BOOK「江戸の遺伝子」

江戸の遺伝子
徳川恒孝著
(PHP文庫:648円+税)
※古書を購入

徳川将軍家の末裔によって書かれた本。
江戸時代の評価が見直されて幾久しいけど、江戸時代について書かれた本を読む度に、そのユニークさとすごさに気づかされる。100年近く内戦で殺し合った後、300年近くも平和で繁栄した時代が続いたこともそうだけど・・・徳川家の政権の取り方、そして政権の放棄のし方が奇跡のようにすごい。しかもその間、植民地を広げる欧米列強とは最小限の付き合いしかしていない。
わたしの世代は、明治政府にはじまる徳川幕府否定の歴史観をベースに、日教組による唯物史観の偏向した歴史を教えられので、尚更そう感じるんだけど・・・でも、徳川将軍家の末裔に、江戸幕府の政策は良かったと手前味噌を重ねられると・・・ちょっとムッとする^^;;
だけど、いちばん驚くことは・・・そもそも、江戸時代が終わってまだ150年しか経っていないんだということ。しかも、その150年の内の3分の1をわたしは生きているわけで・・・。

BOOK「徳川がつくった先進国日本」

徳川がつくった先進国日本
磯田道史著
(文春文庫:520円+税)
※古書を購入

『武士の家計簿』の著者の本。やけに薄くて、活字が大きな文庫本だなというのが第一印象。講演録かなにかかと思ったら、NHKの番組を元に書かれた本だった。でも、活字が大きく読みやすかった。
基本的には、江戸時代を見直そうというノリで書かれているけど・・・「鎖国」「災害」「飢饉」「島原の乱」という江戸時代のエポックを切り口として、江戸幕府がいかに歴史の転換点を乗り越えてきたかを解説している。江戸時代は、260年も平和が続いた特異な時代だけれど、その間、政治経済社会が一様であり続けたわけではない。
戦国時代の終焉としての島原の乱、国防という意味ではロシアの南下への対応。民生への取り組みは天明の飢饉など災害からの復興というように、その時期の大きな課題を乗り越えてきたから、江戸後期の爛熟した社会が成り立ったのだと。現代社会と比べてどうだ、という視点で書かれた本ではないけど・・・正直いって、あまり進歩はしていないように感じるのはなぜだろうか?^^;;

BOOK「物語 財閥の歴史」

物語 財閥の歴史
中野明著
(祥伝社新書:820円+税)
※古書を購入

幕末期から明治期にかけて、日本にはいくつもの財閥が形成されて、いわば、資本の原始的蓄積が行われた。以後、金融恐慌やら戦争やら、財閥はそれぞれ栄枯盛衰の道をたどり、いまでもその名をとどめている財閥はいくつもない。非常に良くまとまった本で、財閥の形成の経緯などは期待以上の内容だった。
でも、やっぱりひとつだけわからないことがある。幕末期の日本は、世界史、あるいはアジア史的にみて、特殊な状況だったんだろうか? 江戸時代まで、日本の産出する金銀は豊富で、それなりに貨幣経済も進んでいたけど、どうしてこうも簡単に資本の集中が起こり、経済の近代化の牽引車となれたのか、ここだけはいまだによくわからない。
もうひとつついでにいえば、どうして日本郵船は三菱のスリーダイヤモンドマークを使っていないのか、これもわからない。こちらは、最初から期待していなかったけれど^^;;

BOOK「道路の日本史 古代駅路から高速道路へ」

道路の日本史
古代駅路から高速道路へ
武部健一著
(中公新書:amazon:799円)
※Kindle版を購入

なぜか、古本がなかなか安くならないので、仕方がなくKindle版を購入した。でも、電子書籍の方が読みやすい。
日本の古代の道路から現代の高速道路まで、各時代のインフラとしての「道」から展開される歴史論とでもいう感じの本。
世界史的にみれば、古代ローマ帝国の道路網や、交易路としてのシルクロードなどと比べても、規模こそ小さいけれど、その機能は全く同じであり、統治の仕組みや租税制度の仕組みなどとも関係して、意外に不来るから日本でも道路網が整備されていたことに驚く。著者が道路の専門家だから仕方がないけど、できれば古代の海路とあわせて解説されているとすごい本だと思うのだが。

BOOK「大田区 古墳ガイドブック 多摩川に流れる古代のロマン」

ohtaku-kofungaido大田区 古墳ガイドブック
多摩川に流れる古代のロマン

大田区立郷土博物館編集
(東京都大田区:200円)

先日、多摩川台公園の古墳展示室で購入した冊子。全76ページで一部のみカラー。
大田区内の古墳についての説明だけでなく、日本史の中の古墳時代を俯瞰的に解説している。前方後円墳の作り方なんていうページは、なかなかユニークで面白いんだけど・・・樹木が生い茂った現代の古墳しか見ていないので、ちょっと実感を持ってイメージするのは難しい。
なかなかコンパクトに良くまとまっている冊子だと思うけど、ただ、この冊子を読んで、ひとつわからなくなったことがある。
この冊子を購入したときに訪れた亀甲山古墳を含む古墳群は、「多摩川台古墳群」だと思っていたけど、この冊子では「荏原(台)古墳群」となっていた。大田区立郷土博物館の展示などでも、荏原台古墳群という表現を見かけたけど、どれが正しいのだろうか?

BOOK「日本海繁盛記」

nihonkaihanjouki日本海繁盛記
高田宏著
(岩波新書:534円+税)
※古書を購入

「北前船」について手軽に読める本と思い、とりあえず古本でこれを買ってみた。
ざっくり言って、大坂から瀬戸内海を通り、下関をまわって日本海を北上し、蝦夷地との交易を行ったのが北前船。江戸時代後半頃から動力船が普及しはじめる明治中期頃まで活躍した。
一応、章立てされた内容にはなっているけど、紀行文的な色彩が強く、その上、やたらと引用が多いのでちょっと読むのが面倒。というか、史料として必要な情報だけをささっと読み取るのには不向きな本だった。おまけに、いろいろな時期を混在させて書いているので、確認しながら読まないと混乱することになる。
まあ、手軽に読める本ではあったけど、良書という感じではなかった。まあ、知りたかったことはほぼ何らかのかたちで触れていたので役には立ったけど・・・。