BOOK「世界を駆けた博物学者 南方熊楠」

世界を駆けた博物学者 南方熊楠
(南方熊楠顕彰会:500円)

仕事の関係でいただいた冊子。和歌山県田辺市にある「南方熊楠顕彰会」がまとめたもので、顕彰会のHPからも購入できる。A5版64ページ。地方の博物館などが発行したこういう資料は現地に行かないと手に入らない。現地に行っても、タイミングが悪いと売り切れだったりする。
南方熊楠は、昨年、生誕150周年だったので、いろいろメディアでも取り上げられたし、イベントなども行われた。わたしも何冊か本を読んだし、昨年12月から開催された国立科学博物館企画展「南方熊楠-100年早かった智の人-」を見に行った。
南方熊楠顕彰会は熊楠研究の中心となる存在で、博物館というよりは研究所の性格が強いようだ。近年、その評価が変わってきている熊楠だけど、ここでの研究成果が元になっているのだろう。
この冊子は、2017年10月1日の第4刷で・・・2006年の初版以降の改版はないようだけど・・・科博の企画展での印象と異なる内容はなさそうなので、それなりに新しい研究成果も盛り込まれているのだと思う。

国立科学博物館 企画展 南方熊楠-100年早かった智の人-(東京・上野公園)


仕事で上野に出かけたついでに、今週からはじまった科博の企画展を見てきた。
南方熊楠は、その天才性から日本科学史上、異色の存在として知られている。熱狂的なファンも多い。その南方熊楠の最新研究をまとめた企画展。研究者としてではなく、情報の提供者としての位置づけに変わってきたらしい。
目玉展示は、新たに発見された『菌類図譜 第二集』と『十二支虎腹稿』だろうか。『菌類図譜』は、やはり生で見ると質感まで分かって・・・書籍の印刷で見るのとは全く違う。『腹稿』は思っていたより小さくて、その分だけギッシリつまっている感が感じられて面白い。
今年は熊楠の生誕150周年で、この企画展の他にもいろいろな企画があったようだけど・・・意外に話題に上らなかったような気がする。

BOOK「熊楠の星の時間」

熊楠の星の時間
中沢新一著
(講談社選書メチエ:1,500円+税)

最近、仕事の関係で、いくつかまとめて南方熊楠についての本を読んでいる。ただし、あくまでも自然科学系の熊楠について関心があるからで、スピリチャルな方面の熊楠にはあまり関心がない。それでも、一冊くらいはそういう方面の本も読んでおこうかということで、この本を読んだ。
正直なところ、あまりピンとこなかった。
そもそも、破天荒な人生を歩んだとされる熊楠の、頭の中を想像してあれこれいっても、そういうものなのかという気もするけど、あまり説得力がない。こねくり回せば回すほど、どんどん説得力が失われていく。ましてや、この本にも書かれていたけど、熊楠自身が「奇人」であるといわれることを楽しんでいた気配があり、どこに作為が含まれているかも知れないわけで・・・。

MOOK「南方熊楠の世界」

南方熊楠の世界
(徳間書店タウンムック:714円+税)
※古書を購入

最近、仕事の関係で、いくつかまとめて南方熊楠についての本を読んでいる。
この本はビジュアル主体のムック本なので、読む部分が少なく、情報量としてはちょっと物足りない感じ・・・。でも、ビジュアルはかなり豊富で、本のサイズも大きいので、仕事的には役に立った。
出版されたのは2012年。内容的にもほぼ最新の研究成果が盛り込まれていた。章の立て方など編集方針もわかりやすく、熊楠の入門書としては良くできていた。
ただ、典型的な熊楠像を紹介しているだけなので、他の本を読んだ後では、なにも驚きもなかった。この本が悪いわけではないけど・・・そういう意味では、いちばん最初に読むべき本だったのだろう。

BOOK「奇想天外の巨人 南方熊楠」

奇想天外の巨人
南方熊楠

荒俣宏/田中優子/中沢新一/中瀬喜陽著
(平凡社CORONA BOOKS:1,553円+税)
※古書を購入

仕事の資料として読んだ本。
中を見ないでamazonで古書を購入したけど、写真が多めの小型MOOK本だった。このタイプの本は、資料として役に立つ場合もあるけど、今回は情報量が足りないという、良くない面が出てしまった。著者の一人が荒俣宏だから、購入前からその部分は最初から捨てて考えてはいたんだけど・・・。おまけに、内容が古いというか・・・最新の研究では否定されている逸話や風雪を誤った内容で紹介していたりする。まあ、最新の本ではないから仕方がない。
捉えどころのない南方熊楠を市松模様のようにちりばめて、訳がわからないでしょ!と放り投げているような本という印象。一部の熊楠ファンにとってはどうなのか知らないけど、資料としてはぜんぜん役に立たない本だった^^;;

