筋では異論はないけ。でも、昭和の後半、あるいは戦後って、そんなに上手くいった時代なんだろうか? 戦後の復興、高度経済成長、公害の克服などはあったけど、「むかしは良かった」的な発想でちょっと無批判すぎるんじゃないかという気もする。

BOOK「安楽死・尊厳死の現在 最終段階の医療と自己決定」

安楽死・尊厳死の現在
最終段階の医療と自己決定

松田純著
(中公新書:860円+税)
※古書を購入

そろそろ終活でもしておこうか、などとは思っていないけど・・・なんとなく読んでみる気になった。
この本は、「尊厳死」「安楽死」について、どちらかというと慎重な立場で書かれている。文字通りに、人の生命に関わることだから、保守的すぎるくらいの議論で良いと思う。
以前、テレビなどで「尊厳死」「安楽死」が話題になったとき、少しは考えたことがあった。わたし自身、あまり長生きしたいとも思っていないので、当時は、どちらかというと賛成派に近い立場だったと思う。でも、親が寿命を迎えたり、自分が年をとって死に際が近づいてきたりして、多少は考え方も違ってきたような気がする。しかも、医療の進歩でがんが不治の病ではなくなってきたとか、状況的にも変化は大きい。さらに、この本でも示されていたけど、認知症のように意思を明確に確認できない場合、海外の事例でも尊厳死はほとんど認められていなかったりする。
そういう意味で、個人的には、「延命治療をする・しない」と意思を明確にしておこうといった、いま現在の議論がとても現実的で、健全な状況なのだろうと思う。

BOOK「未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること」

未来の年表 2
人口減少日本でこれから起きること

河合雅司著
(講談社現代新書:840円+税)
※古書を購入

前巻がいろいろ考えさせられる内容だったので、続きを読んでみた。
今後の日本で必ず起きることは「人口減少」と「高齢化」の深刻化。既にその影響は出ている。別に人口が減ること自体、適切に対応して国が縮小していけば、大きな問題ではないように思う。でも、適切な対応というのが出来ないのが現実。問題なのは、どう適切に対応できないか、ということ。さらに、対応しようにも適切な手段がないものも多い。
この本が予測している点は・・・主に「高齢化」の弊害。高齢者が抱える問題・・・肉体的衰えとボケの進行。わたしなんかでも、定年後の嘱託という高齢者と仕事することも増え、そのボケの弊害を受けることも増えてきた。頭にきて爆発したくなることもあるけど・・・近いうちに自分もボケ側の人間になることが確実なので、必死に堪えているけど。
もうじき元号も変わろうというのに、読後感は真っ暗。ますます悲観的になるけど・・・自分が高齢者になると、意外に幸せなのかも知れない。一説では、高齢者ほど多幸感が増え、些細なことでも幸せを感じるというから・・・。

BOOK「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」

未来の年表
人口減少日本でこれから起きること

河合雅司著
(講談社現代新書:760円+税)
※古書を購入

日本の人口が減っていく・・・だからどうした?という気持ちがないわけではない。でも、人口が減っていくと、どんどん世の中は衰退していくのは間違いがない。
ひと言でいえば、日本の未来をとても悲観的に見ている本で、おおよそ人口の推移を軸にした年表の方向に進むのだろうということは納得がいく。ただし、人口の世代別年齢など、人口の統計はかなり正確に予想できるけど、その後の考察はかなり大雑把な推測ばかり。具体的な数字は出しているけど、その考察はかなり大雑把で、いつこうなるのかは年表通りにはならないだろう。まあ、だからといって、日本の将来が明るいわけではない。
以前、最盛期より人口が25%以上減少したという某地方都市に行き、市の職員から夜の居酒屋でいろいろ話を聞いたことがあるけど・・・ある意味で、衰退した地方都市って一種のタイムマシンのような感じなのだなと・・・。

BOOK「日本の名著 近代の思想」

日本の名著
近代の思想

桑原武夫編
(中公新書:価格不明)
※古書を購入

古本屋でなんとなく手にした本。ここ10年間、ライトノベルばかり読んでいて、これでいいのかとの自省の念を抱きながら読みはじめたけど・・・。
「近代の思想」というサブタイトルにあるように、哲学、政治・経済・社会、歴史、文学論、科学の分野で、明治維新後から戦前までの間に書かれた本から厳選した50冊を紹介している。正直なところ・・・時代がこれだけ変わっても、「名著」が「名著」であり続けるものなのかわからないし、それを読む意義も同じであり続けるのか、わたしにはピンとこない。でも、結局は自分で読んでみないことには判断がつかないわけで、紹介は紹介として読むしかない。
50冊中、9冊は読んだことがあった。川口慧海『西蔵旅行記』、九鬼周造『「いき」の構造』あたりは、若かりし頃、いろいろこじらせたあげくに読んだわけだけど・・・こうして改めて名著だといわれると、とてもむず痒い気がする。そもそも、この本の編者である桑原武夫という名前自体が、いまにして思うと何ともむず痒い^^;;
で、新たに読みたいと感じた本は・・・湯川秀樹『目に見えないもの』と鈴木大拙『日本的霊性』の2冊くらいだろうか・・・。

