BOOK「世阿弥の世界」

世阿弥の世界
増田正造 著
(集英社新書:760円+税)
※古書を購入

『能』という日本の伝統的演劇を完成させた世阿弥の世界を解説した本。新書なので入門書のつもりで読んだけど、なかなかヘヴィな内容だった。
世阿弥といえば、「風姿花伝」。なにをどう表現しているか、表現する側の視点での解説が多い中、この本の著者は数多くの鑑賞経験があり、表現の受け手である観客の視点でも語っているところがヘヴィ。なにせ、わたしは数回しか見たことがないわけで・・・^^;;
この手の本の多くは、世阿弥をとにかく持ち上げてすごいすごいと大合唱するものが多く、やれ、シェークスピアより200年もはやく、独自の演劇を完成させたと小躍りしているようなものばかりだ。でも、そこには観客の視点がない。表現形式、様式美は、勝手に発信するだけでなく、観客に正しく受け止められてこそ演劇という空間がはじめて成り立つ。だから、本当にすごいのは、シェークスピアの200年前にそういうレベルの観客がたくさんいたという、この事実がすごいのだと思う。