BOOK「巨大地震はなぜ連鎖するのか 活断層と日本列島」

巨大地震はなぜ連鎖するのか
活断層と日本列島

佐藤比呂志著
(NHK出版新書:740円+税)
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なぜか、地震について気になりはじめて、続けて似たような本を読んでいる。
まだ記憶に新しい熊本地震の話からはじまり、プレート型地震と内陸型地震の関係を分かりやすく説明している。この辺のことは、東日本大震災後のテレビ報道などでも繰り返されたことなので、とてもなじみ深い。なじみ深いと思ってしまうこと自体、地震の多い日本に生まれ育ったサガなんだろう^^;
熊本地震では、本震の後でより大規模な地震が発生した。これが連鎖による地震。熊本地震を「巨大」といって良いのかは別だけど・・・。通常の地震とは違ったという意味で話題に上っていたけど・・・正直いって驚くようなことではないように思っていた。それどころか、南西方向につながっている余震の震源地を示した地図を見て、こうやって中央構造線が伸びてきたんだな、などと勝手に思い描いていた。たかだか80年100年しか生きない人間とは違い、地質年代レベルではある意味での連鎖の結果が、いまの中央構造線なんだろうなと。
プレート型地震と内陸型地震には関連がある、そういう意味で気になるのは南海トラフ地震。ということで、南海トラフ地震についても解説しているけど・・・熊本地震がその前兆だとははっきり書かれていない。そこまで明確なことはいえないというのが現状だろう。

BOOK「南海トラフ地震」

南海トラフ地震
山岡耕春著
(岩波新書:780円+税)
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「10年一昔」というけれど、東日本大震災から8年が過ぎ、動きの速い現代ではすでに一昔前の出来事になってしまったかのような感じで・・・お叱りを受けるのを覚悟していえば、我が家の防災対策も皆無となっている。それどころか、「首都圏直下型地震が来たら、かなりの高確率で死ねる」と周囲にうそぶきはじめる始末。ちょっと気持ちを入れ替えねばならない。
首都圏直下型が先か、南海トラフ地震が先か、あるいは東海・東南海・・・千葉沖なんていう話もあるけど、どれが起きても大変な被害が出る。そんな大地震の発生のメカニズムから、震災として想定される津波や大火災、さらには経済的被害と波及効果などを解説している。この本の著者は防災にちからを入れている方らしく、防災のお話もしっかり書かれている。太平洋ベルト地帯が甚大な被害を受けると、その後の生活で、東京に住んでいても大きな影響を受ける。実際、東日本大災害では、停電騒ぎや物不足があった。
富士山の噴火まで続くというから、東京から自主避難すべき状況にもなりかねないけど・・・どこに避難しても同じようなことになるんだと・・・。

BOOK「日本海 その深層で起こっていること」

日本海
その深層で起こっていること術

蒲生俊敬著
(講談社ブルーバックス:amazon:929円)
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比較的最近、NHKで日本列島が生まれたメカニズムの最新研究を紹介した番組を見た。2000万年前、ユーラシア大陸の東端に亀裂が入り、少しずつ広がり、やがて日本海となって、今日の日本列島が形成された。だから日本でも、恐竜の化石が発見されるのだという。
この本は、そんな日本海の成り立ちから、海流の動きや海水の性質、気象、歴史や日本人の暮らしとの関わりといった広範な研究成果を紹介している。
著者自身が日本海の調査を行った経験なども交えているけど、その現場の様子なども詳しく紹介してくれれば、より面白い読み物になったように思う。ただ、当時と現在では、調査手法や技術が違うので、詳細は省いたのだろうと思うけど。
さらに、ブルーバックスというレーベルにもかかわらず、科学的な解説に読み応えがない感じがする。海水の垂直方向の熱塩循環についてがメインテーマで、温暖化ガスによる気候変動の予兆が日本海に見られはじめているという警鐘が最も言いたいことというのは理解できるけど。

