MOOK「イカロスMOOK 鉄道連絡船のいた20世紀」

イカロスMOOK
鉄道連絡船のいた20世紀

(イカロス出版:2,190円+税)
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以前、青函連絡船について調べたとき、戦前、北海道と南樺太を結んでいた航路があることを知った。気にはなったけど、ずっと放置していたけど、たまに利用する古本屋で、偶然このムックを見つけて思い出した。
青函、宇高、関釜、稚泊の四大連絡船について紹介しているので、稚泊連絡船について、余り多くのページは割かれていなかった。でも、一通りのことは書かれていたし、個人的な興味は満たされた。
最初は小樽と樺太の大泊の間を定期航路でつないでいたけど、稚内まで鉄道が開通すると、すぐに連絡船が開通した。さらにその後、稚内駅から港まで3kmほど鉄道が延ばされた。それだけ需要があったのだろう。
日露戦争で獲得した南樺太を、日本がどう経営していたのか、その一端が垣間見れて面白かった。
この「イカロスMOOK」シリーズ、前に航空機のムックを手にしたことがあるけど、なかなか興味深いラインナップを揃えているようだ。

BOOK「千利休 切腹と晩年の真実」

千利休
切腹と晩年の真実

中村修也著
(朝日新書:amazon:648円)
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中学時代から茶道を習っていて、学生時代は茶道関係の本をいろいろ読んだ。いつも気になったのは、狂信的なまでの千利休崇拝。そして、いま現在の家元制度の都合に合わせた曲解。利休が美化されまくり、三千家の正当性を後付けしようと、明らかに歴史と合わないことも多々あった。
さらに、利休との対比で、秀吉は華美で醜悪とする盲目的な歴史感にも辟易した。わたしは・・・何の根拠もないけど、利休と秀吉は仲良くお茶を楽しんでいたのだと思っている。
ところが、時代は進んで凄い本が出ていた。「わび茶」の起源は利休ではない、さらには利休の切腹すら否定している。
まだ定説として認定されていないので、歴史の教科書が書き換えられるのは先だろうけど・・・ほぼすべて納得できる内容だった。お陰で、ン十年の胸のつかえが取れた気がする。

BOOK「トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち」

トラクターの世界史
人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち

藤原辰史著
(中公新書:860円+税)
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1892年にアメリカで発明されたトラクター。アメリカのように広大な土地のある国であれば、一大革命なのだろうと漠然と思っていた。
スタインベックの『怒りのぶどう』は高校時代に読んだけど、この本で紹介された内容は、ぜんぜん記憶がない。トラクターによる大規模な耕作地拡大が、大地の荒廃を招き、世界恐慌の引き金になったとか、ファシズムの遠因になったというのは・・・なくはないだろうけど、こじつけめいているようにも思う。
ただ、トラクターと戦車は双子のような存在という指摘は、目から鱗だった。いままで、日本の小型トラクターをイメージしていたので、そういう技術的な視点に気がつかなかった。まあ、軍事転用は仕方がないことだとは思う。逆を言えば、GPSやAIによる自動耕作なんかは、軍事技術の民生転用なんだし・・・。

BOOK「日本の空のパイオニアたち 明治・大正18年間の航空開拓史」

日本の空のパイオニアたち
明治・大正18年間の航空開拓史

荒山彰久著
(早稲田大学出版部:2,800円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
江戸時代に空を飛ぶことを夢みた浮田幸吉にはじまり、気球による飛行、日本初の動力機飛行の成功、所沢飛行場の開設、国産飛行機の開発と進化。各地で開催された航空ショー。さらには旧日本軍航空隊の設立、航空母艦「赤城」「加賀」の進水・・・。という流れで、わずか18年という短期間で航空機が発達し、民間では郵便飛行会社が設立され、軍事利用もはじまった。
バロン滋野・・・そういえば、こういう人がいたなと・・・。子どもの頃、なにかで読んで名前だけが憶えていたけど、ようやくどういう人なのかがわかった。
寺田寅彦という物理学者・・・どこにでも顔を出すけど、この分野でも出てくるとは。しかも、事故調査という面で存在感があるというのも、なんとなく寺田寅彦らしいという感じがする。
この本は大正期で終わっている。その理由はよくわからないけど、航空史的な意味で何らかの区切りがあったわけではないようだ。この後、日本の航空技術は世界のトップレベルに到達するけど、同時に軍事色が強まり、時代も戦争一色になっていく。

