BOOK「物語 財閥の歴史」

物語 財閥の歴史
中野明著
(祥伝社新書:820円+税)
※古書を購入

幕末期から明治期にかけて、日本にはいくつもの財閥が形成されて、いわば、資本の原始的蓄積が行われた。以後、金融恐慌やら戦争やら、財閥はそれぞれ栄枯盛衰の道をたどり、いまでもその名をとどめている財閥はいくつもない。非常に良くまとまった本で、財閥の形成の経緯などは期待以上の内容だった。
でも、やっぱりひとつだけわからないことがある。幕末期の日本は、世界史、あるいはアジア史的にみて、特殊な状況だったんだろうか? 江戸時代まで、日本の産出する金銀は豊富で、それなりに貨幣経済も進んでいたけど、どうしてこうも簡単に資本の集中が起こり、経済の近代化の牽引車となれたのか、ここだけはいまだによくわからない。
もうひとつついでにいえば、どうして日本郵船は三菱のスリーダイヤモンドマークを使っていないのか、これもわからない。こちらは、最初から期待していなかったけれど^^;;

BOOK「道路の日本史 古代駅路から高速道路へ」

道路の日本史
古代駅路から高速道路へ
武部健一著
(中公新書:amazon:799円)
※Kindle版を購入

なぜか、古本がなかなか安くならないので、仕方がなくKindle版を購入した。でも、電子書籍の方が読みやすい。
日本の古代の道路から現代の高速道路まで、各時代のインフラとしての「道」から展開される歴史論とでもいう感じの本。
世界史的にみれば、古代ローマ帝国の道路網や、交易路としてのシルクロードなどと比べても、規模こそ小さいけれど、その機能は全く同じであり、統治の仕組みや租税制度の仕組みなどとも関係して、意外に不来るから日本でも道路網が整備されていたことに驚く。著者が道路の専門家だから仕方がないけど、できれば古代の海路とあわせて解説されているとすごい本だと思うのだが。

BOOK「大田区 古墳ガイドブック 多摩川に流れる古代のロマン」

ohtaku-kofungaido大田区 古墳ガイドブック
多摩川に流れる古代のロマン

大田区立郷土博物館編集
(東京都大田区:200円)

先日、多摩川台公園の古墳展示室で購入した冊子。全76ページで一部のみカラー。
大田区内の古墳についての説明だけでなく、日本史の中の古墳時代を俯瞰的に解説している。前方後円墳の作り方なんていうページは、なかなかユニークで面白いんだけど・・・樹木が生い茂った現代の古墳しか見ていないので、ちょっと実感を持ってイメージするのは難しい。
なかなかコンパクトに良くまとまっている冊子だと思うけど、ただ、この冊子を読んで、ひとつわからなくなったことがある。
この冊子を購入したときに訪れた亀甲山古墳を含む古墳群は、「多摩川台古墳群」だと思っていたけど、この冊子では「荏原(台)古墳群」となっていた。大田区立郷土博物館の展示などでも、荏原台古墳群という表現を見かけたけど、どれが正しいのだろうか?

BOOK「日本海繁盛記」

nihonkaihanjouki日本海繁盛記
高田宏著
(岩波新書:534円+税)
※古書を購入

「北前船」について手軽に読める本と思い、とりあえず古本でこれを買ってみた。
ざっくり言って、大坂から瀬戸内海を通り、下関をまわって日本海を北上し、蝦夷地との交易を行ったのが北前船。江戸時代後半頃から動力船が普及しはじめる明治中期頃まで活躍した。
一応、章立てされた内容にはなっているけど、紀行文的な色彩が強く、その上、やたらと引用が多いのでちょっと読むのが面倒。というか、史料として必要な情報だけをささっと読み取るのには不向きな本だった。おまけに、いろいろな時期を混在させて書いているので、確認しながら読まないと混乱することになる。
まあ、手軽に読める本ではあったけど、良書という感じではなかった。まあ、知りたかったことはほぼ何らかのかたちで触れていたので役には立ったけど・・・。

BOOK「古代史の謎は「海路」で解ける  卑弥呼や「倭の五王」の海に漕ぎ出す」

kodaishinonazohakairo古代史の謎は「海路」で解ける
卑弥呼や「倭の五王」の海に漕ぎ出す
長野正孝著
(PHP新書:amazon:625円)
※Kindle版を購入

港や船、造船技術や操船技術、そして海路という面から、日本の古代史の謎を解き明かそうという、ちょっとマニアックな本。通常、戦争や権力闘争、呪術的・宗教的な支配、そして中国や朝鮮半島の国際情勢から、この時代を理解しようという方法論が多い中、造船技術、航海術という技術面、そして貿易という面から理解するというのはちょっと新鮮だった。
たとえば、黒曜石のような出土品を、点と点を結ぶようにして「交易が行われていた」と済ましてしまう従来の考察に、この時期の船はこうだからこの地域が栄え、船舶と航海術が変わったから衰退し、変わってこの地域が栄えたという考察は、わかりやすく説得力もあった。
ただ、なんでもかんでも船舶や貿易の面から理解しようというのは無理があるようにも思う。推論が多いのは仕方がないとして、当時の人々があたかも船を作り航海と交易をするためだけに生きていたように書くのは、ちょっと行きすぎかな。

BOOK「伊勢神宮の謎を解く」

isejinguunonazowo-185x300伊勢神宮の謎を解く
アマテラスと天皇の「発明」
武澤秀一著
(ちくま新書:880円+税)
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昨年、式年遷宮が行われ、いろいろ話題になったので、そのうち読もうと、関係書籍を1冊だけ購入しておいた。
かねてから、どうして日本の天皇が長い歴史を通してその存在を維持してきたのかが不思議だった。日本の歴史の中にも・・・他の国であれば、血筋が絶やされ、王朝が交代してもおかしくない歴史的転換点があったはずだけど、なぜか天皇は維持され、日本の国体として存在し続けた。
この辺の謎に答えてくれるのではないかと、サブタイトルに期待したのだけど・・・わかったようなわからないような^^;; いままでこの手の本を数冊読んだはずだけど、あまり目新しい考察もなかった。

BOOK「日本の歴史 本当はなにがすごいのか」

hontouhananigasugoinoka.jpg日本の歴史
本当はなにがすごいのか
田中英道著
(扶桑社:amazon:628円)
※Kindle版を購入

いわゆる「自虐史観」に反対する視点から、日本の歴史を総括的に書き直した感じの本。この視点からの歴史としては、特に目新しい内容はなかった。
基本的には、日本という国が、中国中心、あるいは西洋中心であっても、辺境の未開地であったわけではなく、はるか昔から立派な文明国、独立国として存在し続けてきたのだから、もっと胸を張っていいんだという内容。
これには反論はない。
いま、日本史を高校でも必修科目にしようという動きがあるけど、自虐史観ではなく、こういう歴史を教えて欲しいと思う。