BOOK「繭と生糸の近代史」

繭と生糸の近代史
滝沢秀樹著
(教育社歴史新書:1,000円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
江戸時代に本格化し、明治期に日本の主要産業に発展した日本の生糸生産についての歴史本で、「女工哀史」や「あゝ野麦峠」などに描かれた時代の養蚕と生糸について書かれている。とかく、女工たちの悲惨な労働環境について語られることが多いけど、総合的な視点で幅広く語っている。
生糸の輸出は、明治期の日本にとって外貨獲得の主力だった。ヨーロッパの養蚕がカイコの病害で壊滅したせいもあり、日本の生糸は世界を席巻することになるけど、それを支えていたのはけなげに働く女工たちだった。さらに、機械紡織を進めたところにも、日本人の勤勉さが感じられる。
こういう、生糸に関しての歴史本はたくさん出ているけど、一般向けの技術本は全くといっていいほど出版されていない。いまさらということなんだろうけど・・・。
紡糸・紡織機のような機械は、その後の日本の工業的なものづくりの原点ともいえる存在。動作を見ているだけでも面白いし、飽きが来ない。その点、いまのハイテク製品はいまひとつ面白みに欠けるよなぁ。

BOOK「講座・日本技術の社会史 第三巻 紡織」

講座・日本技術の社会史 第三巻
紡織

編集委員:甘粕健、網野善彦、石井進、黒田日出男、田辺昭三、玉井哲雄、永原慶二、山口啓二、吉田孝
(日本評論社:2,900円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
なかなか手ごろな本が見つからず、いろいろ探したあげく、ようやくこの本に行き当たった。繊維産業は、かつて日本の花形産業で、明治期以降、外貨をたくさん稼ぎ出していたにもかかわらず、いまではまともな出版物を探すのに苦労するとは・・・。
この本は、先史時代からの日本の製糸、織物について解説していて、すごい本であることに間違いはないんだけど・・・わたしが必要とした情報は近代の製糸・紡績についてなので、後半3分の1くらいしかページが割かれていなかった。この本は近代の機械制紡糸・紡績への移行まで。大正・昭和期についてはまったく触れられていない。しかも、残念ながら、この本のシリーズでは紡織に関する続巻はない。
戦後の化学繊維の時代の資料を別途探さないといけないかも知れない・・・。
巻末の「特論」の「日本の織機」の項が、意外に役に立った。

BOOK「犬の伊勢参り」

犬の伊勢参り
仁科邦男著
(平凡社新書:800円+税)
※古書を購入

一昨年、仕事で香川県の金刀比羅宮に行き、「こんぴら狗」という存在を知った。こんぴらさんにお参りできない人に代わって、お参りするイヌのこと。そんな予備知識があった上で、たまたまamazonでこの本を見つけた。この本によると、お伊勢参りの犬が先で、こんぴら狗はその派生らしい。
江戸時代の抜け参りという一種の爆発的旅行ブームはものすごい。60年周期で数百万人が短期間にお伊勢参りをする。しかも着の身着のまま出かけたような人たちが。そのうち、犬までお伊勢参りに出かけるようになった。さらに、牛や豚まで本当にお参りしていたとは^^;;
こんぴら狗のときは何も考えず受け入れてしまったけど、昔、伊勢神宮は犬を不浄のものとして立ち入り禁止にしていた。にもかかわらず、1771(明和8)年4月、一匹の犬が内宮・外宮に参拝したという記録があり、これが犬の参拝のはじまりだという。飼い主は山城国久世郡(京都府南部あたり)の高田善兵衛だけど、犬の名前は不明。その後、犬の参拝はどんどん増えて、記録もたくさん残されていく。犬自身に信仰心があったわけではないだろうけど、人の善意だけで犬がお参りして無事に帰って来るというのはすごいことだ。しかも、江戸時代の日本の里犬だからこそ、お伊勢参りに出かけられたというのは驚きだし、ある意味ではちょっと笑える^^;;
現代はどうかというと・・・伊勢神宮の公式HPによると、ペットを連れての参拝は禁止されている。犬単独での参拝については、何も書かれていない^^;