BOOK「動物たちの反乱 増えすぎるシカ、人里へ出るクマ」

動物たちの反乱
増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

河合雅雄、林良博編著
(PHPサイエンス・ワールド新書:880円+税)
※古書を購入

テレビのニュースなどで、シカやサルによる農業被害、人家のある地域にイノシシやツキノワグマが出没したなどという話があると、有識者なる人たちが「里山の荒廃」という言葉を口にする。この言葉を聞く度に、わたしは納得のいかないものを感じていた。そしてこの本を読んで、わたしは「里山」というものを理解していなかったことに気がついた。
わたしは北海道に生まれ育ったので、本州でいうところの、隅々にまで人の手が入った「里山」というものを実感してこなかった。いまの北海道は違うだろうけど、半世紀近く前の北海道には、里山のような中立地帯はほとんどなく、裏山ですらヒグマが支配する土地だった。だから、廃村により人間が後退した地域、開発が進んで里山を切り拓いてしまった地域では、その頃の北海道と同じような距離感に生まれてしまっているのだろう。
人口が増え、人間がどんどん自然を切り崩していた時代は、野生動物はゆるやかに絶滅する方向で減っていく。でも、地方が衰退し、放棄地が増えると、野生動物が反撃してくる。自然保護の意識もあるし、むやみに駆除もできない。さらに、外来生物という援軍?も押しかけてきて、勢力を伸ばしている。『進撃の巨人』のような壁でも作るしかないんじゃないかな^^;;

BOOK「スティーブ・ジョブズ全発言 世界を動かした142の言葉」

スティーブ・ジョブズ全発言
世界を動かした142の言葉

桑原晃弥著
(PHPビジネス新書:900円+税)
※古書を購入

正直いうと、ジョブズにはあまり興味がなかった。
ビジネス界の巨人、スティーブ・ジョブズからなにかを学びたい、ヒントが欲しいということの現れなにか、似たような本がいくつか出ているけど、新書版で安かったのでこれにした。
右ページにジョブスの言葉が書かれていて、左ページに当時の状況など補足情報が載せられていた。単純に言葉だけをズラズラ並べて、あとは読み手の能力次第だよ、というタイプの名言集ではなかったけど・・・わたしの能力と感性の問題として、ピンっと心に響くような言葉はなかった。たぶん、サービス精神でこういう言葉も言っておこうとか、言っておいてあげようという心遣いに満ちた言葉が並んでいて、かなり幅広い人に向けられた言葉だとは感じたけれど・・・。そもそも、わたしのような小人に、ジョブスのような巨人の言葉が釣り合うわけがないんだよな^^;; それは、世の中のたいていの人にも当てはまるような気もするけど、他人のことはよくわからない。

BOOK「縮小ニッポンの衝撃」

縮小ニッポンの衝撃
NHKスペシャル取材班著
(講談社現代新書:740円+税)
※古書を購入

昨年出た本だけど、NHKスペシャルの番組は見逃してしまったようだ。
わたしはバブル経済以前から日本の未来に悲観的だったけれど、その理由は団塊世代と年金問題にあった。団塊世代が都合よくもらい逃げする年金制度がヤバイと思ったから。この問題はその後解決されることなく、団塊世代は「高齢化」という問題になり、同時に「少子化」という二重苦になった。いまでは、「人口縮小」という問題が顕在化した。これは、予測ではなく確定していたことだ。
団塊世代は一夫婦が2人以上、人口を維持できる程度には子どもを産んだ。これが団塊ジュニアだけど、この世代が少子化を起こしてしまった。これは年齢的に確定した。団塊ジュニアはもう子どもを産む年齢を過ぎた。数が減った団塊三世は、「非正規雇用」や「ひきこもりニート化」などで、出産はおろか結婚すらしづらい状況にある。・・・人口縮小のスパイラル。
この本では、北海道や島根県の地方都市、そして東京について書かれているけど、上のような状況は全国的なことなので、どの地域でも避けようがない。明るい話はひとつもなくて、じっとり暗い気持ちになる。
ではどうしたら良いのか? 悲観論者のわたしにいわせれば、解決策などない。ジジババにではなく、若年層に財政を回せともいうけど・・・ジジババがのたれ死ぬような状況を見せられ、将来に不安を感じてしまえば若者は結婚もしないし子どもも産まない。限られた財政で、ブレーキとアクセルを同時に踏むような夢のような政策などあるはずがない。人口が減れば、やがて財政だって破綻する。
せいぜい、大量の移民を受け入れるという禁じ手があるけど・・・日本はこの問題について、まともな議論すらできないのが実情だしなぁ。

BOOK「コンビニ外国人」

コンビニ外国人
芹澤健介著
(新潮新書:amazon:759円)
※Kindle版を購入

30年ほど前、福島県の山の中にある某温泉宿に泊まったら、従業員の大半が外国人だったので驚いたことがあった。旅館の裏に寮があり、共同で暮らして仕事をしていると言うことだった。以来、身近なところで外国人が増えた。居酒屋の店員、スーパーの店員、そしてコンビニの店員などなど・・・。
この本によると、現在、大手コンビニで働く外国人店員は4万人超。20人に1人の割合だという。
わたしの生活圏にあるコンビニには2タイプあって、日本人のジジババばかりのお店と、外国人店員ばかりのお店。地域性なのか、店長の好みなのかはわからない。
この本は、コンビニで働く外国人の姿を描くルポだけど・・・本来、日本は「移民不可」の政策をとっているはずだけど、世界第5位の「外国人労働者流入国」で、知らない間に移民大国になっていた。
わたしは外国人労働者がいけないとは思わないし、管理された制度化での移民は受け入れざるを得ないと思っている。でも、日本って・・・政治レベルでも国民レベルでも・・・一度も移民政策に関してどうしていくべきかをまともに議論したことがないんじゃないだろうか? こんななし崩し的に移民大国になって、将来大丈夫なのかと心配だ。