BOOK「菜の花の沖(二)」

菜の花の沖(二)
司馬遼太郎著
(文春文庫:552円+税)
※古書を購入

樽廻船に知工となり、ぎりぎり食べていけるようになった嘉兵衛。家を借り、おふさが子を産んだ。船乗りとしての実力も付いてきたけど、立場かスッキリしない。いまでいうところのフリーランスのような感じ。現代的な雇用のない時代だから、比較にはならないだろうけど。
嘉兵衛の当面の目標は、自分の船を手に入れるための資金稼ぎ。まずは北風荘右衛門の手配で、新宮から江戸まで冬の海を材木の筏で航海・・・名を上げるための冒険。帰りは荘右衛門が所有していた薬師丸(五百石)を手に入れ、さらにサトニラさんから長慶丸(三百石)を手に入れ、意外とあっさり船持ちになった。
株仲間というのは学校で習ったけど、この時代、商業資本がどう蓄積されてきたかなど、学校では教えてくれなかったことも多い。そして、郷里の人的つながりの強さには驚く。嘉兵衛は郷里で村八分にされたあげく村抜けして、網元の娘をかっさらったにもかかわらず、郷里で信用回復され、資金集めまで成功した。この時代の貨幣経済の浸透に驚かされる。