BOOK「ヒト 異端のサルの1億年」

ヒト
異端のサルの1億年

島泰三著
(中公新書:920円+税)
※古書を購入

人類学の本を読むと、いつも消化不良になる。わずかな発掘資料から推測を重ねて、わかっていないことが多いのを良いことに、かなり我田引水的に自説を展開していることが多いから。同じようにこの本も消化不良を起こした感じ^^;; ただし、この本の場合はいままでに読んだ本とは少し意味合いが違う。
オランウータンからはじまり、ゴリラ、チンパンジーといったサル、そしてアルディピテクス、アウストラロピテクス、ホモ・エレクトゥス、ネアンデルタール、ホモ・サピエンスへとサルから人類へと考察を並べているけど、ただ並べただけで著者の主張がない。考察も非常に浅い。各項目単独ならそれなりに読んだ感じはするけど、それを串刺しにする部分の考察がお粗末すぎて、この本でいちばんの消化不良に陥ってしまった。
生煮えの食材を順に食べさせられて、お腹を壊したような読後感・・・。結局、サブタイトル通り、裸のサルという異端さを書きたかっただけなのか? だとしたら、著名を『ヒト』ではなく、『サル』にした方が良かった。

BOOK「国立科学博物館 特別展 世界遺産 ラスコー展 LASCAUX The Cave Paintings of the Ice Age」図録

lascaux_zuroku先日、上野の国立科学博物館で見てきた「ラスコー展」の図録。
クロマニヨン人の描いた壁画ではあるけれど、ある意味では美術作品ともいえるような内容なので図録は忘れることなく購入した。とはいえ、写真集ではなく、科博の特別展の図録なので、展示に即して一連の科学的解説も収録されている。
展示では、大規模な復元模型でいくつかの壁画が再現されていたけど、図録で壁画を見て、改めて思った。
ラスコーのクロマニヨン人は、いったい何のためにこんなに夢中になって壁画を残したのだろう? 展示でも、その理由はわからないとなっていた。考古学者はよくわからないことを、すぐに「宗教的儀式」のためとかいって誤魔化してしまうけど、はっきり不明だといっているところは好感がもてる。展示を見た瞬間の、わたしの第一印象は・・・クロマニヨン人たちはマンガ家になりたかったんだろうな、というものだったけど、それは冗談しても、これだけはいえる。これを描いたクロマニヨン人たちは、かなり強烈な創作欲のようなものに突き動かされていたんだろうと。
A4変型判164ページ、フルカラー
価格:2500円

BOOK「アイヌ学入門」

ainugakunyuumon-186x300アイヌ学入門
瀬川拓郎著
(講談社現代新書:amazon:756円)
※Kindle版を購入

高校を卒業するまでは北海道に住んでいたので、決して身近な存在ではなかったけれども、アイヌに関する知識はそれなりにある。白老や函館の博物館なども訪れたことがある。
でも、何十年もむかしのことなので、不正確な知識が相当含まれているはず。わたしが子どもの頃、アイヌ民族は白人に分類され、極東の狭い地域に人種島として分布している、などという説がまかり通っていた。しかし現在では、遺伝子解析やミトコンドリアDNAなどの研究から否定されているらしい。
さらに、わたしたちが一般にイメージするアイヌ文化は、江戸時代末期から明治期にかけて収集された資料や研究によるもので、和人との交易や交流に大きく依存するようになってからのものだとこの本で知った。アイヌ民族・文化の歴史を考えれば、縄文時代から面々と続いてきたわけで、他民族の影響など時代によって変遷があるのは当たり前。こういう歴史的時間軸を意識した説明で、いままで見えていなかったたくさんの物事に気づかされた。
他にもいろいろ思うところ、思い出したところ、不思議に思っているところ、そして現実にふれあったアイヌ民族の人々を思い返したところなど、いろいろ思うところはあったけど、ここで書くべき話ではないな^^;;

BOOK「歌うネアンデルタール 音楽と言語から見るヒトの進化」

utau_neanderthalensis歌うネアンデルタール
音楽と言語から見るヒトの進化
スティーヴン ミズン 著
Steven Mithen 原著
熊谷淳子:翻訳
早川書房:2,400円+税)
※古書を購入

人類は直立歩行をすることで、喉の部分の負担がなくなり、声帯から様々な音が出せるようになり、口や鼻腔、咽喉と連動して様々な声を出せるようになった。さらに、大脳新皮質が発達し、高度なコミュニケーションが出来るようになっていったと言われている。
勝手に推測してみるならば・・・「ああ、気分がいい」「なんかうきうきする」ときは、それらしい音を大声で歌い出す。さらに、意思伝達機能が加わり、コミュニケーション目的の言葉が生まれる。狩りなど共同作業時の意思疎通のための合図が生まれる。狩りが上手くいったら獲物を前に嬉しい気分になり、喜びを表す歌のような物を歌い始める。これがチームとして、部族として共通認識になり、やがて定着してくる。
食欲が満たされると色欲^^ 気に入った異性に「させて^^」「??」「いいから」「??」・・・「なんてことするのよ!」と逃げられるけど、あの手この手で何度も失敗を繰り返すにつれ、ねんとなく意味が伝わるようになる。やりたい一心でコミュニケーション力を付けてゆく。・・・やっぱり、進化の原動力はこういうところにあるんだろうな^^;;<ホントカ?
※この本の要約や感想を知りたい人は、余所を参照してください^^;;

