BOOK「彼女はとても溶けやすい」

彼女はとても溶けやすい
丸山英人著
イラスト:REI
(電撃文庫:570円+税)
※古書を購入

ラノベでは、希に衝撃的な問題作が出版されることがある。ヒロインが「ざるそば」で、登場人物がみんな麺類だとか・・・。ヒロインが溶ける?・・・これもそうした問題作のひとつかと思って読んでみることにした。
存在感の薄い高校生・久田深弥。母親が出産後に退院するとき、赤ん坊を忘れていったというくらい存在感が薄い。というか、この母親を主人公にした方が面白そうなんだけど・・・。対して、圧倒的な存在感で目立ちながらも、人と交わろうとしないクラスメイト・重栖かなた。ある日、深弥はかなたの重大な秘密を目撃してしまう。
かなたはふつうの人より融点が低く、体温が上がると溶けるように身体が柔らかくなってしまう・・・という秘密。しかも人見知りの赤面症。ことあるごとにカッと体温が上がってしまう。そんなかなたを付きっきりで守る沖島さんの提案で、深弥はかなたの体質改善と手伝うことになった。活動拠点は化学準備室。自分たちしか部員のいない部活で、学校内にプライベート空間を持っている。まあ、設定はよくあるタイプのお話で・・・とても、問題作といわれるような要素はなにもなかった。
でも、重栖かなたが溶けるのはなぜか? 重栖かなたは本当に人間なのか? 重栖かなたの体質は治るのか? なにひとつ説明されていない点、あるいは、主人公がこれらの点に一度も疑問を抱いていないあたりは、確かに問題作といえるかも知れない。