BOOK「国立科学博物館 特別展 深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」図録

先日、国立科学博物館で見てきた特別展「深海2017 最深研究でせまる“生命”と“地球”」の図録。価格:2200円(税込)。192ページ。
映像展示はNHKで放送されたものが中心で期待はずれだったけど、テレビ番組より詳細であろうと思い、図録を購入しておいた。実際、夏休みのチビッコがうごめいていて、企画展の会場では解説パネルを落ち着いて読む余裕が全くなかったし^^;;
展示自体、良くこれだけ詰め込んだと思えるくらいに内容は豊富だったけど、その分、通路が狭く混雑が激しかった。チビッコにこういう展示を見せること自体は決して悪いことじゃないんだろうけど・・・幼稚園児や乳幼児を連れた母親が多すぎる。一部の美術館のように、小学生未満の入場を制限するというわけにはいかないだろうけど、もう少し何とかならないだろうか^^;;
わたし自身、興味のある分野だというのもあるし、展示を十分に見られなかったせいもあるけど、読む部分も多いし、写真やCG図版も楽しい。図録としては良くできている。科博の図録としてはかなり出来の良い方だと思う。

雑誌「milsil ミルシル 日本の深海底に眠る鉱物資源を探せ!」(2017年No.3 通巻57号)

国立科学博物館が発行している自然と科学の情報誌。(隔月年6回発行。税込定価420円)
今回の特集は海底資源。たまに、NHKが特番を放送しているけど、日本近海の海洋底にたくさん分布している海底熱水鉱床、無数に転がっているマンガンクラスト、マンガンノジュール、そしてレアアース泥について。これらが採算ベースで採掘されるようになると、日本は資源大国として経済的に潤うのだけど・・・。
でも、わたしは個人的に思うことがある。今後もこれまで同様にたくさんの資源を使い続けても良いものかと? 化石燃料の大量消費がGHGの大量放出を生み、気候変動という大きな問題ちなったように、新たな資源開発が新しい問題を生み出すのではないかと。できることなら、その辺も考慮して賢く実用化して欲しい。
第二特集は日本の国立公園。以前、日本の国立公園・国定公園について仕事でいろいろ調べたことがある。日本の国立公園には自然保護と観光利用の二つの目的が置かれているけれど、知床や小笠原など、自然保護をメインにした国立公園が増えているのは喜ばしいことだ。地元は観光誘致に必死なのかも知れないけど^^;;
でも、国立公園は予算があるからまだ良い。いま問題なのは、国定公園の方だろうな。自治体に予算がなく、至る所で老朽化した施設が廃墟となり果てはじめている。当然、自然保護への取り組みも大きく後退している。というか、放置されているというのが現状。日本の国力の衰えを象徴するような現状なんだよなぁ^^;;

BOOK「山が楽しくなる地形と地学 山、それ自体がおもしろい!」

yamagatanosikunaru山が楽しくなる地形と地学
山、それ自体がおもしろい!
広島三郎著
(山と渓谷社:777円+税)

久しく山に登っていないし、山の本も読んでいなかったけど、本棚の片隅に読み忘れていた本を見つけた。たぶん、10年くらい放置していたはず^^;; むかし、山登りをしていた頃、よく、こういう本を読んでいた。それをHPで紹介していたら、山岳雑誌「山と渓谷」の目に止まり、コラムで紹介されるほど読んでいた。
その経験でいうと、登山の入門書のタイトルには「山を楽しく」とか「山を楽しむ」という表現がやたらと多い。好きで山登りをしている人間は、人から言われなくても山は楽しい。でも、多くの人が、山は楽しくないと思っているからこういう表現が増えることになる。そして、そういう人は、こういう本を読んだからといって、山が楽しくなることはない。
でも、山登りの初心者には役に立つんだよ、こういう本は。少なくとも学校で習う地学の授業以上には役に立つ。