BOOK「大英博物館展 100のモノが語る世界の歴史」図録

東京都美術館(2015年6月)と神戸市立博物館(2015年9月)で観た企画展の図録。たまたま古本屋で見つけ、安かったので購入した。新品同様の美品で、600円(税込)は買い得だった。
上野でも神戸でも、どちらも混雑していて、じっくり展示を見る余裕すらなかった。2回観たので、計40点くらいに絞り込んで、気になるものだけ順番待ちをして観たはずだけど、改めて図録を見ると、意外にもよく憶えていることに驚いた。やっぱり、実物を直に見るときの印象は強いらしい。
当日スルーしてしまった品々も改めて確認すると、スルーした理由まで思い出せた。日本人であるわたしには、やはり西洋の歴史や文化に馴染みが薄く、厳選されたであろう100点の中でピンとこないものがけっこうある。図録を読むと、その展示品にどういう歴史を語らせたかったのかが解り、なるほどなとは思う。それでもやっぱり、その展示品から感じる存在感なんかは、ヨーロッパ人のそれとは違うのだろう。こればかりは文化的背景が違うのだから仕方がない。
日本から選ばれたのは「縄文土器」。世界最古の土器文化だから、これは納得がいく。他にはないのかという気もするけど、ありそうでいて意外にない。ユーラシア大陸の端っこで、あまり世界との関わりが少ないのは確かだし・・・。
それにしても、大英博物館、行ってみたいなぁ。1週間くらい通って、じっくり見たいものだが・・・。

BOOK「天文の世界史」

天文の世界史
廣瀬匠著
(集英社インターナショナル新書:amazon:734円)
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人間と天体との関係、地球と星々との関係を、大まかな天文学の発展に合わせた流れで・・・太陽・月・地球、惑星と太陽系、星座と恒星、流星・彗星・超新星、天の川・星雲星団・銀河、宇宙観という対象の広がりに応じて、各項目の歴史的解説を行っている。その当時の天文学者が何を知りたかったのか、何をどう認識していたかという視点で、天文学の流れを伝えている。
古代エジプト・古代インドでは・・・などといわれても、あまりピンとこないけれど・・・政治や宗教、農業などにとって、天文学は密接なものだった。でも、科学が進歩するにつれ、どんどん遠い存在になっていくのを実感した。先端科学の常として、宇宙がブラックボックス化してしまったともいえる。まあ、東京に暮らしていると、夜空を見上げる機会もないし、そもそも星がほとんど見えないからなぁ。
個人的には閏年が気になった。現在のグレゴリオ暦では、一年は365日。ただし、4の倍数の年は閏年として366日。その上で、100の倍数の年は閏年としないけど、400の倍数の年は閏年にする。100年単位での特例だから、わたしの一生の中では西暦2000年が該当したけど・・・400の倍数だから普通に閏年だった。次の例外は2100年・・・わたしはとっくに死んでいいるだろう。

BOOK「大英博物館の話」

大英博物館の話
出口保夫著
(中公文庫:740円+税)
※古書を購入

残念ながら、大英博物館には行ったことがない。でも、日本で開催された持ち出し展は何度か見たことがある。で、個人的にはこの大英博物館と大英自然史博物館にだけは、死ぬまでに一度行ってみたいと思っている。
大英博物館は、長い歴史の中で、大英帝国の勢力の届く範囲で無数の文化財を収集してきた。あるものはコレクションとして寄贈され、あるものは財力に任せて買いあさったりして。当然、植民地化していた中東・インド・中国から、東洋文化の粋を集めている。同時に、日英同盟以来のつながりがあり、敗戦と同時に日本に乗り込んできたイギリス調査隊も、日本文化の逸品を多数集めていった。覇権を極めたという世界史的な動きに乗っている部分もあるけど、やはり、日本の博物館などに比べて根本的な本気度が違うように思う。
大英博物館は途中、大英自然史博物館が分離ししたので、いわば姉妹館の関係。大英博物館最初のコレクションは自然史博物館に移動したから、自然史博物館の方が姉ということかも知れない。
そういえば、昨年春、国立科学博物館で開催された特別展「大英自然史博物館展」の会場で、このふたつの博物館の違いに気づかず来場していた人をけっこう見かけた。大英博物館のつもりで見に来たら、予想と違っていたという・・・^^;

