BOOK「1688年 バロックの世界史像」

1688年
バロックの世界史像

John E. Wills Jr.著
ジョン・ウィルズ、別宮貞徳:監修
片柳佐智子、鈴木忠昌、徳植康子、中尾ゆかり:訳
(原書房:2,800円+税)
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出版時、それなりに話題になった本で、世界中の国や都市の1688年時点の姿を並列的に描いたユニークな歴史本。なぜ1688年なのかは不明。大きな事件や出来事は起きていないし、特別な年とも思えないけど・・・読後の推測では、世界の主要な地域が世界史という形で本格的につながりはじめた時代の代表・・・言い換えれば、欧米人に全世界が認識された時代だからだろう。この時期、オランダやイギリスの東インド会社がヨーロッパとアジアを結び、北米西海岸からマニラまでの航路も開かれ、オーストラリアを含む全世界が結ばれていた。
教科書的に地域史をたどっていくのとは全く違う感覚で、いろいろ発見があったりするけど・・・けっこうわかりにい。予備知識がなく、馴染みのない地域の状況を把握するのに一苦労する。
1688年・・・北米では欧米諸国が争うように領土を広げ、アフリカではポルトガル人があらゆる手段を駆使して奴隷をかき集めていた。インドではムガル帝国とイギリスが戦争状態。ロシアが太平洋岸に迫り、清朝との国境が画定されようとしていた。パリではヴェルサイユ宮殿でルイ14世が贅を尽くし、イギリスではニュートンが『プリンピキア』を出版。宗教が影響力を弱め、錬金術から科学が誕生しはじめていた。
1688年は、日本でいうと貞享5年/元禄元年。江戸幕府は犬将軍・徳川綱吉の時代。すでに鎖国状態が完成し、日本は長崎のみで海外とつながっていた。元禄といえば、江戸文化が最初に盛り上がった頃で、当時の金沢・江戸・長崎について触れられている。人口10万人の金沢は、世界の20大都市のひとつに数えられるという。文化面では井原西鶴と松尾芭蕉を取り上げている。他の地域のことはわからないけど、日本に関する記述は、偏見なく描かれていると感じだ。

BOOK「大英博物館展 100のモノが語る世界の歴史」図録

東京都美術館(2015年6月)と神戸市立博物館(2015年9月)で観た企画展の図録。たまたま古本屋で見つけ、安かったので購入した。新品同様の美品で、600円(税込)は買い得だった。
上野でも神戸でも、どちらも混雑していて、じっくり展示を見る余裕すらなかった。2回観たので、計40点くらいに絞り込んで、気になるものだけ順番待ちをして観たはずだけど、改めて図録を見ると、意外にもよく憶えていることに驚いた。やっぱり、実物を直に見るときの印象は強いらしい。
当日スルーしてしまった品々も改めて確認すると、スルーした理由まで思い出せた。日本人であるわたしには、やはり西洋の歴史や文化に馴染みが薄く、厳選されたであろう100点の中でピンとこないものがけっこうある。図録を読むと、その展示品にどういう歴史を語らせたかったのかが解り、なるほどなとは思う。それでもやっぱり、その展示品から感じる存在感なんかは、ヨーロッパ人のそれとは違うのだろう。こればかりは文化的背景が違うのだから仕方がない。
日本から選ばれたのは「縄文土器」。世界最古の土器文化だから、これは納得がいく。他にはないのかという気もするけど、ありそうでいて意外にない。ユーラシア大陸の端っこで、あまり世界との関わりが少ないのは確かだし・・・。
それにしても、大英博物館、行ってみたいなぁ。1週間くらい通って、じっくり見たいものだが・・・。