BOOK「ミス・ビードル、高くゆっくりとまっすぐに翔べ 太平洋無着陸横断飛行に挑戦した男たちの記録」

ミス・ビードル、高くゆっくりとまっすぐに翔べ
太平洋無着陸横断飛行に挑戦した男たちの記録

伊藤功一著
(グリーンアロー出版社:1,905円+税)
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先日、青森県三沢市にある「青森県立三沢航空科学館」を見学した。展示の目玉のひとつである「ミス・ビードル号」の復元模型。1931年、青森県三沢市の淋代海岸を離陸したクライド・パングボーンとヒュー・ハーンドンの乗ったミス・ビードル号は、アメリカ本土までの最初の太平洋無着陸飛行に成功した。その後、お礼にアメリカからデリシャス林檎の苗木が贈られ、これを元に品種改良が行われて今日のリンゴ王国青森が築かれた・・・。
大西洋無着陸横断に比べて、圧倒的に認知度が低い。当時の世相なんかもからんで、いろいろ複雑ではあるけど、基本的にはなかなか良い話なんだけどなぁ・・・。
この解説パネルを読んでいて、ふと思い出したことがある。
これって、むかし、学校で習ったことがある! 小学校時代のことのような気もするし、中学か高校での英語の教科書に載っていたような気もする・・・はっきりしない。ネットで調べても情報がない。それでこの本を読んでみたわけだけど、当然ながら、この疑問には解答が得られなかった。
それでも、巻末の「参考文献など」に、『標準国語 六年上』(教育出版株式会社)という教科書の「太平洋をわたった五つのりんご」という文章の名前があげられていた。ここでは「昭和48年」となっているけど、出版社のHPでは「昭和49年度版」にこの文章がある。時期が合わないので、この教科書をわたしが使ったことはない。

BOOK「百舌鳥古墳群をあるく 巨大古墳・全案内」

百舌鳥古墳群をあるく
巨大古墳・全案内
久世仁士著
(創元社:1,800円+税)
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わたしは北海道に生まれたため、身近なところに大和朝廷に連なる古墳がなかった。そのせいか、主に前方後円墳にあこがれがある。
5世紀頃、倭の五王という実在が明確な天皇の巨大な墳墓・・・教科書に載っている存在で、機会があれば見てみたいと、若い頃は思っていた。でも、古墳って、現地に行くとこんもりした小さな森のような感じで、見てもぜんぜん面白くないんだよなぁ^^;; 出土品がある場合は、博物館などの展示施設に置かれていて、古墳とは切り離されているし・・・。
百舌鳥古墳群は、大阪府堺市の北西部4キロ四方に広がる数多くの古墳で、かつてわたしの世代では「仁徳天皇陵」と習った「大山古墳」や、「応神天皇陵」と習った「誉田山古墳」などの巨大前方後円墳から大小様々な古墳が100基以上確認されている。ただし、この内、現存するのは44基。全長100メートルを超える前方後円墳が11基確認されていて、現存するのは9基。
この本は、古墳とはなにかというところから、百舌鳥古墳群の古墳たちの紹介、保護活動などの歴史まで、トータルに解説していて読み応えはあった。Googleアースを見ながら読んでいくと、それだけで満足してしまい、現地に行きたいという気持ちは完全に失せてしまった。

BOOK「幕末武士の京都グルメ日記 「伊庭八郎征西日記」を読む」

幕末武士の京都グルメ日記
「伊庭八郎征西日記」を読む

山村竜也著
(幻冬舎新書:780円+税)
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江戸時代の出版事情はなかなかのもので、いまのミシュランガイドのようなグルメ番付がいくつも出版されていた。しかも、江戸版、京都版、大阪版、東海道版といったエリアガイドが作られていた。それだけ外食産業が栄えていたということでもある。
そういう事情は知っていたけど、気になったのは「伊庭八郎」という人物。五稜郭で討ち死にした伊庭八郎と「グルメ」という単語が結びつかなかった。伊庭八郎は幕末の幕臣で、後に五稜郭で最期を遂げた、ということしか知らなかったわけだけど・・・。その数年前、将軍徳川家茂の京都上洛に従ったときの日記が「征西日記」。家茂の時代だから、風雲急を告げるという感じでまだ緊迫してはいなかっただろうけど、伊庭八郎、京都で食べ歩き三昧。
いま、伊庭八郎が生きていてスマホを持っていたなら、SNSでグルメ写真をアップし続けるんだろうな、戦場で自撮りしたりするんだろうななどと、おかしな想像をしてしまうけど・・・あながちあり得ない話ではないだろう。