BOOK「江戸の旅文化」

江戸の旅文化
神崎宣武著
(岩波新書:780円+税)
※古書を購入

お伊勢参りについて書かれた本は何冊か読んだことがあり、江戸時代の旅行ブームについてはそれなりに読み知っている。でも、お伊勢参り以外の旅はどうだったのだろうと、この本を読んでみたけど、この本も前半はお伊勢参りについて書かれていた。江戸時代の出版物や浮世絵など、資料が豊富だから仕方がないだろうけど。
後半は大山詣、富士登拝、善光寺や厳島神社といった寺社詣について、そして湯治について書かれていた。なぜか金比羅参りは扱われていない。霊場の巡礼も取り上げられていなかったけど、基本的には同じようなものだったのだろう。
講をつくって代表者を行かせたり、代参させたりしていたくらいだから、誰でも気軽に旅に出られたわけではないだろうけど、日本中にたくさんの霊場や寺社があるわけで・・・江戸の人間はちゃんと働いていたのかと心配になる。いちばん自由に出歩けなかったのは、武士と花魁だろうから、役人と夜の花たちは一生懸命に働いていたのだろうけど^^;;

BOOK「繭と生糸の近代史」

繭と生糸の近代史
滝沢秀樹著
(教育社歴史新書:1,000円+税)
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仕事の資料として読んだ本。
江戸時代に本格化し、明治期に日本の主要産業に発展した日本の生糸生産についての歴史本で、「女工哀史」や「あゝ野麦峠」などに描かれた時代の養蚕と生糸について書かれている。とかく、女工たちの悲惨な労働環境について語られることが多いけど、総合的な視点で幅広く語っている。
生糸の輸出は、明治期の日本にとって外貨獲得の主力だった。ヨーロッパの養蚕がカイコの病害で壊滅したせいもあり、日本の生糸は世界を席巻することになるけど、それを支えていたのはけなげに働く女工たちだった。さらに、機械紡織を進めたところにも、日本人の勤勉さが感じられる。
こういう、生糸に関しての歴史本はたくさん出ているけど、一般向けの技術本は全くといっていいほど出版されていない。いまさらということなんだろうけど・・・。
紡糸・紡織機のような機械は、その後の日本の工業的なものづくりの原点ともいえる存在。動作を見ているだけでも面白いし、飽きが来ない。その点、いまのハイテク製品はいまひとつ面白みに欠けるよなぁ。

BOOK「講座・日本技術の社会史 第三巻 紡織」

講座・日本技術の社会史 第三巻
紡織

編集委員:甘粕健、網野善彦、石井進、黒田日出男、田辺昭三、玉井哲雄、永原慶二、山口啓二、吉田孝
(日本評論社:2,900円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
なかなか手ごろな本が見つからず、いろいろ探したあげく、ようやくこの本に行き当たった。繊維産業は、かつて日本の花形産業で、明治期以降、外貨をたくさん稼ぎ出していたにもかかわらず、いまではまともな出版物を探すのに苦労するとは・・・。
この本は、先史時代からの日本の製糸、織物について解説していて、すごい本であることに間違いはないんだけど・・・わたしが必要とした情報は近代の製糸・紡績についてなので、後半3分の1くらいしかページが割かれていなかった。この本は近代の機械制紡糸・紡績への移行まで。大正・昭和期についてはまったく触れられていない。しかも、残念ながら、この本のシリーズでは紡織に関する続巻はない。
戦後の化学繊維の時代の資料を別途探さないといけないかも知れない・・・。
巻末の「特論」の「日本の織機」の項が、意外に役に立った。