BOOK「ハプスブルク家」

ハプスブルク家
江村洋著
(講談社現代新書:800円+税)
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ヨーロッパの歴史は苦手だ。ぐちゃぐちゃでよくわからないというのが正直なところ。でも、日本のようにほぼ同じ地域がひとつの国であり続けた歴史を持つ国の方が珍しいわけで・・・そもそも国単位で歴史を考えること自体が、ヨーロッパ史を考える上では間違いなんだろうと思う。そういう意味で、この本を読んでみたわけだけど・・・。
ハプスブルク家は、ビスマルクによってドイツの表舞台から駆逐されたという印象があったので、ドイツとオーストリアあたりの大貴族という印象があった。でも、中世以降、スペインやハンガリー、ボヘミアを含む中部ヨーロッパの広大な地域で君臨してきた。だから、ヨーロッパ史を理解する上で避けて通れないのだけど・・・やっぱりよくわからないというのが、読んだ後の印象だ。しかも、戦争で征服したというのではなく、大半が政略結婚で領土を広げたので、元をたどると・・・正直いって訳がわからない。少なくとも、美男美女をたくさん輩出した家柄なのだろう。
あくまでも自称らしいけど・・・カエサル一族にまで遡るという。古今東西、血統の正当性を示すには、過去の偉人にまで遡ってこじつけるのは同じなので、ヨーロッパではローマ帝国の時代にまで遡ることになる。日本でいうと、何々天皇につながるといった感じだろう。

BOOK「フランス史10講」

フランス史10講
柴田三千雄著
(岩波新書:780円+税)
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ふと、「フランス革命って何だったっけ?」と疑問が浮かび、とりあえずこの本を読んでみた。
久しぶりに「ピピン三世」とか「カール大帝」なんていう人名を目にした。大学受験では世界史を選択しなかったし、高校の時以来のことで・・・いくつかの名前をおぼえていただけで、後はちんぷんかんぷんという状態。時代が新しくなると、それなりに知識はあるけど・・・。
でも、世界史を選択しなかったのには訳がある。ヨーロッパ史は西ローマ帝国が滅んだあたりで無茶苦茶になり、嫌気がさすからというのが理由。だから、フランス史なんていうと、「はじめに混沌があった。やがてフランク王国ができた」という感じで、古事記の冒頭のような印象。その後も混沌は続いて・・・テストで赤点さえ取らなければいいやということになる。
それにしても、日本でなぜ、ジャンヌ・ダルクがこんなに有名なんだろう? わたしはたまたま変態高校教師から、シャルル七世が不倫の子という下世話なネタで百年戦争を説明されたせいで、なんとなくジャンヌ・ダルクの印象が濃いんだけど・・・。
で、フランス革命だけど、「市民革命」なんていうきれい事で語られるようなものではないということで、個人的には納得して満足した。

BOOK「古代朝鮮と倭族 神話解読と現地踏査」

古代朝鮮と倭族
神話解読と現地踏査

鳥越憲三郎著
(中公新書:660円+税)
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古代の中国・揚子江下流域に「倭族」という人々が住んでいて、その人たちが朝鮮半島の中・南部と日本に渡ってきたという著者の説に基づいて、朝鮮半島の古代史を考察した本。この倭族が朝鮮半島で辰韓を建て、日本列島に渡って弥生人となったという。つまり、ここでいう「倭族」は、日本列島に元々住んでいた「倭人」とは異なるので、ちょっと紛らわしい。また、いわゆる騎馬民族渡来説とも異なり、この倭族は騎馬民族どころか水稲農耕民族だという。
この倭族の説は、なにかで読んだことがあるような気がするけど、この著者の本を読むのは初めてだし・・・過去に読んだ本を思い起こしてもそれらしい本が思い当たらない。
タイトルが示すとおり、主題は古代朝鮮史なので問題はないのかも知れないけど、後半は倭族の話はぜんぜん出てこなくて、済州島を中心とした歴史が延々と述べられている。で、結局、倭族というのはいったいどうなの?という感じ・・・^^;;

BOOK「オホーツクの古代史」

オホーツクの古代史
菊池俊彦著
(平凡社新書:760円+税)
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仕事の資料としてではないけど、なんとなく興味の流れで読んでみた。
正直なところ、北海道で生まれ育ったけれど、つい先日までオホーツク海を見たことがなかった。当然ながら、印象は薄かった。学校で習う日本史は、縄文・弥生・古墳時代・・・と、畿内や九州を中心としたもので、北海道(蝦夷地)はなかなか出てこない。日本の外交史という面では、中国大陸や朝鮮半島にばかり向いていて、北方民族との交流という視点で描かれる世界観はまったく学ぶ機会がない。
それでも、一応、二十歳まで北海道にいたので、多少はこうした北方民族との交流があったことだけは知っていた。そして先日、網走市にある北海道立北方民族博物館、網走市立郷土博物館に行き、「オホーツク文化」についても知ったばかり。この本を含めて、いろいろと認識を新たにした。たしかに、地図の角度を変えてみると、オホーツク海は日本列島の北の玄関口なんだよな。