BOOK「法然入門」

hounennyuumon.jpg法然入門
阿満利麿著
(ちくま新書:740円+税)
ISBN/ASIN:480066220

お盆だからというわけではないけど、仏教系の本を一冊。
浄土宗の開祖である法然は、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えれば極楽浄土に往生できるという、とっても魅力的な教えを説いた。
わたしは若い頃・・・茶道などを真剣にやっていたので、その頃は「禅」などに凝って、「自力本願」の方向にばかり目がいっていた。
しかし、人間、パッとしないままに齢を重ねると、「自分が何者にも成れない」と言うことに否応なく気がつき、「他力本願」に開眼してしまう^^;; ・・・政治機能が失われ、経済も停滞が続き、自然災害が続発する、まるで末法を思わせる昨今であればなおさらのこと、他力本願という言葉の心地よい響きに魅せられてしまう。・・・本当は、「自力自助」にでも目覚めなければ、生き残っていけない世の中なのだけど^^;;
他力本願となると、やはり法然はその道のスターであり巨匠である。
でも、法然自身は、何者にも成れないわたしとは違い、法然という名を歴史に残した偉人だ。法然は・・・ただ教えられたままに「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えただけの一般民衆と平等に極楽浄土に往生したのだろうか? あるいは、死の間際に悟りでも開いて、一般民衆とは全く別の次元で往生していったのだろうか? ちょっと気になるところだ。

BOOK「神々の明治維新」

kamigaminomeijiishin.jpg神々の明治維新
神仏分離と廃仏毀釈
安丸良夫著
(岩波新書:720円+税)
ISBN/ASIN:4004201039

かねてから、明治直後に起きた廃仏毀釈に疑問を感じていた。
どうして神仏分離令の発布で、廃仏運動が起きなければいけないのか?
徳川幕藩体制の末端組織と化していたお寺による民衆管理を配して、神祀官による天皇親政の旧来の制度に戻そうという明治政府の意図はわかるけど、民衆レベルで廃仏運動が起きる理由がわからない。その結果、多くのお寺が困窮し、あの法隆寺ですら雨漏りを修繕するお金すらなくなり仏像を手放さないといけなかったという(その結果、いまは東京国立博物館が所蔵している)。それほど、民衆の心があっという間に仏教から離れてしまったらしい。・・・江戸時代から「葬式仏教」という言い方があるくらいだから、すでに信仰のよりどころとしての意義を失っていたのかも知れないけど。
政治的なことに、そんなに民衆が政治に敏感だとは思わないのだけど・・・やはり、当時は御上の指示には過敏に反応したのかも知れない。なにせ、土葬が一般的だった時に、なんの抵抗もなく、火葬を受け入れてしまうくらいだし・・・。
考えてみれば、そういう風潮は現代にもあって、体外受精のような生命倫理に係わることを、市民レベルでろくに議論せずに受け入れてしまうし、脳死だっていつの間にか受け入れてしまった。まあ、別に反対する理由はないけど・・・本当に市民レベルの議論が行われた形跡もなく、受け入れてしまっているわけで・・・。

BOOK「石の宗教」

ishinosyuukyou.jpg石の宗教
五来 重著
(講談社学術文庫:1,000円+税)
ISBN/ASIN:4061598096

庚申塔のように、道ばたに立っている石碑について、むかしから疑問があった。というのも、私は北海道に生まれ育ったので、自分自身に原風景にはこうした石碑はない。・・・雪だるまはあっても^^;
それと並行して、「神道」とは何かという疑問も、まねてからずっと思い描き続けている。
・・・この本を読んで、まだすっきりとはしていないけど、なんとなく神道や仏教以前の、日本に古来から伝わる「民間信仰」という存在が見えてきたような気がする。
それにしても・・・東北や信州などを歩くと、道祖神や庚申塔、お地蔵様なんかが町中や町はずれに立っていて・・・自分とは関係がないけど、これが日本人の原風景なんだと思わずにはいられない。
さらに、京都や奈良を歩くと、いたるところに正体不明の巨石があったりして、歴史に対して好奇心を刺激される。
この本でも解説されている「亀石」などにも、以前、行ったことがあるけど、ホントにごく普通の民家の隣にあったりして・・・歴史の古い地域はすごいなと感心した。・・・北海道に歴史はないという意味ではないけど、日本という文化でいえばということ。
都内にも庚申塔や馬頭観音などが点在しているけど、失われてしまったものも多いんだろうな・・・。

BOOK「神国日本」

shinkokunihon.jpg神国日本
佐藤弘夫著
(ちくま新書:720円+税)
ISBN/ASIN:4480062955

最近、「神国日本」とか、「大和魂」とかいう言葉って、日常生活でも、テレビでもほとんど聞くことがなくなった。こういった言葉は、戦前の天皇制や極端な右翼思想と結びついているから敬遠されたというより、なんとなく古くさくなってきて自然に死語になってしまったという印象。
でも、最近の若い子たちはモノを知らないから、そのうちフリーハンドで、「日本は神の国だ」とか言いはじめるんじゃないかという気がする^^;;
日本が本当に「神国」かどうかは別として、考えようによっては悪いことではないのだろうけど・・・。ちょっと微妙^^;

BOOK「神仏習合」

shinbutsusyugou.jpg神仏習合
義江彰夫著
(岩波新書:760円+税)
ISBN/ASIN:4004304539

いまから30年以上前、高校時代の日本史の授業で「神仏習合」「本地垂迹」などを習った、というか、受験勉強の時に覚え直した記憶があるけど、やっぱりこういう本を読むと、受験勉強での理解って、浅いなと感じる。
神仏習合がどうして起きたのか、それが、奈良時代の律令制度の収税の仕掛けに関係しているなどとは、いままで考えたこともなかった。
まあ、だからどうだと言うこともないのだけれど・・・。なにせ、大昔のことだし。

BOOK「日本神話の英雄たち」

nihonsinwanoeiyuutati.jpg日本神話の英雄たち
林 道義著
(文春新書:680円+税)
ISBN/ASIN:4166603426

いままで数え切れないほど、日本の神話をテーマとした本を読んできたけど、その度に思うことがある。
・・・なんか違う。なんか面白くない。
こう感じるのは、そもそも日本の神話の世界が面白いものだという期待、あるいは先入観があるからで、その期待を裏切られたからといって、著者にどうこういうつもりもないけど・・・。古事記、日本書紀といった、限られた史料からの研究だから、突飛なものが出てこないのはわかるし、そもそもたいして面白くない世界だと納得してしまえばそれだけのことだ^^;
この本は、まあ、それなりにユニークな視点から書かれた本で、本そのものとしては面白いのだけど・・・やはり、同じように・・・なんか違う・・・なんか面白くないという後味が残った^^;