BOOK「ニュートリノで探る宇宙と素粒子」

ニュートリノで探る宇宙と素粒子
梶田隆章著
(平凡社:1,800円+税)
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「スーパーカミオカンデ」による研究でニュートリノ振動を発見し、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田先生の著書。ニュートリノというと、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生にはじまる日本のお家芸的分野だけど、梶田先生はその小柴先生のお弟子筋に当たる研究者。
この本はニュートリノ研究の歴史的経緯から物理学的な意義、素粒子としての特性などを詳しく解説していて、わたしのレベルでいえば、文字通り、腰巻きに書かれた「いちばんよく分かるニュートリノの本」かもしれない。真剣に読み込めばだけど・・・。
でも、梶田先生の伝記的な要素はなく、人物像などはなにも書かれていなかった。ノーベル賞受賞者とはいえ、もう偉人として特別な個性を求めても仕方がない時代になってしまったのかなという気もするけど・・・ニュートリノが身近な存在ではないだけに、多少のとっかかりとしての人物像くらいは知りたいと思うんだよな^^;;

BOOK「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」

宇宙はなぜこんなにうまくできているのか
村山斉著
(知のトレッキング叢書:1,100円+税)
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村山斉の著書を読むのはこれが5冊目だけど、どれもわかりやすくて読みやすい本ばかりだった。これだけ多作だと、本当に本人が自分で書いているのか、アルバイトで学生に書かせているんじゃないかとか疑いたくもなるけど、その辺は気にしないのがお約束。
この本は宇宙論としてはかなり入門レベルの内容。量子論について多少の知識があれば、かなり楽に読める。この宇宙は実に巧妙に作られていて、奇跡的な存在なのだという印象を持たせようとしている構成のような気がする。たしかに、このパラメータがわずかにでもずれていたら、この宇宙は存在していないとかよく聞くけど、そんな話。
でも思うのだ。かつて、知り合いの飲み屋のママさんが、「横浜から実家のある仙台までは、高速に乗ってしまえば簡単。一本道だから」と言ったことを思い出す。高速道路には信号がないけど、分岐点がないわけではない。でも、走ってきた道を振り返ると分岐点は見えず、あたかも一本道のように感じる。
だから、実際に存在しているであろうこの宇宙の私たちが、宇宙の誕生を振り返って、あたかも奇跡的に存在しているのは、当たり前のことなんだよな。

BOOK「物理学はいかに創られたか(下)」

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物理学はいかに創られたか(下巻) 
アインシュタイン/インフェルト著
石原純:翻訳
(岩波新書:740円+税)
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下巻は、相対論が誕生する経緯からはじまり、相対論を解説。さらに量子論の入門編といった内容。光量子で量子論の確立に関係したアインシュタインだけど、「神様はサイコロを振らない」とハイゼンベルクの「不確定性原理」を否定しようとしたアインシュタインにとっては、量子論の入口までしか手を付けることができなかったのだろう。
数式を使わず、わかりやすい逸話も使わず、平易な文章だけで解説しているので、意外にわかったようでいてわかりにくい部分が多々ある^^;;
ヨーロッパで第二次大戦がはじまり、ポーランドに残されたインフェルトを救出をアメリカ政府に納得させるため、その存在感を示すため共著で書かれた本で、この印税でインフェルトはプリンストンの高等研究所での研究費をまかなったという逸話がある。つまり、アインシュタインが日本旅行を終え、アメリカに亡命して間もない頃に書かれた本ではないかと思う。

BOOK「元素周期表で世界はすべて読み解ける 宇宙、地球、人体の成り立ち」

gensosyuukihyoude元素周期表で世界はすべて読み解ける
宇宙、地球、人体の成り立ち

吉田たかよし著
(光文社新書:amazon:616円)
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高校時代、「化学 I」は暗記科目的な要素が強かったのか、比較的得意科目だった。しかし、文系だったこともあり、「化学 II」からなんとなく苦手になった。
でも、わたしは周期律表の意味はちゃんと理解していた。何という本かは忘れてしまったけど、周期律表について解説した本を読み、並び順に意味について正しく理解していたように思う。もし、高校時代に量子化学という学問の存在を知っていたら・・・まじめに数学も勉強して、その道を目指したかも知れない。でも、幸か不幸か、文系を目指したので、化学も数学もちゃんとは勉強しなかった。というか、高校では何も勉強しなかった^^;;
量子化学、医学の道を進んだ著者が、実践的な視点から周期律表を解説していて、この本は久しぶりに興味深く読むことができた。さらには、アストロバイオロジー(宇宙生物学)の研究でも分子の振る舞いは重要な要素で、周期律表が役に立つというのだから、とても興味深い。
そういえば、ノーベル科学賞を授賞した根岸英一先生だったろうか・・・常に背広のポケットに周期律表を忍ばせ、いつでも見られるようにしていると言っていたのは・・・。
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そう言えば、原子番号113番の元素は、日本の理化学研究所仁科加速器研究センターのチームが合成に成功して、その命名権を得た。このニュースから半年ほど過ぎたけど、なんという名前になるのか、まだ続報はない。