雑誌「kotoba コトバ 南方熊楠 「知の巨人」の全貌」(19号 2015年春号)

正直いって、こんな雑誌があること自体知らなかった。「多様性を考える言論誌」と冠して、英社が年4回発行する季刊誌。読み応えはあるけど、定価で1,440円もする。この号は2015年の春号なので、当然ながら古書を買った。
仕事の関係で、「南方熊楠」についての資料として読んだわけだけど・・・いろいろな著者が様々な視点から文章を寄せて、南方熊楠という「知の巨人」の実像を探し求めている。でも、いかに大特集とはいえ、様々な視点の記事を集めたが故に、かえって熊楠の全体像が捕まえにくい。それでなくても、捉えどころのない巨人なのに・・・^^;;
それでも、最近の熊楠研究の成果・・・脚色された様々な逸話の正しい内容など、いろいろと読んでみた成果はあった。でもなぁ、脚色された南方熊楠の方が断然おもしろくて好きなんだよなぁ^^;;
最後にどーでもいいことだけど・・・表紙の熊楠の写真、いろいろな書籍にも使われていて、熊楠を代表するポートレートだけど、体操の白井健三くんにそっくりだと感じるのは、わたしだけだろうか?^^;;

BOOK「南方熊楠 日本人の可能性の極限」

南方熊楠
日本人の可能性の極限

唐澤太輔著
(中公新書:amazon:756円)
※Kindle版を購入

南方熊楠については多少の知識はあったけど・・・仕事の関係で急きょ読んだ本。手っ取り早く一冊読もうと、Kindle版を購入した。ふつうにamazonで購入しても翌日には届くんだけど、Kindle版電子書籍ならすぐに読みはじめられるから^^
南方熊楠は、偉人というか、巨人というか、まあ、とにかくすごい人という印象だけど、特に大きな業績を残したわけではないように思う。自然科学や民俗学、宗教学といった、よくいわれる分野で顕著な業績があるわけではない。エコロジストの先駆者として祭りあげられている風潮もあるけど、那智、田辺時代の熊楠は狂気がかっていて、わたしのような凡人には、もはや評価しようもない次元なんだよなぁ^^;;
珍しくまじめに感想のようなものを書くなら・・・南方熊楠を理解することは困難だろうけど、正直なところ、“理解するのが怖い” 存在だと感じた。著者はあとがきで、「熊楠の在り方の特異性(そしてそれは、実は決して異常ではなく普遍性を持っていること)を明らかにできた」と自負しているけれど、熊楠を知れば知るほど、わたしには「異常」だと思えてしまう。
ただ、熊楠は破天荒な人物で、多くのおもしろい逸話があったりして、一部には熱狂的なファンがいる。わたしも、南方熊楠という人物のおもしろさを否定はしない。どちらかというと、実像としての熊楠より、“破天荒にキャラ付けされた熊楠” が好きな人間のひとりだと思っている。

BOOK「十二支考〈下〉」

eto_02十二支考(下巻)
南方熊楠著
(岩波文庫:800円+税)
ISBN/ASIN:4003313925
※古書を購入

下巻は、羊、猿、鶏、犬、猪、鼠に関する民族と伝説に関する内容。そういえば、牛がない。上巻を読むのに内容的にも、活字的にも苦しんだけど、気力で何とか読み終えた。
正直いって、本当に読みにくい。理路整然としているところがほとんどなく、文脈があちこち飛ぶし、中途半端な論証のまま放置されるようなことも多い。堂々と余談が入ってきて、いったい何の話だったか忘れてしまうようなことも多い^^; それが南方熊楠なのだといわれてしまえば反論できないけど、これを名著として評価するのはどうなのか?とも思う。
個人的なことだけど・・・読んでいる途中で老眼鏡を買い換えたので、だいぶ読みやすくなったけど、活字の小さい古い文庫本はかなりしんどい。自分が電子書籍になれてきたせいもあるけど、この手の本は電子書籍の方が読みやすいかも知れない。