BOOK「リチウムイオン電池が未来を拓く」

リチウムイオン電池が未来を拓く
発明者・吉野彰が語る開発秘話
吉野彰著
(CMC出版:1,000円+税)

ノーベル化学賞を受賞した吉野彰先生の本。
リチウムイオン電池は、スマホをはじめ身近なところでいろいろ使われていて、まさに世の中を変えた技術のひとつだと思う。むかし、ウォークマンを持ち歩いて外で音楽を聴く習慣はなかったけど、仕事で録音機能は頻繁に使っていたので、廃棄する使用済み電池は中々の量があった。最近ではテレビやエアコンのリモコンの電池交換くらいで、めったに電池を廃棄することがなくなった。それも吉野先生のお陰。
この本では、リチウムイオン電池の原理や開発に関することだけでなく、技術革新によって世の中がどう変わるか、今後どうなっていくかなど、吉野先生の考えがいろいろ述べられている。先日読んだ、『NHKカルチャーラジオ 科学と人間 電池が起こすエネルギー革命』とほぼ同じような内容だった。

MOOK「NHKカルチャーラジオ 科学と人間 吉野彰 電池が起こすエネルギー革命」

NHKカルチャーラジオ 科学と人間
吉野彰
電池が起こすエネルギー革命

吉野彰著
(NHK出版:985円+税)

NHKのラジオ第2放送のコンテンツ「カルチャーラジオ 科学と人間」シリーズをテキスト化した書籍。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰先生のテキストを読んだ。
全13回の放送で、最初の数回は「電池の仕組み」や「電池の歴史」といった入門編。次いで、リチウムイオン電池の開発秘話など、吉野先生の研究開発、商品化に関わるお話。最後はリチウムイオン電池が世の中に与えた影響、今後の社会にどう貢献していくかなどの総括という構成。
ラジオ番組のテキストなので、ラジオにはない図解があったりして平易にわかりやすく、なにより読みやすい。マスコミの報道は研究開発での業績が中心で、商品の実用化、商品化への動きはあまり触れられていなかったけど、企業人としての側面にも触れられていて興味深かった。

BOOK「「香り」の科学 匂いの正体からその効能まで」

「香り」の科学
匂いの正体からその効能まで

平山令明著
(講談社ブルーバックス:1,000円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
他にも入門書などを読んだけど、文化的な側面にも触れられているし、目次的には入門書とほとんど変わりがない。ただ、ブルーバックスなので、やっぱり出てくるのがカメの甲羅^^;; やたらと分子構造式なんかが出てくる。読み飛ばしてもぜんぜん問題はないけれど、やはり取っつきにくい印象がある。
香り、嗅覚に限らず、五感に関することは、文字では伝えようがないので・・・シトラス系だ、バルサミック系だといわれても、例示されたものを自分の経験の中から想像するしかない。果たして正しくイメージできたのか、それすらわからない。分子構造を示されてもなんらイメージできない。このへんが難しいところだ。
そういえば、電子メディアに対抗する印刷技術として、ニオイのする印刷という技術があったけど、一度としてお目に掛かったことがない。こういう分野の本にこそ使うべきだと思うのだが・・・。

BOOK「原発とプルトニウム パンドラの箱を開けてしまった科学者たち」

原発とプルトニウム
パンドラの箱を開けてしまった科学者たち

常石敬一著
(PHPサイエンス・ワールド新書:840円+税)
※古書を購入

この本の大半はサブタイトル通りに、レントゲンによるX線の発見から原爆製造のためのプルトニウム生成までの研究史をたどっている。放射線が発見されてから、マンハッタン計画で軍事利用される中で、様々な科学者の業績や活動が紹介されている。その上で、原子力の「平和利用」としての原発。そして、原発から日々生み出されるプルトニウムの問題をとりあげている。
原発に関する話としては、沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)についての説明がわかりやすい。東日本と西日本で棲み分けがあることははじめて知った。
著者の問題提起は、自然界にはほとんど存在しないプルトニウムという猛毒の放射性元素を、これ以上増やしてはいけないということ。日本の「核燃料サイクル」の愚かしさを問題視している。すでに核燃料サイクルは破綻しているのだから、さっさと止めてしまえばいいのだけど・・・その先どうするかというところがはっきりしない。トイレのない住宅どころか、出口すらないという印象だ。

