BOOK「菜の花の沖(五)」

菜の花の沖(五)
司馬遼太郎著
(文春文庫:552円+税)
※古書を購入

大坂で建造した官船5艘と高田屋の商船3艘を引き連れ、箱館に帰還した。その船団で、蝦夷地御用掛首座松平忠明のウルップ島までの巡視航海に出かけた。ここに、かの間宮林蔵が乗船していた。
嘉兵衛による択捉島開発は、越冬居住にも問題がなく、新しい漁法の導入も成果を上げていた。しかし、ロシアの動きも活発となり・・・この巻は小説というより、日露外交史、近代極東史の教科書のような内容。これだけ詳しければ、新書でも書けそうな詳しさだ。興味のある事柄なので、これはこれで興味深く読んだ。当時の武士たちの有り様は滑稽以外の何物でもないけれど・・・日本は、幕府という軍事政権でありながら、いつの間にかまともな軍備を持たなくなり、当時の世界で最も平和な国家だったというのは不思議ぎなことだ。
この説明の間に、嘉兵衛は40代半ばになっていた。
ニコライ・フヴォストフによる「文化露寇」・・・ロシア軍艦により樺太や千島列島への襲撃が繰り返され、嘉兵衛が場所を請け負っている択捉島へも攻めてきた。さらにはゴローニン事件・・・嘉兵衛にとっては人生後半のハイライト。