BOOK「宇宙背景放射 「ビッグバン以前」の痕跡を探る」

utyuuhaikeihousya宇宙背景放射
「ビッグバン以前」の痕跡を探る

羽澄昌史著
(集英社新書:720円+税)

高エネルギー物理学研究機構(KEK)で、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の観測・研究を行う研究者の本。南米チリのアタカマ高地にある「ポーラーベア(POLARBEAR)」などでの研究目的は、CMBを観測し宇宙のインフレーションの痕跡を発見しようというもの。
インフレーション理論は、日本の佐藤勝彦先生など複数の研究者がそれぞれ独立に発表したもの。いま宇宙論が抱える「平坦性の問題」など重要な問題のいくつかが簡単に片付いてしまうようなありがたい理論で、ビッグバン以前の宇宙の姿もいろいろはっきりしてくるんだけど・・・現時点では仮説に過ぎない。発表当時は、インフレーションを実証するための理論的な予測に基づく実験が不可能だといわれていた。しかし、観測技術菜飛躍的に向上し、予測を証明できる可能性が出てきたという。
上手くいけば、佐藤勝彦先生にノーベル物理学賞が与えられる日が来るかもしれないのだけど・・・インフレーション理論はいろいろ都合の良い学説ではあるけど、必ずしも正しいとはいえないのが現状。

BOOK「村山さん、宇宙はどこまでわかったんですか?」

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村山斉著
編集:高橋真理子
(朝日新書:amazon:500円)
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そのうち、ノーベル物理学賞を取るであろう村山斉の本。
対談形式で書かれているので、ある意味ではわかりやすい本だったけど・・・一方では、スルーして欲しくないところをスルーしてしまったり、こっちの方向に話を進むのかと違和感がないわけではなかった。
さらに言えば、村山斉の歯切れが悪くて、インタビュアーの発言が多い部分ほど、いまの物理学の限界を示しているというのが、わかりやすい本だった。内容的にはともかく、私たちが存在しているこの銀河に名前を付けようという動きに、世界中の学界が対応し切れていないこと、さらに、日本の学者たちの提案があまりにも陳腐すぎることに愕然としながらも、まあ、そういうものなのかなと・・・。
まあ、なんにせよ、村山先生には、早めにノーベル賞を取ってもらって、いろんないみでスッキリして欲しいと思う^^;;;

BOOK「物理学の歴史」

butsurinorekishi物理学の歴史
朝永振一郎編
高林武彦/中村誠太郎著
(ちくま学芸文庫:1,400円+税)
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かつて、「自然哲学」と呼ばれていた科学以前の概念から、「物理学」が独立してきたのはケプラーやニュートンにより運動や力の解明が進んだことから、物理学ははじまった。続いてマックスウェルの電磁気へと古典物理学が完成。その後は、量子論への入口となる光の研究が進み、量子力学、素粒子論が発展する。という流れで書かれた本だけど・・・気のせいかも知れないけど、量子論に入ると突然、記述が難しくなった^^;; 執筆者が違うから仕方がないのかも知れないけど。
朝永振一郎はノーベル物理学賞を受賞したご存じの物理学者だけど、一般向けの物理学解説書をたくさん書いいる。この本はあくまで編者ではあるけど・・・あまたの本の中でも読みにくい本の部類に入るだろうと思う^^;

BOOK「宇宙の果てを探る 誕生から地球外生命体探査まで」

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誕生から地球外生命体探査まで
二間瀬敏史著
(洋泉社COLOR新書y:1,000円+税)
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宇宙の始まりから、天体の誕生と超新星爆発などなど・・・そして地球外生命の可能性まで、幅広いジャンルをさらりと紹介している。カラー写真が売りの新書なので、その分だけ読む部分が少ない。にもかかわらず、扱われている項目が多いので各項目の内容は浅いし、これといって目新しい情報もなかったけど・・・まあ、それは仕方がないことだろう。
2009年の本だけど、こういう本がamazonのマーケットプレイスで1円で売られているのはありがたい。実際は送料があるから258円になるけど、新刊で買うことを考えれば十分に安い。