BOOK「生命科学の未来 がん免疫治療と獲得免疫」

生命科学の未来
がん免疫治療と獲得免疫

本庶佑著
(藤原書店:2,200円+税)
※古書を購入

がん免疫治療の確立の功績で、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑先生の著書。
PD-1抗体の発見とがん免疫治療について解説しているのは、全体の3分の1程度で、後半は川勝平太(出版時は静岡県知事)との対談。本庶先生が静岡県立大学の理事長を務めている関係でのことらしい。自伝的な要素はぜんぜんない。
本庶先生の生命科学、基礎科学に対する姿勢や考え方、さらには人間の幸福といった思想について知る上では良い資料だと思う。
正直いうと・・・本庶先生自身がすごく立派な方なので逆に解らなくなってしまうのだけれど・・・単に目先の研究を追いかけていくだけでは立派な学者にはなれないのか、あるいは、立派な人間だからこそ科学の女神が微笑むものなのか?

BOOK「リチウムイオン電池が未来を拓く」

リチウムイオン電池が未来を拓く
発明者・吉野彰が語る開発秘話
吉野彰著
(CMC出版:1,000円+税)

ノーベル化学賞を受賞した吉野彰先生の本。
リチウムイオン電池は、スマホをはじめ身近なところでいろいろ使われていて、まさに世の中を変えた技術のひとつだと思う。むかし、ウォークマンを持ち歩いて外で音楽を聴く習慣はなかったけど、仕事で録音機能は頻繁に使っていたので、廃棄する使用済み電池は中々の量があった。最近ではテレビやエアコンのリモコンの電池交換くらいで、めったに電池を廃棄することがなくなった。それも吉野先生のお陰。
この本では、リチウムイオン電池の原理や開発に関することだけでなく、技術革新によって世の中がどう変わるか、今後どうなっていくかなど、吉野先生の考えがいろいろ述べられている。先日読んだ、『NHKカルチャーラジオ 科学と人間 電池が起こすエネルギー革命』とほぼ同じような内容だった。

MOOK「NHKカルチャーラジオ 科学と人間 吉野彰 電池が起こすエネルギー革命」

NHKカルチャーラジオ 科学と人間
吉野彰
電池が起こすエネルギー革命

吉野彰著
(NHK出版:985円+税)

NHKのラジオ第2放送のコンテンツ「カルチャーラジオ 科学と人間」シリーズをテキスト化した書籍。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰先生のテキストを読んだ。
全13回の放送で、最初の数回は「電池の仕組み」や「電池の歴史」といった入門編。次いで、リチウムイオン電池の開発秘話など、吉野先生の研究開発、商品化に関わるお話。最後はリチウムイオン電池が世の中に与えた影響、今後の社会にどう貢献していくかなどの総括という構成。
ラジオ番組のテキストなので、ラジオにはない図解があったりして平易にわかりやすく、なにより読みやすい。マスコミの報道は研究開発での業績が中心で、商品の実用化、商品化への動きはあまり触れられていなかったけど、企業人としての側面にも触れられていて興味深かった。

BOOK「ゲノムが語る生命像 現代人のための最新・生命科学入門」

ゲノムが語る生命像
現代人のための最新・生命科学入門

本庶佑著
(講談社ブルーバックス:940円+税)

今年、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶先生の著書。受賞のニュースで見て、その10分後にamazonで注文したけど、早くも在庫切れで、手元に届いたのは10月20日だった。
特にノーベル賞を受賞した研究について解説した本ではなく、分子細胞遺伝学、ゲノム工学、生命科学全般をゲノムの視点から解説している。
今回のノーベル賞につながる免疫やガンに関する記述もあるけど、かなり基本的な内容。がんの免疫療法については「抗PD-1抗体によるガン治療の仕組み」という図を載せ、ものすごくあっさりと解説されているだけだった。
2013年に出た本なので(これは第5刷)、免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブ)が薬事承認される直前の段階。日本とアメリカで良好な治験結果が出ているから、やがて承認されるだろうとしか書かれていない。でも「やがて多くのガン患者に福音をもたらす」と、自信があったことはうかがえた。

BOOK「大村智物語 ノーベル賞への歩み」

大村智物語
ノーベル賞への歩み

馬場錬成著
(中央公論新社:900円+税)
※古書を購入

2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授についての本。
似たような本を最近読んだけれど・・・細かいことはともかく、アウトラインだけでも記憶に留めておくために、類似書を2冊続けて読むのやよくやることではあるんだけど・・・先に読んだ『大村智 2億人を病魔から守った化学者』と内容が同じすぎる。と思ったら、著者が同じだった。しかも、あとがきに書いてあったけど、この本は前著の普及版という位置づけらしい^^;; 購入時にもう少し慎重に確認するべきだった。内容的には、こちらを読むだけで十分だった。
だからといって、別の著者の本をもう一冊読む気にはならないけど・・・^^;

BOOK「ニュートリノで探る宇宙と素粒子」

ニュートリノで探る宇宙と素粒子
梶田隆章著
(平凡社:1,800円+税)
※古書を購入

「スーパーカミオカンデ」による研究でニュートリノ振動を発見し、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田先生の著書。ニュートリノというと、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊先生にはじまる日本のお家芸的分野だけど、梶田先生はその小柴先生のお弟子筋に当たる研究者。
この本はニュートリノ研究の歴史的経緯から物理学的な意義、素粒子としての特性などを詳しく解説していて、わたしのレベルでいえば、文字通り、腰巻きに書かれた「いちばんよく分かるニュートリノの本」かもしれない。真剣に読み込めばだけど・・・。
でも、梶田先生の伝記的な要素はなく、人物像などはなにも書かれていなかった。ノーベル賞受賞者とはいえ、もう偉人として特別な個性を求めても仕方がない時代になってしまったのかなという気もするけど・・・ニュートリノが身近な存在ではないだけに、多少のとっかかりとしての人物像くらいは知りたいと思うんだよな^^;;

BOOK「物理学の歴史」

butsurinorekishi物理学の歴史
朝永振一郎編
高林武彦/中村誠太郎著
(ちくま学芸文庫:1,400円+税)
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かつて、「自然哲学」と呼ばれていた科学以前の概念から、「物理学」が独立してきたのはケプラーやニュートンにより運動や力の解明が進んだことから、物理学ははじまった。続いてマックスウェルの電磁気へと古典物理学が完成。その後は、量子論への入口となる光の研究が進み、量子力学、素粒子論が発展する。という流れで書かれた本だけど・・・気のせいかも知れないけど、量子論に入ると突然、記述が難しくなった^^;; 執筆者が違うから仕方がないのかも知れないけど。
朝永振一郎はノーベル物理学賞を受賞したご存じの物理学者だけど、一般向けの物理学解説書をたくさん書いいる。この本はあくまで編者ではあるけど・・・あまたの本の中でも読みにくい本の部類に入るだろうと思う^^;