BOOK「国立科学博物館 特別展 グレートジャーニー 人類の旅展」図録

the_great_journey_zuroku.jpgもう終わってしまったけど、つい最近まで上野公園の国立科学博物館で開催していた特別展の図録。頂き物なので販売価格は不明。
アフリカのラエトリの足跡化石からはじまる人類の旅。その足跡をたどっての人類学、文化人類学、伝統文化、生活史など、いまその地に暮らす人々の姿を紹介しながら、人類が目指した南米最南端への道を示す。
かつて、徒歩とリヤカー、自転車、ボートといった人力だけの移動手段でこの道をたどった冒険家・関野吉晴は、かつての先祖たちが歩んだグレートジャーに野逆順をたどった冒険を行った。その様子は随時、テレビ番組としてみていたけど・・・これを正常なルートに編成し直した内容。
人類が何を思い、考え、どういう事情で次の一歩を踏み込んだのかがわかれば面白いのだけど、そこまでつっこんでは読み込まなかった^^;;

 

BOOK「人類はなぜ短期間で進化できたのか」

jinruihanazetankikande人類はなぜ短期間で進化できたのか
ラマルク説で読み解く
杉晴夫著
(平凡社新書:800円+税)
ISBN/ASIN:4582856484

わたしは進化論が苦手だ。正直言って、ダーウィンの進化論、ネオ・ダーウィニズムにしても、ぜんぜん納得がいっていない。発掘された化石を順に並べて、少しずつ変化していることを見せつけられれば、「進化」そのものは納得するけど・・・どうして進化するのか、という点に関してはぜんぜん納得がいかない^^;
で、この本を見つけて読んでみたのだけど・・・この本で、進化論に関して「ラマルク説」というのがあるというのを知った以外、他はまったく意味不明と言っていいほど中味がない本だった。もちろん、上に書いたような点で、なにか納得できたかというと、納得できる点もぜんぜんなかった。
わたしは、読んだ本を本気でけなすことって滅多にないのだけど・・・論旨は支離滅裂だし、この本はダメだ。読者の知的好奇心や向学心のために書かれた本とは思えない。既存の学問や学界などに対する批判を目的に書かれたとしか思えない。・・・そうだとしても、内容は無茶苦茶だけど^^;;

BOOK「化石の分子生物学 生命進化の謎を解く」

kasekinobunshiseibutsugaku-183x300化石の分子生物学
生命進化の謎を解く
更科功著
(講談社現代新書:amazon:683円)
ASIN:B00APR9D5G
※Kindle版を購入

ネアンデルタール人の化石、絶滅動物の剥製、エジプトのミイラ、縄文人や弥生人の化石、琥珀に閉じ込められた古生物などの古代DNA研究する分子生物学のお話。
「ジェラシックパーク」は、琥珀に閉じ込められた蚊から、生前その蚊が吸った恐竜の血からDNAを取り出し、恐竜を復元するという話で・・・実際に琥珀の中の昆虫からDNAを取り出したという話題を耳にしたことがあったけど・・・残念ながら、琥珀の中の昆虫からDNAを抽出したというのは間違いで、いまではその可能性は否定されているらしい。まあ、残念といえば残念だけど、これは納得できる。
現実的には、縄文人のミトコンドリアDNAを断片的に抽出するのが精一杯のようだ。
でも、後半の進化の話や、カンブリア紀の大爆発の話は・・・この本に限ったことではないけど・・・ぜんぜん納得がいかない。

BOOK「アフリカで誕生した人類が日本人になるまで」

afurikadetanjousitajinruigaアフリカで誕生した人類が日本人になるまで
溝口優司著
(ソフトバンク新書:730円)
ISBN/ASIN:4797361285

いままで読んだ同じような本と大差がなくて、目新しい話とは出会わなかったけど・・・読みやすく、わかりやすい本だった。
でも、この手の本を読むたびに同じ疑問が浮かぶ。
突然変異か何かでホモ・サピエンスがひとり誕生する確率はかなり低い。さらに、同時期にもうひとりのホモ・サピエンスが誕生する確率はさらに下がる。そして、この二人が出会えるほど近い地域に誕生する確率は・・・。さらに、この二人が男女である確率は・・・。こうした偶然が重なり、無事に子供が生まれたとして、その子供が無事に成長する確率・・・。その子供たちに男女がそろう確率・・・。その後、何世代も近親相姦を重ねていっても、種が滅びない確率・・・。
まあ、いま現在、ホモ・サピエンスが地球上に広く生存しているのだから、この確率がゼロではなかったということだろうけど、どうにも納得がいかない^^;
新しい種の誕生には、ウイルス感染が関係していて、同地域の複数の個体に感染し、一度に複数の新種が誕生したという説もあるけど・・・この本には取り上げられていなかったし・・・まだ、主流の説とはいえないようだ。けっこう、合理的な説のような気もするけど、ウイルス感染で新種が誕生するという部分が、実証的に認められないらしい。・・・実際、新型インフルエンザが流行するたびに、感染者を親としてホモ・サピエンスとは異なる人類が生まれたという事例は見つかっていないわけだし・・・。