BOOK「百舌鳥古墳群をあるく 巨大古墳・全案内」

百舌鳥古墳群をあるく
巨大古墳・全案内
久世仁士著
(創元社:1,800円+税)
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わたしは北海道に生まれたため、身近なところに大和朝廷に連なる古墳がなかった。そのせいか、主に前方後円墳にあこがれがある。
5世紀頃、倭の五王という実在が明確な天皇の巨大な墳墓・・・教科書に載っている存在で、機会があれば見てみたいと、若い頃は思っていた。でも、古墳って、現地に行くとこんもりした小さな森のような感じで、見てもぜんぜん面白くないんだよなぁ^^;; 出土品がある場合は、博物館などの展示施設に置かれていて、古墳とは切り離されているし・・・。
百舌鳥古墳群は、大阪府堺市の北西部4キロ四方に広がる数多くの古墳で、かつてわたしの世代では「仁徳天皇陵」と習った「大山古墳」や、「応神天皇陵」と習った「誉田山古墳」などの巨大前方後円墳から大小様々な古墳が100基以上確認されている。ただし、この内、現存するのは44基。全長100メートルを超える前方後円墳が11基確認されていて、現存するのは9基。
この本は、古墳とはなにかというところから、百舌鳥古墳群の古墳たちの紹介、保護活動などの歴史まで、トータルに解説していて読み応えはあった。Googleアースを見ながら読んでいくと、それだけで満足してしまい、現地に行きたいという気持ちは完全に失せてしまった。

BOOK「1688年 バロックの世界史像」

1688年
バロックの世界史像

John E. Wills Jr.著
ジョン・ウィルズ、別宮貞徳:監修
片柳佐智子、鈴木忠昌、徳植康子、中尾ゆかり:訳
(原書房:2,800円+税)
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出版時、それなりに話題になった本で、世界中の国や都市の1688年時点の姿を並列的に描いたユニークな歴史本。なぜ1688年なのかは不明。大きな事件や出来事は起きていないし、特別な年とも思えないけど・・・読後の推測では、世界の主要な地域が世界史という形で本格的につながりはじめた時代の代表・・・言い換えれば、欧米人に全世界が認識された時代だからだろう。この時期、オランダやイギリスの東インド会社がヨーロッパとアジアを結び、北米西海岸からマニラまでの航路も開かれ、オーストラリアを含む全世界が結ばれていた。
教科書的に地域史をたどっていくのとは全く違う感覚で、いろいろ発見があったりするけど・・・けっこうわかりにい。予備知識がなく、馴染みのない地域の状況を把握するのに一苦労する。
1688年・・・北米では欧米諸国が争うように領土を広げ、アフリカではポルトガル人があらゆる手段を駆使して奴隷をかき集めていた。インドではムガル帝国とイギリスが戦争状態。ロシアが太平洋岸に迫り、清朝との国境が画定されようとしていた。パリではヴェルサイユ宮殿でルイ14世が贅を尽くし、イギリスではニュートンが『プリンピキア』を出版。宗教が影響力を弱め、錬金術から科学が誕生しはじめていた。
1688年は、日本でいうと貞享5年/元禄元年。江戸幕府は犬将軍・徳川綱吉の時代。すでに鎖国状態が完成し、日本は長崎のみで海外とつながっていた。元禄といえば、江戸文化が最初に盛り上がった頃で、当時の金沢・江戸・長崎について触れられている。人口10万人の金沢は、世界の20大都市のひとつに数えられるという。文化面では井原西鶴と松尾芭蕉を取り上げている。他の地域のことはわからないけど、日本に関する記述は、偏見なく描かれていると感じだ。

BOOK「日本海 その深層で起こっていること」

日本海
その深層で起こっていること術

蒲生俊敬著
(講談社ブルーバックス:amazon:929円)
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比較的最近、NHKで日本列島が生まれたメカニズムの最新研究を紹介した番組を見た。2000万年前、ユーラシア大陸の東端に亀裂が入り、少しずつ広がり、やがて日本海となって、今日の日本列島が形成された。だから日本でも、恐竜の化石が発見されるのだという。
この本は、そんな日本海の成り立ちから、海流の動きや海水の性質、気象、歴史や日本人の暮らしとの関わりといった広範な研究成果を紹介している。
著者自身が日本海の調査を行った経験なども交えているけど、その現場の様子なども詳しく紹介してくれれば、より面白い読み物になったように思う。ただ、当時と現在では、調査手法や技術が違うので、詳細は省いたのだろうと思うけど。
さらに、ブルーバックスというレーベルにもかかわらず、科学的な解説に読み応えがない感じがする。海水の垂直方向の熱塩循環についてがメインテーマで、温暖化ガスによる気候変動の予兆が日本海に見られはじめているという警鐘が最も言いたいことというのは理解できるけど。

BOOK「アイヌの歴史 海と宝のノマド」

アイヌの歴史
海と宝のノマド

瀬川拓郎著
(講談社選書メチエ:1,600円+税)
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以前、アイヌについて何冊か本を読んだときに購入して、途中まで読んで放置していた。中断していた理由は特にない。文章も読みやすく、わかりやすい本ではあるけど、途中で飽きてしまったからかも^^;;
この著者のアイヌ研究が学界でどのような位置づけなのか、主流なのか異端なのかもぜんぜん知らないけど、ひとつだけ、わたしのいままでのアイヌ観を覆すことが書かれていた。なんとなく、アイヌ社会は原始共産制のような感じの階級のない社会だったろうと思い込んでいた。農耕社会ではないから、社会的分業も必要がないし、日本的なムラ社会のリーダーも必要がないと思い込んでいたわけだけど・・・この本によると、貧富の差がある階級社会であったらしいとのこと。だからどうということはないけれど。