BOOK「簡易ガス事業10年の歩み」

簡易ガス事業10年の歩み
出版元 社団法人日本簡易ガス協会

仕事の関係でお借りしたので、なんとなく通読した。定価が付いていないし、書籍コードもないので、たぶん、市販された本ではないと思う。
簡易ガスは、一定のエリアを地下埋設導管でガスを供給する、コンパクトな都市ガスのような供給方式のこと。ただし、ここで供給されるガスは、LPガス(プロパンガス)あることが多く、供給エリアの一角に小規模なガスタンクなど供給施設を設置している。ここにバルク車で定期的に補給されるため、各家庭にガスシリンダーが配達・設置されることはない。普及していないようだけど、最近は『コミュニティガス』なる呼び名もある。
ひと言でいってしまえば、超小型の都市ガスのようなもの。都市ガスが届いていないエリアで、新築団地造成が進んだ高度成長期に、現実に見合った供給方式として各所に普及した。仕事の関係で、ざっくりとこのくらいのことは知っていたけど、その初期の歴史がまとめられている。
少子高齢化の世の中、今後、都市ガスが通っていない郊外に大きな宅地開発が行われることも希だろうし、それどころか、簡易ガス団地にオール電化が入り込み、高齢者がいなくなり、歯抜けのように顧客が減っていく・・・。簡易ガスの未来は明るくはないけど・・・高齢化が本気で進んで、「コンパクトシティ」のような地方都市や集落が増えれば、思わぬ活躍の場が出てくるかもしれない・・・。

BOOK「物語 財閥の歴史」

物語 財閥の歴史
中野明著
(祥伝社新書:820円+税)
※古書を購入

幕末期から明治期にかけて、日本にはいくつもの財閥が形成されて、いわば、資本の原始的蓄積が行われた。以後、金融恐慌やら戦争やら、財閥はそれぞれ栄枯盛衰の道をたどり、いまでもその名をとどめている財閥はいくつもない。非常に良くまとまった本で、財閥の形成の経緯などは期待以上の内容だった。
でも、やっぱりひとつだけわからないことがある。幕末期の日本は、世界史、あるいはアジア史的にみて、特殊な状況だったんだろうか? 江戸時代まで、日本の産出する金銀は豊富で、それなりに貨幣経済も進んでいたけど、どうしてこうも簡単に資本の集中が起こり、経済の近代化の牽引車となれたのか、ここだけはいまだによくわからない。
もうひとつついでにいえば、どうして日本郵船は三菱のスリーダイヤモンドマークを使っていないのか、これもわからない。こちらは、最初から期待していなかったけれど^^;;

BOOK「道路の日本史 古代駅路から高速道路へ」

道路の日本史
古代駅路から高速道路へ
武部健一著
(中公新書:amazon:799円)
※Kindle版を購入

なぜか、古本がなかなか安くならないので、仕方がなくKindle版を購入した。でも、電子書籍の方が読みやすい。
日本の古代の道路から現代の高速道路まで、各時代のインフラとしての「道」から展開される歴史論とでもいう感じの本。
世界史的にみれば、古代ローマ帝国の道路網や、交易路としてのシルクロードなどと比べても、規模こそ小さいけれど、その機能は全く同じであり、統治の仕組みや租税制度の仕組みなどとも関係して、意外に不来るから日本でも道路網が整備されていたことに驚く。著者が道路の専門家だから仕方がないけど、できれば古代の海路とあわせて解説されているとすごい本だと思うのだが。

BOOK「女学校と女学生 教養・たしなみ・モダン文化」

jogakkoutojogakusei女学校と女学生
教養・たしなみ・モダン文化

稲垣恭子著
(中公新書:780円+税)
※古書を購入

むかしのことだけど、「はいからさんが通る」という少女マンガがあり、アニメ化、ドラマ化もされて、けっこう話題となった。わたしはアニメしか見たことがないけど、女学生たちのセンスが現代となんら変わりがないので、単に時代設定を大正時代にしただけのラブコメだと思っていた。
で、たまたまこの本を読み、ふと思った。明治後半に女学校ができ、そのご女学生が生みだしてきた文化って、現代の女子高生文化となんら変わりがない。習い事が部活やサークル活動に変わり、文学趣味が腐女子になり、流行語のような隠語を用い、人気のファッションやスイーツを追い求める。かつての「良妻賢母主義」こそ廃れてしまったけど、今の学校教育は求める生徒像は意外と変わっていないような気がする。
戦後になり、女子の大学進学率が上がりはじめた頃、盛んに「女子大生亡国論」などが唱えられたけど、いまや男女平等・女性の社会進出を進めていかないと、にっちもさっちもいかない世の中になってしまった^^;;
まあ、それに比べて、男子学生はいつの世もパッとしないな^^;;