BOOK「香りの世界をさぐる」

香りの世界をさぐる
中村祥二著
(朝日選書:1,029円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
資生堂の製品研究所香料研究部長を勤めていた著者の本なので、天然の香料から人工香料まで「フレグランス」について解説している。食品に使われる「フレーバー」には触れていないけど、においの文化的側面も広く解説している。
エッセイ的な文章ながら、読んでいて化学のかおりがしてくるので、それなりに難解な部分も多い。こういう、サラッと読ませようとする文章は、資料として読むときには要注意。エッセイだと思って読み流してしまうと、肝心な部分を読み飛ばしてしまう。
個人的には、「ノート」に関する部分が興味を引いた。日本の香道が和歌や漢詩などにイメージを遊ばせるのに対し・・・西洋の科学的なアプローチとの違いを感じさせられた。

BOOK「トコトンやさしいにおいとかおりの本」

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいにおいとかおりの本

倉橋隆、光田恵、福井寛著
(日刊工業新聞社:1,400円+税)
※古書を購入

とりあえずの入門書として購入。古本を買ったけど、なかなかの古本臭がする。
定番の入門シリーズなので、嗅覚のしくみから香料の種類、応用分野、消臭、評価と分析方法といった一通りのことは説明している。においは身近なもので、特に日本人はにおいに敏感というか、過敏なところがあるので、必要以上に香料や消臭剤が使われ、時に辟易することもある。
過剰な香料や消臭剤に弱いわたしは、逆に気分が悪くなることがあるので参る。本来、心地よい環境を求めての香料か消臭剤、美味しさを求めての香料であるはずなのに、香料で体調を崩すのは本末転倒なんだけど・・・そういう理由で、わたしはオシャレな若い女性が苦手だ^^;; 幸いにも、というか残念なことに、その手の女性に言い寄られるようなタイプの人間ではないので助かっているけど・・・。

BOOK「有害化学物質の話 農薬からプラスチックまで」

有害化学物質の話
農薬からプラスチックまで

井田徹治著
(PHPサイエンス・ワールド新書:940円+税)
※古書を購入

最近、プラスチックゴミによる海洋汚染が問題になり、世界中のマスコミでキャンペーンが行われているらしい。欧米の何らかの筋の利権争いという感じもするけど・・・今後、サンマのはらわたは食べられなくなるような気もする。そのプラスチックゴミ問題を含む、化学物質全般による環境汚染と健康被害についての本。といっても、主役はダイオキシン類とPCB。他にもDDTや、TBTなんかが出てくるけど、これといって、特に目新しい情報もなかった。
戦後の日本では、一時期、科学に対する信仰がすごかった時期があり、PCB汚染などは今なお濃厚なのではないかと思うけど・・・こういう話になると、どの本を読んでもよくわからない。タバコの副流煙が原因で、日本国内だけでも年間1万人が死んでいるという説などは大手をふるってまかり通っているけど、DDTやPCB、そしてダイオキシン類の残留汚染で何人死んでいるのかなど、ぜんぜん聞いたことすらないんだよな・・・。それどころか、日本では「ダイオキシンの毒性なんて気にするほどではない」なんていう風潮すらあるわけで・・・。
この本のまとめ部分もそうだけど・・・「子どもたちにきれいな環境を残そう」という考えには賛同する人が多いだろう。でも、こういう一文を読むといつも思うんだけど、実際には、次の世代のことなんて誰も考えていないんじゃないかと。せいぜい、タバコというスケープゴートを叩いて、意識が高い人間の振りをするのが精一杯ということなのだろう。