BOOK「オホーツクの古代史」

オホーツクの古代史
菊池俊彦著
(平凡社新書:760円+税)
※古書を購入

仕事の資料としてではないけど、なんとなく興味の流れで読んでみた。
正直なところ、北海道で生まれ育ったけれど、つい先日までオホーツク海を見たことがなかった。当然ながら、印象は薄かった。学校で習う日本史は、縄文・弥生・古墳時代・・・と、畿内や九州を中心としたもので、北海道(蝦夷地)はなかなか出てこない。日本の外交史という面では、中国大陸や朝鮮半島にばかり向いていて、北方民族との交流という視点で描かれる世界観はまったく学ぶ機会がない。
それでも、一応、二十歳まで北海道にいたので、多少はこうした北方民族との交流があったことだけは知っていた。そして先日、網走市にある北海道立北方民族博物館、網走市立郷土博物館に行き、「オホーツク文化」についても知ったばかり。この本を含めて、いろいろと認識を新たにした。たしかに、地図の角度を変えてみると、オホーツク海は日本列島の北の玄関口なんだよな。

BOOK「京都を古地図で歩く本 平安京から幕末維新まで“歴史の謎解き”めぐり」

京都を古地図で歩く本
平安京から幕末維新まで“歴史の謎解き”めぐり

ロムインターナショナル編
(KAWADE夢文庫:amazon:620円)
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平安京/京都の歴史を解説した本としては、内容に不満はない。とくに幕末期あたりは、詳しく書かれていて読み応えがあった。司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んでいたので、そう言えばと思い描く部分もあり、面白く読んだのだけど・・・。
読んだ・・・というところが問題で、あくまでも歴史解説書にすぎなかった。残念なことに、書名から期待していた古地図があまり掲載されていない。京都は暑いし、有名な観光地は混雑しているし、ホテルも予約しづらいので、実際に行きたいとは思わないけど・・・Googleマップと見比べながら楽しもうという目論見にはほとんど役に立たない本だった。今回はKindle版を購入したので、購入時には気づかなかったけど・・・元々が文庫本というサイズでは、そもそも期待するべきではなかったのかも知れない。

BOOK「箱根関所物語」

箱根関所物語
加藤利之著
(かなしんブックス:874円+税)
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先日、NHKの番組『ブラタモリ』の録画を見て・・・長年わたしが抱いていた箱根の関所のイメージが大きく狂わされたので、ちょっとまともな本を読んでみようと、amazonで古書を購入した。
箱根関所というと、「入り鉄砲」と「出女」を厳しく監視したと思っていたけど、鉄砲に関してはさほど厳しくはなかったらしい。それに対して、大名の母・嫁・子の逃亡を疑わせる、出女はかなり厳重なチェックが行われていたという。
関所が厳格に機能していたことばかりが書かれているけど、江戸時代に何度かあった、お伊勢参りの大ブームのときなど、手形を持たない人ばかりだろうけど・・・どう対応したのだろう? そのあたりのことは、この本ではぜんぜん触れられてもいなかった。ましてや、お伊勢参りに単独で出かける『犬』も、何事もなく通してもらえたのだろうか?
もうひとつ、私にはかねてからひとつ疑問があった。戦国時代の北条氏、そして江戸幕府は、箱根に山城をなぜ立てなかったのか? 関所は入国管理官や警察官のような役割で、ほとんど軍事的な役割を担っていなかった。ならば、軍事施設として砦や出城が築かれてもおかしくないと思う。交通を妨げず、いざという時用の軍事施設がなぜ作られなかったのか・・・この本では判明しなかった。

BOOK「犬の伊勢参り」

犬の伊勢参り
仁科邦男著
(平凡社新書:800円+税)
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一昨年、仕事で香川県の金刀比羅宮に行き、「こんぴら狗」という存在を知った。こんぴらさんにお参りできない人に代わって、お参りするイヌのこと。そんな予備知識があった上で、たまたまamazonでこの本を見つけた。この本によると、お伊勢参りの犬が先で、こんぴら狗はその派生らしい。
江戸時代の抜け参りという一種の爆発的旅行ブームはものすごい。60年周期で数百万人が短期間にお伊勢参りをする。しかも着の身着のまま出かけたような人たちが。そのうち、犬までお伊勢参りに出かけるようになった。さらに、牛や豚まで本当にお参りしていたとは^^;;
こんぴら狗のときは何も考えず受け入れてしまったけど、昔、伊勢神宮は犬を不浄のものとして立ち入り禁止にしていた。にもかかわらず、1771(明和8)年4月、一匹の犬が内宮・外宮に参拝したという記録があり、これが犬の参拝のはじまりだという。飼い主は山城国久世郡(京都府南部あたり)の高田善兵衛だけど、犬の名前は不明。その後、犬の参拝はどんどん増えて、記録もたくさん残されていく。犬自身に信仰心があったわけではないだろうけど、人の善意だけで犬がお参りして無事に帰って来るというのはすごいことだ。しかも、江戸時代の日本の里犬だからこそ、お伊勢参りに出かけられたというのは驚きだし、ある意味ではちょっと笑える^^;;
現代はどうかというと・・・伊勢神宮の公式HPによると、ペットを連れての参拝は禁止されている。犬単独での参拝については、何も書かれていない^^;